森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 39

車に押し込まれた弓弦。口をふさがれ頭を押さえつけられ何もわからない。
後部座席に押し付けられて何が何だかわからないまま車が急発進した。
蛇行に蛇行を重ね、その公園から遠ざかる車。
追跡をかける警察の車もバイクも何もかもがついて来れない。
その上に覆面の追手がかかるが、仲間のバイクが遮り邪魔をする。
その周りにいる人々は何かのロケがあっているのかとただただ茫然とそれを見ていた。
警察も何もかもが嘘物だと。
右に左にハンドルを切り逃走車の中でもバランスがとりにくく
弓弦は全く立ち上がれない。殴られ蹴られ体中が痛いために
後ろの席に座れずそのまま倒れ込んでいる。
それを抑えるように仲間が毛布を掛け抑え込んでいた。
かなり激しく車の中で叩きつけらてている。
車酔いを通り越してめまいが弓弦を襲いまともに顔をあげようと抵抗できないほどだった。

犯人らは一度銀座を離れ町中をうろうろと走り回る。
気づかれないように少し周りを走り回ったその強盗に使った車は
3ヶ月ほど前に群馬県内で盗んだ盗難車で、色を変えナンバーを変えて使用。
追跡を振り切った後しばらく走り回り街中の大きな立体駐車場に入りその車を乗り捨てる。
その場所にはもう一台逃走用の車が用意してあり着替えをし、荷物を乗せ換える。
捨てていく車の中を、必死にふきあげるやつもいれば
乗せ換えたバッグを外から見えないように上に荷物を載せたりしている。
弓弦も一緒に降ろされ、目隠しをされているうえにサングラスをかけさせられた。
きちんと計画されていたかのように、決められたようにすべて進んでいる。手際よく。
車を変えると、その場を離れ首都高に乗ったのか高速道路に入ったのか
車の振動が遠出をする時の振動に似ていると感じた。
しばらくしてパーキングに寄ったかのかと感じたが、すぐに出発。
目的地までを急いでいる様子だった。
少し遠くまで来ているのだろうか、検問という検問にも引っかからずに
都を出ていける様子だった。
しばらくすると、山道に入ったのだろうかそれとも田舎道のような
振動が激しく伝わってくる様な道を走っていると感じていた弓弦。
どこに連れて行かれているのが不安になってきていた。
しかし午後にはどこかについたようだった。
そこは長野との境にある、仲間の一人の自宅倉庫に向かったようだった。
日が暮れるのが早く感じた。本当に真っ暗になっていくのが肌で感じられる。
一晩そこで静かに身をひそめるため、車の中に一人弓弦をのこし一度その倉庫を離れた。
夜が明けた早朝、犯人たちの中の2人が倉庫に戻って
車の外で何かごそごそと物音を立てている。
車は真っ黒い商用バンに見せていた。
窓も黒フィルムが貼ってあり、後ろの席が荷物を置いている雰囲気を出してあり、
運転席や助手席には商いをしている車のようにいろんな書類とかを
置いてあり怪しまれないように車の中が見えるようで見えないようにしてあった。
それを二人で違う車に見せかけた。
まず、車体の黒い塗装。天井の方からバリバリと何かをはがしている。
バスなどの大型車両によく使われるラッピング塗装の塗装膜だ。
それをはがすと、ブルーのツートン塗装が出てきた。
次に窓の黒いフィルムをはがし、ミラーフィルムを張り付けた。
車の中には弓弦がいたが縛られ口をふさがれていたために動けないでいたが、
作業に邪魔だといい倉庫の端におかれた椅子に座らせられた。
車の中の後ろの座席を外し、大きな釣り用のクールコンテナを積み
上の方には釣竿を置くためのバーが取り付けられる。
数ほんの釣竿が置かれ、雑誌やいろんなものを釣りを楽しむ車にかえられた。
そうしているうちに残りの犯人たちがこの倉庫に戻ってきた。

 「おい、済んだか?」
 「あぁ、済んだ。行くか?」
 「着替えたか?お前ら。」
 「俺はこれでいいが。」
 「行くか。そのボックスに女を入れろ。死んだら困るから少し隙間を作っておけ。」
 「じゃ、マンションまで行くがいいか?」

犯人たちは、弓弦をクールボックスに入れその場を離れた。
きちんとその倉庫の中には車を変えた際に出たごみなどを
すべて焼いて証拠を残さないようにして。
そして、別の仲間が借りたマンションへ移動した。
一度、途中でコンビニらしきところに寄ったらしいのが、
気が付いていた弓弦にはそこがどこなのかは全然見えないのでわからない。
不安ななか、隠れ家らしきところの駐車場に着く。
弓弦はクールボックスに入れられたまま、部屋に連れて行かれる。
建物の内部にある感じの所に車が入っていったのはわかった。
そして車が停まるとみんなで釣りの話をしながら車の周りでざわざわしている。
知り合いなのか誰かが話しかけている。連れたのかどこで釣ってたのか
ボックスには何の魚が釣れて、とかそんな話をしながら笑い声が響く。
クールボックスが車の中から出され、
空を舞うようになんだか足場が悪い階段を上がっていったような不安定な状態になり
抱えられて移動しているとわかる弓弦。しかし動けないので
ボックスの中から音を立てたりバランス崩させてボックスを落とさせたりはできなかった。
玄関が開く音がする。部屋に移動すると厳重に玄関のかぎがかけられる音がする。
弓弦はボックスから出された。小さい明りがつけられているだけの暗い部屋。
その暗い部屋はカーテンがきっちりと閉められひかりも入ってこない。
何も置いてないフローリングの部屋。ただ数枚の毛布とクッションがあり
そこに弓弦が転がされた。コンテナの中から、音が出ないようにそっと
転がされたが犯人の一人が機嫌が悪かったのか弓弦を蹴りつけた。

 「おい、やめとけ。親父が手を出すなって電話してきただろう。」
 「なんかこいつの顔が気に入らねぇ。」
 「やめとけって。無事に逃げても、親父に睨まれたらそこでおしまいだ。」
 「そうだ。命だけは手を付けるな。どう遊んでもいいが命だけは手を出すな。」
 「兄貴、いいのか?上玉だぜ?こいつ。」
 「やめとけ、手ぇ出すなって言われてんじゃん。」
 「そうだな。とりあえず、騒がないようにしておけ。」

弓弦は蹴られたときの痛みに耐えれずに、意識が遠のく中
一人だけ聞いたような声だと考えていた。
都内だが都心部から少し離れたマンションに6人は隠れていた。
弓弦を動けないようにし、弁当を食べながら6人で逃走する計画を立てている。
6人の犯人の誰かの部屋には間違いがないが、都内のマンションには違いがなさそうだ。
またしばらくして隣りの部屋で6人が話す声で弓弦は気が付いた。

 (ここはどこだ?)
 (痛い。手が痛い。)
 
少し体を動かしただけですごい痛みが体中を走る。
部屋が薄暗かったため、縛られたまま動こうとして
壁にぶつかり音を立ててしまった。

 (おい気が付いたのか?)

ドンとドアを蹴飛ばしあけて入ってきた一人。


 「久しぶりだな、弓弦。」
 「・・・・・・・・んっ。」
 「喋るな。お前綺麗になったなぁ。」

そう話しかけると弓弦の足に手を持っていく。
触られるのが気持ち悪く感じる弓弦はその足をひっこめる。
ひっこめた瞬間弓弦の頬に痛みが走った。



青白い弓弦の頬口の端から血が流れている。

 「お前さ、相変わらず愛想悪いな。痛いか?苦しいか。
  ははは。みじめだな、その恰好。
  世間ではお前を無傷で返せと騒いでいる奴いるらしいが
  それはお前次第さ。おとなしくしてるんだな。」
 「おい。和哉、何している女はおとなしくしてるか?」
 「あぁ、大丈夫だ。それより、横浜からどっちに抜けるんだ?」

そういって弓弦のいる部屋から出て行ったが、ドアを開けたままこっちを見ている。
弓弦は何がどうなったのかはわからないまま縛られ部屋にいる。
しばらくして和哉が近づいてきた。

 「なぁ弓弦、この部屋を汚されても困るからトイレに連れてってやる。
  騒ぐなよ、俺はお前を手にかけたくないからさ。」

そういって弓弦の口のガムテープを外す。

 「なんで?なんでなの?」
 「黙れ。黙っていればお前は俺らが逃げた後解放されるんだ。
  黙れよ。」
 「何があったのさ。強盗してさ。」
 「金が要るのさ。金が。ただそれだけさ、くび突っ込むんじゃねぇ。」
 「すんだら、でて来い。なにもしゃべるな。」

部屋にまた戻される弓弦。前よりもきつく縛られた。
口にガムテープをされる前に一つ聞きたいと弓弦が言った。

 「誰かが撃った西村さんはどうなった?martinの橋本はどうなった?」
 「命には別状はないとニュースで言ってたよ。それでいいか?」
 「いや、それでいいかじゃなくて、怪我は?」
 「西村正弘の方は意識は不明の重体だが命には別状何ともないそうだ。
  若造は、弾が貫通しているから大した怪我じゃねぇ。」
 「そうか。ならいい。」
 「弓弦、人の事ばっかり心配するんだな。
  ちぃっとは自分の命でも心配しろよ。あんまり騒ぐと
  無事には帰れないぜ?」
 「あたしはいいんだ。あの人たちが無事ならば。」

弓弦はそういうと大人しく口にガムテープを張られ、転がされた。
誘拐されてどれぐらいの時間がたっているのかがわからない。
今はどこに閉じ込められているのかがわからない。
ふと気が付くと、真っ暗だし2,3時間おきに和哉がトイレに連れて行くだけ。
食べ物もくれるが弓弦は食べれない。緊張に包まれて体が受けつけようとしない。

 「弓弦。お願いだから食べてくれ。お前に何かあると俺がやられる。」
 「食べれないんだ。ごめん、和哉。」
 「俺はお前に嫌われているんだな。大学の時とちっとも変らない。
  お前は俺を嫌っているんだな。」
 



誘拐をしたのは下っ端連中に交じっているのは弓弦の大学時代の元彼。
高橋和哉だった。弓弦は彼がそういう立場の人間になっていたのが
悲しくなってきた。あれから彼に何があったのだろうと。
あのころの優しい高橋ではない。
今は金目当てに強盗をし、仲間が発砲してけが人をだし警察に追われている犯罪者。
彼が大学を出てからは、弓弦もなにも知らないのだけれど
弓弦自身はこんな風は生活をしている彼だとは思いもしていなかった。
隣りの部屋で彼らは逃走する経路を決めたようだった。

あれからどれぐらいの時間が過ぎただろう。弓弦の意識も時々途切れる。
明るいのか暗いのか昼間なのか夜なのかわからなくなってきた弓弦。
強盗事件があって、本当は2日しかたっていないのに
幾日もたったような感触がある。部屋から声が聞こえなくなった。
弓弦は気になって開いているドアから隣りの部屋を見るとだれもいない。
荷物もない。どうしたのだろうとみていると、和哉が戻ってきた。
誰もいないわけじゃなかった。
それぞれがそれぞれの生活を守りつつも起こした強盗事件。
バイトしている人間や仕事をしている人間は怪しまれないように
毎日の行動を何もなかったかのようにしているだけなのだ。
和哉もその自分の仕事から帰ってきたのだった。


 「次の日曜の朝、逃走する事にした。逃走経路も決まった。
  お前もつれて途中まで行く。連れて行かれる。
  途中で追いかけられた時の人質だからな。
  でも、いいか。俺はお前を助けたい。だから言うことを聞けいいな。」

 (うん、わかった)そう弓弦はうなづく。

 「夜明け前にバンに乗り込む。金と仲間と。
  二子玉川沿いを横浜に向かって堤防沿いを走る。検問がないところをだ。
  ある橋のたもとに来るとき俺はお前を車から突き落とすからうまく転がれ。
  俺は奴らには何にも言ってない。ただ、お前を川沿いで突き落すとだけしか。
  だからそこでけがをするか死んでしまうかはお前次第だ。
  もうすぐ仲間が帰ってくる。いいな。
  お前は俺が言ったことを守れ、生きて帰れ。いいな!」
 
弓弦はありがとうと涙ぐんだ。
また一人部屋の戻された。一人一人帰宅するとそれぞれの分担で準備をしている。
逃亡するにはかなりな神経を使うが、この隠れているマンションにも
警察の手が伸びてきたらしい。時間がないようなのだ。
彼らは相当な焦りの色が見えている。
ここも引き払うがために荷物は置いてはなかったが、部屋に有るTVだけが
煌々と夜の明かりとなっていた。窓から見える景色も何の変哲もない
普通の景色だが、電車の音と子供の騒ぐ声とが夕方に聞こえていた。
和哉が話した二子玉川の川沿いのどこかなんだろうけれど
誰にも連絡を取るすべがない。ただ、まだ計画は実行されない様子だった。

ある昼間、チャイムが鳴り犯人の一人がチェーンをした玄関を開ける。

 「こんにちわ。警察の者ですが。」

そう笑って話す警官二人組、部屋の中を覗くように話を始めた。

 「こちらはどなたが?」
 「あぁ、俺の部屋だけど。もう引っ越すので引っ越しの準備で。」
 「そうなんですか。いやね、最近ここら辺でも不審者騒ぎで
  私たちも住民の皆様にいろいろと話を聞かなければいけなくてですね。」
 「そうなんですか?」
 「痴漢も多いし、ほら。この間の銀座の強盗誘拐事件もそうだし。」
 「世の中は大変ですねぇ。」
 「まぁ、何かありましたら私たちはその角の交番におりますので
  些細な情報でも教えていただけたら助かります。
  お引っ越しの準備で忙しいのにすみませんなぁ。ご協力お願いします。」
 「はぁ。」

そう言って犯人の一人はドアを閉める。それが犯行から4日目の日中だった。

弓弦は空腹もあるのだが、あまりの緊張に気を失っていた。
5日目の夜、犯人達6人は車にいろんな物を運び準備をしてた。
ここ数日一時間おきに警戒に回るパトカーが増えた。
何かを感じているのか昼間も警官が増えたような気がしたと仲間どうして話をしている。
7日目の夜、6人が部屋に集まった。電気を消し、懐中電灯だけで部屋にいる。
外から見るとへんな部屋だが、上の階のために中が見えない。
そのため普通に誰かが住んでいる部屋としか見えないようにしてあった。

 「早朝4時。ここを出る。金は分けたか?」
 「1億づつ分けた。ちゃんとバッグに入れてあるだろう。確認したか?」
 「あぁ、俺のもある。」
 「俺もだ。」
 「それぞれそれを抱え車に乗れ。」
 「今何時だ?」
 「3時だ。」
 「おい、女を起こせ。連れて行く。」
 「わかった。」
 「これから10分おきに部屋を一人づつ出る。」
 「女を連れて出るのは最後だ。誰かに見られたら
  泊まっていた彼女が熱で動けないので救急に連れて行くと言え。
  わかったな。」
 「わかった。」
 「じゃ、移動する。」
 「おい、お前。女の隣に座って、打ち合わせ通りの所で
  車から突き落とせ。そのまま、停まらずに行くぞ。」
 「わかった。」

一人づつ、部屋を出ている。弓弦は意識がもうろうとしている中
犯人に口をふさがれ身動きできずにいた。しかし弓弦を抱えて出るのは和哉だ。
そして隣に座り計画通りに車から突き落とすのも和哉だ。
他の人ではない和哉だ、弓弦はうつろう意識の中で和哉の言葉を信じ
犯人たちの車に乗せられる。
ここはどこなんだろうと、外からは見えないフィルムが貼られたバン乗りこんだとき
目を凝らして外を見ようとするがわからない。見えないのだ。
何も食べずに、縛られて閉じ込められていた弓弦。
動けずに頭をうなだれるしかなかったが、乗り込んだときに窓にもたれかかり
外を見ようとしていた、うっすらと夜が明ける街並みがぼやけてしか見えない。
一週間も緊迫した暗い部屋の中で緊張していたためか、あまり周りが見えてこない。
声も出ない。自分で自分を動かすことも不自由に感じている。
自分でも息をしているのがやっとな状態だとそう感じてはいた。
しかし、和哉があたしを突き落す時それだけはしっかりとしないとと。
最後の少ししかない体力を温存しようとしなければならい。
弓弦は黙って和哉の横に座っていた。
土手を走る逃走の車が勢いよく走り過ぎる。飛ばし過ぎだ。
乗り込んで10分過ぎたぐらいか少しすると、
明るくなる前に弓弦を突き落そうと車のドアが開かれた。
耳元で和哉がささやく。

 (弓弦、今でもお前を愛している。生きて帰れっ!)

そう言って、思いっきり弓弦を車から突き落とした。






弓弦は勢いよく突き落とされ土手の草むらに転がり落ちていった。
全身を強く打ちつけてしまい、気を失ってしまいそうになった弓弦。
そのまま草むらを転がり落ち、橋の欄干に激突してそこで停まった。
その場所でぶつかって止まらなければ、
動けないまま川に落ちてしまうところだったのだが、和哉は川に落ちないよう、
ドアを開け突き落す瞬間橋の欄干が見えた時に弓弦を突き飛ばしたのだ。
車のスピードがあまりにも早かったため力いっぱい突き飛ばさないと
川に落ちてしまうと思い、和哉の弓弦に対する優しく思いやる気持ちは
力いっぱい弓弦を突き飛ばしたのだ。
そのあとだ。何か滑るようなキーと言った音が遠くでしたかと思うと
すごい大きな音がした。車の爆発音だ。
気を失って意志が遠のいていく弓弦の耳に微かにその音だけが残ったまま
意識を失っていった。


















UFJ銀座での銀行強盗が起こり、そのそばの公園でチャリティーをしていた
弓弦たち銀座の仲間で集まって楽しかった日曜。
その楽しかったはずの場所で強盗犯が目をつけ発砲し逃走のために人質を取った。
UFJ銀行銀座支店での強盗誘拐事件。
その犯人の潜伏先は驚いたことに、狛江の弓弦の自宅から
車で一時間ほど離れたところにあったマンションだった。
一週間たったその朝、犯人組6人はそのマンションから移動するために
朝早く多摩川の土手を走り、人質である弓弦を車から突き落とした。
しかし、あまりのスピードで走っていたため弓弦を突き落した後の車両を
パトロール中のパトカーが遠くからそれを見つけ近づいて行った。
あまりに不審な運転をしていた車両のためにその車を追っていこうと
赤く煌々とパトランプを付けたとたん 犯人たちは動揺しスピードを上げた。
その追いかけはじめたパトカーとは別に巡回中らしきパトカーが
前の交差点の右側からまた一台パトカーが出てきたのを見た瞬間、
逃げようと急にハンドルを切ったため、パトカーが何かおかしと思い追跡を始めた。
しかし、逃げるためにかなりスピードを出していたため線路の近くまで行ったときに
ガードレールにぶつかり、沿道の街路樹に当たりながら
ブレーキが利かないまま線路の下をくぐろうとし
瞬間ハンドルを切りそこね橋脚に激突炎上した。
弓弦が突き落とされた場所から5kも離れていたのに、
弓弦の耳にも激突した音が残るぐらいに、すごい炎上事故だった。

6人全員死亡する事故となった。
はじめに犯人は5人と思われていたため、激突して車が炎上し
6人の遺体が見つかった時は、一人は弓弦だと思われてしまった。
遺体安置所には、ひかりの両親と弓弦の爺さんが
朝早くに連絡を受け呼ばれたがどの遺体も身長や体格が違い過ぎ、
弓弦と確認できる遺体がなかった。

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