森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 28

そういいながらも、槙村はそのまま弓弦の方へ向き抱きしめた。
シャワーで濡れてしまう弓弦を気にせず、そのまま抱きしめた。
そうされてしまうのがわかっていたかのように弓弦は身構えたつもりが
抱きしめられ耳元で好きだとささやかれ痛いほど力を入れられた。

「槙村さん、痛い。痛いって。離して」
「いや、離さない。離したらもう抱けない。それは嫌なんだ。」
「槙村さん、お願い離して。」

そういう弓弦を壁に押し付け、またkissをした。
抵抗する力がなくなるまでの長いkissを。
弓弦を確かめるように唇を這わせ首筋から落ちていく槙村。
弓弦は動けなかった。
何度も何度も好きだと言われkissをされ、
そこまで自分を思ってくれる槙村が本当に自分を大切にしてくれるのかもしれない
そう槙村が口に出す言葉が胸に突き刺さる。
抱きしめられ、耳元でささやかれ弓弦を愛おしく抱き込む槙村に
あの人の影を思い出し、そして槙村の瞳を見つめてそれを忘れて。
いつの間にかそのまま槙村に落ちていくような気がした。
弓弦の気持ちも体も抵抗したくても動くことができずに。
だけどその直後、無理だとどこか奥底で無理だと叫ぶ自分がいるのに気づく。

「弓弦。弓弦が知りたい。過去などどうでもいい。
 前を向いて愛しあえることができる弓弦になればいい。
 素直に今目の前にいる弓弦が知りたいんだ。」
「槙村さん。お願い。あたしは女になりたくない。
 すべてをさらけ出しても、女にはなりたくない。
 愛されてても。それだけはやめて。お願い。」
「無理だ。今の弓弦を知りたい。」

槙村はそのまま弓弦の濡れたシャツをそのままに、
シャワーに打たれているまま弓弦を愛し始めた。
抵抗しても逃げ出すことができない弓弦にも
女の部分は敏感でそのまま槙村に流されていく。
どうしたらいいのかがわからない。
わからないまま、弓弦は声が出るのを我慢している。
弓弦の様子がおかしいと気付いたのは少ししてからだ。
弓弦の体が硬直している、がたがたと震えだす弓弦に声をかける。

「おい、弓弦。どうしたんだ?」
「ごめん。ごめんね。ごめん。ごめんね。」

そういって泣いている。
がちがちと歯がなるぐらい凍えているように、がたがた震えている。
顔を見ると弓弦の顔色がおかしい。青くなって目を閉じたまま
ただごめん、ごめんねと言い続ける。
言い続ける弓弦が発作が起きたように体が激しく震えはじめた。
きつく唇を結び、青く冷めた顔色が真っ白に。
目をギュッとつぶると、呼吸が荒くなってきた。
呼吸困難なのか口を開けたままで過呼吸みたいな呼吸をしている。
弓弦の手を握り、大丈夫、大丈夫だと耳元でささやくが聞こえていないらしい。
しばらくすると、過呼吸が止まり深く呼吸を始めた。
白く血の気が引いた弓弦の顔には汗が拭きだし再びがたがたと震えはじめる。
弓弦の両手は両腕を強い力で握り爪が皮膚に食い込んでいる。
血が滲み始めたのに気づき槙村がその両手をはがしにかかるが
筋肉のけいれんによる力みなのか強く握られててはがせない。
それでも槙村は弓弦の両手を両腕から引きはがした。
じんわりと弓弦の腕には自分で握りしめたための爪の後が痛々しくついている。
まだ弓弦の意識は戻ってはいない。弓弦はあまりに激しいけいれんで意識を失っている。
腕の血が出ている場所を、清潔なウェットティッシュで拭き血がとまるのを待つ。
真白い腕に傷が目立つが弓弦は気が付くと驚くのだろうか。
何が起きているのか少し不安な槙村はとにかく弓弦からは離れないように。
弓弦は、何かに対して我慢してたのではなくこういう風になるのが怖かったんだと、
これが弓弦の隠してた事なんだと槙村は思った。
すぐに濡れた服を脱がせ、濡れたからだと髪をタオルで拭きベッドに連れて行った。
自分も、濡れている体をふき着替えて受付に電話を入れ人を呼んだ。

 `連れが具合悪くなってしまって、
  震えているので熱が出て寒いのだろうと思うので
  余分な毛布とか暖まれるものがあれば用意してほしい´

と伝えた。
ベッドの中で、まだがたがた震える弓弦。そんなにもその過去を引きずっているのか。
槙村はそっちの方が心配になった。スタッフの女性が厚手のブランケットを持ってきた。
それを受け取ると、ありがとうと言い槙村は弓弦のベッドに戻っていく。
スタッフが声をかける。

「もし熱があるようでしたら、解熱剤をお持ちしますが
 どういたしましょう」

と。槙村は、いるときはきちんと連絡しますとだけスタッフに答えた。
まだ夜も22時をも回ったころ。この時間から寝着くときっと早く起きるんだろうなと
そう考えながら狭いシングルベッドに弓弦を抱え込むようにして槙村も寝着つこうとした。
25時を回ったころだろうか、弓弦の事が気になって寝つけない槙村はふと目を開けた。
すると弓弦がこっちを見ている。槙村が弓弦の頭を抱え込むようにしていたのを、
その抱え込んだ中からまっすぐ槙村の顔を見上げていた。

「弓弦、起きたのか?」
「あぁ、ごめん。あたしおかしかったね。ごめん。」
「弓弦、無理強いした俺が悪い。俺が弓弦を欲しがったばかりに
 お前が無理しても隠したかった姿を出させてしまった。俺が悪いんだ。」
「早くちゃんと伝えればよかった。こういうあたしなんだって。
 あの人が亡くなってから、どうしても何もかもが怖い。
 怖くて怖くてすべてを受け入れなくなってしまった自分がいて、
 誰もすべてを拒んでしまうようになった。」
「弓弦、あっちに帰って病院へ行こう。本当の弓弦に戻ろう。
 わかるか?本当の自分にだ。
 男でもなく女でもなく弓弦になるために病院に行こう。
 おかしいと自分でもわかっているんだろ?
 だからすべてを拒むし、みせてくれない。」
「槙村さん。」
「なんだ?」
「誰にも言わないで。誰にも知られたくない。誠さんにも貴志にも。
 悠太君や翔太君にも。ひかりにも、伯母ぁにも。みんなみんな。」
「誰にも相談しないで今の状況を打破できるものか。
 あのさ、弓弦の悪いところはそれだよ。一人ではどうしようもないのに、
 一人でどうにかしようと頑張る。だけどどうしようもないんだ。」
「こんなにおかしいことをだれに相談してどうしろというのさ。
 誰に話しても、理解してはもらえない。」
「弓弦、いつからそうやって体が言うこと利かなくなった?」
「わからない。いつからかわからない。」
「でも、きっと愛しい人からの傷が一番の原因なんだろうな。
 体の傷は治っても、心の傷は治らない。
 弓弦にその傷が残っているからじゃないのか?」
「まだあの人を愛している自分がいて、それを信じている自分がいる。
 おかしいでしょ。亡くなっているのに。」
「弓弦。本当にその人を愛していたんだね。
 そして今でも心底愛している。誰にも負けないぐらいに。
 西村さんや誠さん。俺やみんなが割り込んでいけないぐらいに
 まだ忘れずに、心底愛しているんだな。」
「ごめんね、槙村さん。あたし無理。このままでいい。
 何も考えたくない。このままがいい。」
「いや、変わろうよ。誰にも知られたくなければ
 知ってしまった俺が何とかする。
 なぁ、弓弦。頑張ろうよ。頑張って傷を治そうよ。」
「無理。あたしは無理。あの人を愛しているあたしが心の中にいる。」
「弓弦。もうすぐ夜が明ける。すると新しい一日が始まるだろう。
 その新しい始まりの中に、その人はいるのか?
 その人が弓弦に何かあったときに、助けてくれるのか?
 弓弦の幸せは亡くなったその人が持っているんじゃないだろう?」
「それはそうだけど。」
「いや、わかってない。そこからだ。弓弦のこれからの幸せは俺が持っている。」
「だけど、あの人が亡くなったその時からあたしの幸せな時間は止まってしまった。」
「なぁ。弓弦、それから一歩だけ前に出ようよ。できるさ。」
「できる?できない。」
「できるさ。自分のこのおなかの傷を、誠さんに話すと決めたんだろう?
 だったらそれは一歩前に進もうとしている弓弦がいるということじゃないか。
 できるさ。できるはずさ。」
「槙村さん。」
「なんだ?」
「槙村さんは、あたしが女になることを望んでいるの?」
「女になるんじゃなくって、弓弦はきちんとした女性だ。
 俺になかでは初めて会った時からずっと、憧れの女性だ。
 ずっとできれば俺の腕の中にいてほしい。
 たくさんの人がお前を愛していると思うから
 弓弦がその気でないと無理な話なんだけどな。」
「誰かに幸せにしてもらおうとか思ってない。
 自分が今一番これでいいとそう思えればそれでいい。
 そんなに誰からどうしてもらおうだなんて思わないし、思ってもいない。
 これからの自分の時間にあの人以上に愛した人が現れるとか信じられない。
 あんなにあの人を苦しめてしまって自分だけのうのうと生きてて
 それなのにまだその人を愛していて、こんな悪魔なあたしは
 一生幸せでなくていい。」  
「自分を責めても何もならないだろう。
 それよりも、一歩進むんだったら前を向こうよ。
 俺はとびっきりの笑顔の弓弦と会いたい。」
「なんであたしにこだわるの。あたしにこだわっても、何もないよ?」
「俺、俺はお袋と俺は親父に捨てられた。
 小さいころは親父が俺らを捨てたおかげで苦労した。
 いじめられたしお袋は心労で倒れて俺が小学校の時亡くなった。
 爺ちゃんとばあちゃんが俺を育ててくれたけど
 親がいないさみしさは何物にも変えられない悲しさだったさ。
 迷惑かけっっぱなしのまま大きくなって
 自分を必要としてくれる人なんていないと思ってたんだ。
 だけど、仲間と知り合いここで過ごす時間は俺にとっては
 かけがえのない時間になったし救われた。
 いろいろあったことは弓弦にはくらべものにはならないだろうけど
 人それぞれいろいろある。
 その出来事が大きいこと小さい事にかかわらず人ぞれぞれ一生懸命に生きているんだぜ?
 弓弦にもちゃんと前を向いて歩くことができるさ。」
「朝だ。飛行機の時間が。」
「そうだな、何時だったっけ?」
「8:20だ。」
「今は、5:30前か。」
「空港へ行こう、弓弦。東京に帰ろう。」
「行かなきゃ。」
「弓弦。」
「もう一度弓弦を抱きしめたい。一歩を踏み出す弓弦を。」
「え?」
「一歩踏み出そう。そう約束して。」
「できるかな。」
「その一歩を手伝うさ。俺が手を添えたい。」
「槙村さん。」

そういうと槙村はベッドの中でそのまま弓弦を抱きしめた。
倒れた時のままお互いに素肌のままblanket一枚だけで寝ていた。
槙村が抱え込むように弓弦の頭を抱きしめてたところ
そこから槙村の顔を見上げてた弓弦が、すごく愛おしく見えている槙村。
そのまま弓弦を抱きしめ、目をつぶった弓弦にもう一度kissをした。 
そのkissを弓弦が嫌がらない。嫌がってはいない弓弦。
長い長いkissは、槙村を求めているかのように長かった。
槙村はその右手を背中に回し左手で弓弦の腰を引き上げ、
槙村の唇は弓弦の右耳に這わせられそのまま首筋から下に落ちて行った。
それでも弓弦は嫌がらない。弓弦の両手が槙村の背中にまわる。
しっかりと槙村の背中を抱きしめると自分の胸に落ちてきた槙村の頭を
ギュッと自分の胸にうずめた。
声がする。槙村がずっと、弓弦に愛していると俺が幸せにすると
そう呟きながら弓弦の体のあちこちにkissをする。
弓弦は答えたいのかどうしたいのか、ただ槙村のなすがままになっていた。

「弓弦。弓弦、なぁ、弓弦。」
「なに?まきむ・・・・・ら・・・・さ・・・・」
「なぁ、渉って呼んでよ。渉って。」
「渉さ・・・ん・・・・。ねぇ、渉さん」
「なんだ?」
「これ以上は・・・・ねぇ。これ以上は・・・・あ・・・・・」
「やめるの?やめるのは・・・・・・」
「やめて、ごめんね。これ以上は・・・・」
「やめたくない。このまま弓弦と一つになりたい。」

そういうと、弓弦をベッドに押し付けしつこくkissをした。
そのまま弓弦の腰を持ち上げ、一つになろうと弓弦を愛し始めた。
弓弦は諦めたのか槙村の背中に手を回し、そのまま槙村を受け入れ始めていた。
拒絶するどころか、受け入れそのまま自分に抱かれる弓弦の目をつぶった顔を
槙村は愛しく見つめていた。
一つになって、弓弦はやっぱり大切な女性と
槙村の中では弓弦の存在が大きくなり始めた朝になった。
ひと時の時間が過ぎ、6:20の目覚ましが鳴る。
あわてて二人はベッドから出ると、シャワーに行った。それも、なぜか二人で。

「弓弦、後悔はしてないか?」
「なにが?」
「俺お前を抱いちまった。」
「西村さんにも抱かれたことないのに(笑)」
「でも、俺の弓弦とは言ってはいけないんだろうな。」
「言っちゃ駄目。」
「なんで?」
「そこまで受け入れきれてない。」
「何がさ。」
「槙村さん自身、槙村さんのすべてを。」
「それはこれからだって考えていけるんじゃないか?」
「きちんと汗を流したら着替えてチェックアウトしよう。」
「弓弦、真剣にお前のことを愛しているんだ。真面目に考えて。」
「あぁ、一歩前に向くために。」
「でさ、俺の前だけでは素直な弓弦でいてほしいんだ。」
「素直に弓弦で?素直にいつも弓弦でいるじゃない。」
「まず、言葉遣いをきれいに(笑)」
「それは。」
「約束だ。言葉をきれいに、そして煙草はやめる。」
「煙草はやめれる自信ないけど?」
「いや、やめて。そうでないと子供産めないでしょう?違う?」
「あたし、もともと子供産めない体だけど?」
「産めなかったっけ?そんなこと気にしてもいなかった。
 産める産めないで弓弦を抱いたんじゃないし。」
「槙村さんがどういう人か全然わかんない。(笑)」
「これが俺さ。」
「着替えて、チェックアウトしてまっすぐ空港に行こう。」

そういってシャワーを出て、着替える二人。
着替えとかいろんなものを詰め込んで、そこをチェックアウトしたのが7:30。
そこから空港まで30分ぐらいで着いた。
飛行機に乗るまでは、二人何もなかったように並んでいた。

「席はどこだったっけ?」
「前の方の席で右側の窓側があたし、その隣が槙村さん。」
「なんかこの間からさ、弓弦が隣にいることがふつうだったから
 これから東京に帰って、弓弦のいない生活が始まると思うと
 なんだかさみしいなぁ。」
「お店で会えるじゃない。」
「お店で会えるたって、バーテンダーとしての弓弦じゃん。」
「お客としての槙村さんね。」
「そうじゃなくって。」
「しばらく忙しいだろ?」
「弓弦が?俺が?」
「お互いにさ。あたしは、休んだ10日分とチャリコンの分と
 変わって休まず頑張ったやつの代わりに
 しっかりと働かないといけないし、そうこうしていると
 西村さんのツアーが始まる。」
「俺は・・・・。俺もツアーとか収録とか始まるんだよなぁ。」
「しばらくは会えない。
 槙村さんも落ち着いて考える時間ができるということね。」
「残念だなぁ。弓弦、ツアーについてこない?今の仕事長期休暇で休んで。」
「無理ね。そんなに休めない。週休二日制だし。
 大体ただのしがないバーテンダーなんだから、仕事しなきゃ。」
「ずっとバーテンダーでいるつもりなのか?」
「それ言われると、ちょっと悩むけど今一番好きな仕事だから。」
「もし爺さんの後に入るとなると、遠い人になるんだろうが
 弓弦は言うこと聞かないんだろうなぁ。」
「当たり前、人の言いなりはまっぴらだ。」
「弓弦、無理しないで。」
「取り合えず。ついたらそこでお別れ。」
「今日は家に帰るんだよな。」 
「あぁ。自分の部屋に。」
「俺はついてってはいけないんだよな?」
「当たり前でしょう?なんでついてくるの?」
「いや。」
「ねぇ。あなたに抱かれたのは間違いって思いたくない。」
「弓弦。ちゃんと弓弦を知りたいって言ったじゃないか。」
「言ったけど、あたし自身は女にはなれない。渉さんのそばに居れる女じゃない。
 亡くなった人を忘れられない、まだ愛していて
 それでもって前を向ききれない中途半端なあたし。
 きらきらしている未来を持っている渉さんにはふさわしくない。」
「なぁ、一歩前に進むって言ったじゃないか。」
「進む努力は一人ででもできる。ゆっくりと無理せず前に進もうとはできる。」
「俺は?」
「えぇ、かけがえのない存在かもしれない。だけど、それはわからない。」
「友達だってそれ以上だって以下だって前に進むときは一緒に進んでいける。」
「そうだね。だから弓弦という人間を愛してくれているんだろうけど(笑)」
「俺はお前が大好きだ。それに嘘はない。」
「あたしもあなたを受け入れた。中途半端な関係に終わってしまうとは
 多分思わないしそうは思わない。けどね、けど。」
「けど?」
「わからない。このまま渉さんと共に歩むのか
 それでも、安心をくれる西村さんの所に行ってしまうのか
 自分でも先の事なんてわからない。」
「弓弦を愛している人間みんなにいろんなチャンスがあるんだろう。」
「でもさ、誰に愛されてても、縛られてしまうのはあたし無理だし。」
「基本的な相性かな、それって。」
「さぁ、空港に着くね。」
「ついてしまう。残念、まだまだしゃべっていたかったのに。」
「次はお店で。ご来店をお待ちしております(笑)」
「また弓弦という男に戻るのか?」
「あぁ。それが一番あたしの気持ちが幸せなのよね。」
「せめて。せめてさ俺の前ではそのままの弓弦でいてよ。」
「渉さんの前で偽りのあたしじゃ意味ないじゃん。(笑)
 自然体で居られる人なのかもね、渉さんの前だと。
 でも、一線を一度超えたからと言ってそれ以上は望まないで。
 望まないでほしい。お願い。」
「弓弦の気持ち次第なんだ。でも弓弦の気持ちは俺次第なところもあるんだろ?」
「どうだろうね。さぁ、ついた。降りよう。」
「弓弦。家に帰ってからは何か用事あるの?」
「いや、何もない。」
「んじゃ、家まで送るよ。駐車場まで行けば俺の車あるから。」
「10日間も停めっぱなしだったの?」
「だって、そのほうが車をいつも管理してもらえてて安心だもんな。」
「そうなんだ。んじゃ送ってもらおうかな。」
「素直に言ってくれるんだ。」
「素直じゃなめなのか?」
「いや、弓弦姫のお気のままに(笑)」
「もう。だから男って面倒なんだ。」
「そういうなさ。」
「まっすぐ家までお願いね。道案内するから。」
「ひかりちゃんは仕事中だよな。」
「あぁ。」
「おじさんもおばさんも?」
「あぁ、仕事中さ。」
「あのさ、弓弦の部屋を見たい。」
「なんで?何の変哲もない普通の部屋なのに?」
「弓弦を知るために。そして、ちょっと話がしたい。」
「変なことはだめよ?でないと次は無し。」
「わかってるって。」

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