森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 52

一方のひかり。弓弦が見つかって意識が戻って
そんな時間の流れの中で一人考え事をしていた。

チャリティーコンサートの前の日、誠を連れて家に帰ってきた弓弦に
なぜかひかりは不思議な顔をしてしまった。
母さんと父さんとあたしと誠さんを一緒に、何を話すのだろうと思ったら
西村さんとの結婚の事。そして誠さんと弓弦の関係の事。
ひかりは、びっくりして翔太の事や槙村のことを話し、本気で弓弦を気にしているのにと。
今更のごとく弓弦は言ってたが、でも決めたことは決めたこと。
西村のプロポーズに弓弦自身結婚することを決めたと
話をしていたあの夜のことが、ひかりはすごく気になっていた。
何かを感じて西村のプロポーズに返事をし結婚する約束をし
誠さんにも自分との兄弟というつながりを改めてあたしたちに紹介したのかもと。
まさか強盗のついでみたいに西村さんが撃たれ翔太君が怪我をし
自分が誘拐されるとも思ってみなかったのだろうが
事件に巻き込まれた弓弦が無事に戻ってこれると信じたい。
だけどその前の日にあらたまって伝えたいことを伝えたりしてたから
もしかしたら帰ってこない気がしてたのかと、
心に秘めているものをきちんと話しておかないとと。

もしかしたら何か起こって命を落とすこととなったりするとか
どこかで感じ取ってそう決めて話したのか、
でなければ、結婚を決めたり改めて紹介したりそんなことをと。

弓弦が誘拐された時は、会社の方にも翔太が撃たれけがをしたと一報が入り
社内の受付にいたひかりは何が起きたのかを理解できないでいた。
それも耳に入ったのは翔太君と西村が撃たれてけがをしたそれだけ。
しかし、事務室にいた人がTVを付けてみていると速報が流れ
怪我をした二人の事だけではなく、弓弦が血まみれのまま誘拐されたとながれ
それをひかりの目に耳に入り何がどうしたのか思わず泣き崩れてしまった。
時間にタイムラグがあるのだろうが、ゆかりがひかりの代わりに受付に立ち
社長が受付の事務室にいるひかりを別室に連れて行こうとしていた。
弓弦のことを知っている秘書らも社長の指示に従ってひかりを抱きかかえ
マスコミの目に触れないように、隠してた。
社内でひかりを移動させていると、そのチャリティーにいっていた秋山や
槙村たちが帰ってきて詳しい話を社長としていたのを
遠のく意識の中でひかりは見ていたのだった。

別室のソファで横にならされていたひかりは、その様子を詳しく知ってしまう。
話をしていた秋山と槙村・martinの4人に、隠せはしないとひかりに話をされ、
とにかく、家に帰り自宅待機し弓弦さんとの連絡をきちんと待ってほしいと言われ
社長の車の運転手をしている城田に社長は自宅へ送らせた。
家に着くと弓弦が誘拐されたことを伝えると、ひかりはショックのあまりに
倒れ込んでしまい、次の日の朝まで起きて出て来れなかった。
朝起きると、TVをつければその話題で持ちきりでM'scompany前からですと
中継で会社が映る。TV局に行っているmartinらにも取材の嵐に巻き込まれ
仕事をする状態ではなくなっていた。
martinの一人の翔太が怪我をしたそれだけで、マスコミの餌食になっていた。
その時に弓弦のことを根掘り葉掘り聞く人たち。
それでも余計なことは言わずに、4人で頑張るんだと怪我をした
橋本翔太や西村正弘さんのために自分たちは与えられた仕事をきちんとこなすのみと
そう話しながら気丈な態度をとっていた。
それが西村は怪我したが手術は成功だし次の日の午後には意識を取り戻した。
そしてそのあと一週間ほどで翔太が退院することとなり、
後は弓弦だけを待つのみの現実だけが残っていた。



その翔太の退院の朝のあの事故。
まさか犯人たちの車の炎上事故が起こるとは思ってもみなかった。
警察から電話が来て、犯人グループと思われる車の事故で
全員の死没が確認され6人の遺体がある。
遺体を確認してほしいのだけれどと連絡があった時には
弓弦はこの世にはいないと、そう肩を落としてしまったのに
いざ警察に行くと、その6遺体の中に弓弦らしきものがない。
ひかりもひかりの両親も遺体確認をしに来たのだが、
その悲惨な遺体は見られる状態の物ではなく、
ひかりの父が警察に人間と一緒に見るしかなかったのだが
ひかりの父は一つ一つ確認するが当てはまる体がどうしても見つからないと話していた。
父と警察が遺体安置室から出てくるとひかりは駆け寄りあたしにも確認をさせてと願い出る。
女性にとってその遺体確認はつらく悲しく具合が悪くなるものばかりなのに
ひかりは大丈夫と、弓弦でないことを確認したいと申し出て
女性警察官と担当の刑事と共に一人で入るのだが
やっぱり、弓弦に該当する体はないとはっきりと言えた。
その時点で、遺体を見て具合が悪くなるどころか弓弦はどこかで生きていると
無事にどこかに置き去りにされているか解放されているとそう言いきれた。

すぐに誠にメールを入れ、遺体がないことを伝え元原にもメールを入れる。
弓弦の遺体がないと。どこかに弓弦がいるはずと。
元原もすぐにみんなにメールで連絡、生存している可能性があるとまわした。
翔太もその昼には退院したのだが、元原のメールよりも先に退院手続きの時に流れた
TVのニュースで弓弦が生きている可能性があると知り
西村の所に駆け込んで弓弦さんを探しに行くと出て行った。
その病院を出たところで元原たちと合流、事故があったところから
少しづつ範囲を広げくまなく探し始めた5人だった。
そう、誠や貴志たちとは別に。
そのあとすぐには弓弦が見つかることはなかったが、きっかけはすぐに来た。
西村は寝ていた。寝ていたのだが、携帯は充電するために
自分の近くにはおいてはいなかったらしい。
ひかりはその前の日に元原たちと一緒に西村をお見舞いに来てたのだったが
あまりに遅く来たために、ほんの少しの面会で帰って行ってしまったのだけれど
帰るときに、誰からかメールが入ってたらしく返信をしないとなと笑ってた西村。
窓際に移動し、ひかりたちにまた明日というとメールを返信し始めた。
こまめな人だと思いつつも、あんなにメールしてたら電池無くなるのだけどなぁ
とみていたのだ。そんな西村、充電器の携帯を置き眠りにつく。
事故の後意識が戻り弓弦のことを気にかけていた西村は
夜、眠れないことが多くなり睡眠導入剤を処方され、それを飲んで眠っていたのだが
そのことだけはひかりたちも知らなかった。

弓弦が見つかるまでのその短くて長い時間の流れの中で
一人一人の時間が弓弦を中心に流れている。
見つかった弓弦とこれから先の関係がどこまでどういう風に広がるのかは誰もわからない。
ただ、たくさんの人の流れは弓弦を介して流れている時の流れなのだと。

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