森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 31

一方弓弦は家を出て20分過ぎようとしているかどうかというとき
アクアホールについた。正面玄関の駐車場にいるという話だったので
圭一郎のベンツを探す。一通りあたりを見回すと駐車場の真ん中に
やたらをデカい態度の車が停まっている。
弓弦が近づいていくと車から6人降りてきた。
まだもめている様子。誰が自分のに乗ってもつくところは一緒なのにと
弓弦は笑ってその様子を見ていた。

「お待たせ。」
「弓弦さん。あ。弓弦(笑)」
「なんでしょう?圭一郎さん(笑)」 
「俺がそっちに乗りたいなぁ。」
「そのごっついベンツはどうするのさ。(笑)」
「悠太!悠太!お前が運転せれさ。」
「俺嫌っすよ?このやくざベンツ(笑)」
「んじゃ元原。お前責任もってな。」
「俺も嫌です。ぶつけたらこえぇもん。」
「圭一郎さん?あきらめたら?」
「んじゃ、今度デートしてくれる?」
「圭一郎さんはおおっぴらに聞きますねぇ。」
「悪いことするんじゃねぇもん。自分にも相手にも正直な俺だぜ?」
「あははははは。んじゃ、そういうことで。
 そうでないと、この子たちがかわいそうですよ。」
「おいお前ら。この子たちだってよ。お前らの方が年上じゃなかったっけ?」
「弓弦さん俺たちのこと弟扱いなんですよねぇ。3,4つは上なのに。」
「さぁさぁ、もめずにじゃんけんででもいいから
 あたしのBMWにはあと一人しか乗れないからね?」
「やっぱり俺そっちに乗りたいかも。」
「圭一郎さんが乗り込む前に決めてよ?」

martin5人でもめることもめること。弓弦の一声が響いた。

「男ならさっさと決めな!」

そう言われ、5人でじゃんけん。勝ったのは翔太だった。

「一声は利くなぁ。」
「んじゃ、翔太君乗って。」
「はぁい。んじゃお言葉に甘えて。」
「おい、手ぇ出すなよ?」
「じゃ、家まで。」

そういって弓弦の車に翔太が、圭一郎の車に元原・中村・悠太・上村が乗り込んだ。

「弓弦さん?この車ってコンバーチブルなんだ。風が気持ちいいですね。」
「後ろからはどう見えてるんだろう。」
「丸見えなんですよね?僕ら。」
「だね。会話が聞こえないだけで、丸見えさ。悪いことできない。」
「でも、視線痛くないっすか?弓弦さん」
「あはは。すごく痛い気がする。」
「運転はもちろん圭一郎さんでしょ?」
「助手席は元原が乗ってる。」
「次の信号で停まったら、kissしてみない?」
「え?」
「kissよ、kiss。」
「まじでいいんですか?僕とで。」
「なぁに考えてるのよ。ほっぺによ?ほっぺに。」
「なぁんだ。マジkissだって思っちゃったよ。」
「ほら、停まるよ。準備は?」
「OKOK。」

信号で止まる。後ろに止まった圭一郎たちの車。
弓弦が左にに体をひねり後ろを見ようとする。
翔太も右に体をひねり後ろを見ようとする弓弦の横顔にkissをした。
それにわざとびっくりしたふりを見せた。圭一郎やみんなが車の中っどお騒ぎ。
降りていきたいが信号が青になると思い出ていけない5人。
それを見ている翔太と弓弦はおかしくて大笑いしていた。
それもほっぺと言っていたのに、翔太もチャンスと思い唇を狙ったのだ。
そして柔らかな弓弦の唇にふっと軽くkissをした。
弓弦も本当に驚いたが、軽く羽のような柔らかい翔太の唇を感じた瞬間
`やられた(笑)´と思っただけで笑ってしまった。
これが槙村みたいに、真面目で長いkissだと困るんだがと。
近くまでくると急に道が狭くなる弓弦の家までの道のり。
弓弦のうちのガレージが見え始めると、西村のbikeが止まっているのが見える。
もう来てるんだと、弓弦は急いで車を停め圭一郎の車はここに停めてと
指示をだし、停めさせた。

「おい!翔太!お前弓弦さんに手を出したなぁ?」
「偶然ですって、偶然!一緒に後ろを向いたら弓弦さんにあたったんですって。」
「お前わざとだろ?なんだかなぁ。」
「弓弦さんなにもされなかった?」
「大丈夫ですって。翔太くん、ずっとごめんなさいってばっかり謝ってたんだよ?
 許してあげないと、わざとじゃないんだし。」  
「ほら、ほんとでしょ?」
「でも唇だったもんね。半分有罪?」
「弓弦さんまでそういうこと言って!言われるぐらいなら
 真面目にkissすりゃよかった!」
「それこそお前ここで半殺しだぜ?」
「その前に弓弦さんの車から降ろされるって(笑)」
「さぁさぁ。部屋に行って。で、買い出しに行く人決めなきゃいけないから。」
「ここの近くにスーパーマーケットあるの?」
「そっちの突き当りを右に曲がるとある。すぐそこよ。」
「んじゃ、部屋に行ってからじゃんけんしよう、みんなでさ。」

入っていった家はひかりの邸宅。その説明をしながらもひかりのうちの大廊下を進み
突き当りの小さな開き戸を抜けると外に出る。
その向こうに見えている家を差しあそこの離れがあたしの部屋になるという。

「あそこの離れがあたしの部屋となるんだけど。」
「離れっていうんじゃないじゃん。一軒家だよ。」
「ひかりちゃんってお嬢様だったんだ、すげぇ」
「ひかりは今フリーだからよろしくね(笑)」
「弓弦だって。俺は弓弦の方がいいな。」
「まず順を追ってあたしの隣にいていいか
 許可を得ていかないといけないよ?圭一郎さん。」
「お邪魔しますっ!」
「ただいまぁ、槙村さん。西村さんは?」
「おかえりぃ。今譜面読んでる。」
「弓弦お帰り。て言うか大人数大変だったな、ご苦労さん。」
「ほんと大変でしたよ。で、買い出しは誰が行ってくれるの?」
「みんなでじゃんけんしようよ。平等にじゃんけんで。」
「俺も入るの?」
「西村さんは別でしょう?あたしと打ち合わせなんだもん。」
「西村さんもだよ。みんな平等にさ。」
「槙村さん、西村さんはあたしと打ち合わせだって!」
「いや、さっき譜面みせてもらったけど数曲あるけど
 どれもぶっつけ本番で大丈夫そうなものばかりだよ。」
「そういう曲しか持ってきてないけどな。」
「んじゃ、西村さん以外みんなで行ってきてよ。みんなで。」
「みんなで?」
「だって焼肉したいって言ってたのは、みんなでしょ?」
「俺は行かなくていいんだ。」
「西村さんはあたしと打ち合わせでしょ?まさかみんなで遊び倒そうって思ってたの?」 
「なんだか弓弦怖いなぁ。」
「怖くないですっ。ただ早く打ち合わせ終わらせて
 気持ちを楽にしたいのにがやがやと。」
「だそうだ。みんなで行って来たら?」
「みんなで行くと目立つじゃん。」
「さっさと行ってくれば大丈夫って。」
「弓弦さん鍵閉めて追い出さないでよ?」
「わかってるって。追い出していいのね(笑)」
「もう。んじゃ行こうよ。弓弦、何か食べれないものある?」
「んとねぇ。西村さんは何か食べれないものあった?」
「俺はないけど、お前は?」
「あたしいろいろあり過ぎて(笑)いうと買ってこられそうだから言わない。」
「んじゃ、行ってくる。弓弦、これだけは絶対だめというのがあれば
 俺にmail入れてよ。」
「槙村さんそれ中心に買ってきそうだな。」
「大丈夫、信用してよ。」
「とりあえず行ってらっしゃい。」

7人で買い物に出かけた家の中には西村と弓弦と二人っきり。
西村はキッチンで準備している弓弦に声をかける。

「なぁ、弓弦。何かあった?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「何かあったんだな。でも、お前が言わない限り聞かない。」
「・・・・・・・・・・・。」
「弓弦?」
「あのさ、やっぱりあたしは女なんだなぁってさ。」
「何があったんだ?」
「みんながあたしを女にしようとする。」
「俺も、女になってほしいからそれについてはないも言わないぞ?」
「あたしも言えない。だけど求められたら。
 真剣に求められたらあたしはどうなるんだろうとさ。」
「弓弦、気持ちが揺れてるんだな。」
「いろんな話を聞いてさ、なんだかさ。」
「弓弦の周りさ、この間の救助で水着姿をさらしただろ?
 あれで色めきだってるんじゃね?」
「そうなのかなぁ。」
「あんなの見たら誰だってさ。俺だってほかのやつらに渡したくねぇもん。」
「西村さんったら。あ、そうそう。あっちでさ、あの悪がきたちがさ
 あたしの写真たくさん撮ったんだ。」
「弓弦の写真?」
「西村さんのアルバムにさえも名前載せたり表に出ることしないのに
 その写真、あたしってわかるような使い方はしないって約束で
 次のmartinのアルバムに使うって。アルバムのジャケとフォトブックに。
 5人の写真に交じって一緒に映ってる写真や、
 あたしのシルエットやあたしってわからない感じで写っている写真
 良いのを50枚ぐらいって。」
「それ俺もほしいかも、使わないからさ(笑)」
「なんだか、罠にはまったみたいでさ。」
「俺も見たことのない弓弦を写してまわったんだろうなぁ。
 俺しか見たことのない弓弦ってあったかな?」
「あったかも、なかったかも。」
「でもあの朝の弓弦は俺しか見たことのない弓弦だもんな(笑)」
「もう一度見れるかどうかは保証しないけど。」
「何度も見たい、俺は真剣だぞ。弓弦を俺だけの弓弦にしたいと思う気持ちは
 誰にも負けんし誰にも渡さんし。」
「あいつらが帰ってから考えようかな。」
「それって俺は帰んなくてもいいだよな?」
「わかないけど(笑)」
「どうせあしたの夜の通し稽古までは時間あるだろ?」
「あるけど。」
「このままだと打ち合わせは今日はできないぞ?明日の朝からでもいいんじゃない?」
「泊まっていくつもりなの?」
「そうだなぁ。沖縄に行ってさみしい思いをした分俺の話しも聞いて欲しいんだな。」
「西村さんだけが泊まっていくんだったらね。」
「あの勢いだと、みんな泊まっていきそう。」
「んだなぁ。でも今日は追い返そう。でないと俺の打ち合わせも困るとか言ってさ。」
「西村さんったら。」
「それよりさ、槙村君も大川君も弓弦のこと呼び捨てだけど。」
「それはさ、呼び捨てにされた方が女を意識しないですむから。
 呼び捨てだと仲間意識は大きくなるけど女を意識できなくなるでしょ。」
「そういう目的か。」
「さてと。西村さん、譜面は?」
「あぁ、これ。
 一つはアカペラで弓弦と歌うのと弓弦にピアノをお願いする分と2曲ね。」
「それはあたし歌えるの?」
「歌えるさ。SDRの寛司に選曲してもらったんだけど
 多分弓弦と歌うって言ったからちゃんとkeyも合わせてあると思うけど。」 
「そう。もう一つのピアノって?」
「`スコールの中で´をって思ってるけど、あのピアノは大丈夫でしょ?」
「そうだね。あれだと大丈夫かな。でもSDRの寛司さんに相談したんだ。」
「あの人歌に対しての声質とかうるさいじゃん。相談したらさ
 誰と歌うのって聞かれて`mask’の弓弦って言ったらこれ歌ってって。」
「そうなんだ、あの人と一度カラオケに連れてかれたもんなぁ。」
「そっかそれでこれって即渡されたんだ。」
「見に来るって言ってたぞ。」
「え(汗)それってすごく緊張するんだけど。」
「音出す?」
「今?」
「あぁ、いま。」 
「んじゃ。」

譜面を見て、部屋の端においてあるピアノの鍵盤をたたく。
弓弦の細く長い指が鍵盤の上を踊る。後ろで西村が目をつぶり聞いている。
まだやつらは帰ってこない。ふと西村が後ろから抱きしめる。
弓弦の指が止まり、うつむいた。

「弓弦?」
「何?」
「弓弦さ、この歌どう思う?」
「どう思うって・・・・・。」
「これさ、男が女にプロポーズしている歌だぞ?」
「西村さんには何度も何度も・・・・・・。」
「俺は弓弦は俺の所に来ると信じているから何も言わないさ。 
 弓弦を信じているもん。」
「余裕だ。」
「弓弦が誰とkissしようと、誰に抱かれようと最後は俺の所に
 来ると信じてるからな。」
「そこまで信じるの?あたしの事を?」
「そうさ。これまでも、これからも。」
「ありがとう。」
「さぁ、声を出して。俺は一通りやったけど弓弦は今日と明日しかないからな。」
「そうだ。練習しなきゃ。合わせないといけないし。」
「合わせようとしなくても、合うさ。俺と弓弦だ。」
 
外がうるさくなってきた。帰ってきたのだ。
その声も気にせずに弓弦と西村はピアノの音と譜面で合わせている。
玄関の外まで帰ってきた7人はその二人の声が聞こえてくるのに気づき
庭の方に回った。窓越しに見えるピアノに向かう二人の後姿。
ちょっと悔しい気持ちを隠し槙村はその姿を見つめている。
こんな時にまで携帯を取出し後姿を写そうとしているのは翔太と悠太。

「なんだか、すごく悔しんだけど後姿がしっくりいくというか。」
「なんか悔しいっすよね。すごく似合ってる。」
「声もこんなに合わせれるんだ。練習しなくてもいいじゃん。」
「聞き惚れるなぁ。逆に、西村さんのようなkeyの人間だと
 一緒に歌っても似合うってことだよな。」
「渉。お前じゃ無理だ。」
「圭一郎。お前もじゃん。」
「翔太。翔太だったら合わせてもしっくりいくんじゃね?」
「どうかなぁ。少し西村さんはトーン低くて響くような声だし。」
「でもあの後ろ姿は二人いいシーンだよなぁ。」

庭から話しをしながら入ってくる7人。

「西村さん、弓弦。ただいまです。」
「おかえり、んじゃ冷蔵庫に入れてて。まだはやいっしょ。」
「そうだなぁ。んじゃ、練習を見学しとこう。」
「ほんと、よく声があってるよな。」
「みんなでやる?」
「弓弦さん。僕一度弓弦さんと合わせてみたいな。」
「翔太君と歌うの?」
「西村さん。今の曲の譜面を見せてください。」
「あぁ。翔太の声だとこの曲は3人で歌ってもいいかもな。
 チャリコンの時は仕事なの?」
「お昼の取材だだしと思ってこっそり見に行こうと思ってましたけど。(笑)」
「参加はしないのか?」
「したら大変っしょ、あんな場所で。」
「とりあえず、譜面。みんな一人づつ弓弦と歌うか。」
「それ聞いて、でる人決めるか(笑)」
「真面目にいってんの?西村さんの役どころ、奪える人はいないでしょ。」
「わからないぜ?弓弦の声と一番相性がいい奴がやった方がいいからなぁ。」
「いやですよ?他の人と合わせるの。本番すぐなのに、遊ぶのはなぁ。」
「まぁまぁ、弓弦。弓弦の声と誰の声が一番いいか合わせてみたいじゃん。」
「西村さんも余裕ですねぇ。」
「いやいや、さっきのだと全然いつでもOKな感じじゃん。」
「弓弦さんキッチン借りる。準備するからさ。」
「圭一郎さんがやるの?大丈夫?」
「あぁ、大丈夫。おい賢一。お前手伝え。」
「俺がっすか?」
「お前は弓弦さんの声とは合わないから参加しなくてもいい。」
「そこまで言うかなぁ。かわいい後輩に。」
「元原もだ。お前key高いからあわねぇし。」
「そうかなぁ。」
「お前たちが手伝わねぇと、食べれないぞ?」
「んじゃ、かかろう。賢一さんよぉ。」
「わかったぁ。」

3人でキッチンに行き準備を始めた。

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