森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 53

弓弦が気が付き、ひかりの父や弓弦の祖父やいろんな人の出入りが
この数日であった。もちろん警察の人たちも。
弓弦が気が付いたすぐに話したことを警察も調べてその都度弓弦に連絡を取っていた。
こんなに面倒でしつこいことはなかったと思っていた。
その発表もあるので記者会見が少し遅れるとも連絡が弓弦に入っている。
誠とひかりの父と原田と来ていた日の次の日の午後、山村氏がお見舞いに来た。

「こんにちわ。弓弦君生きているかね?(笑)」
「男爵、お久しぶりです。こんな格好ですみません。」
「いやいや、楽にしてて。西村君ももうかなり元気そうじゃないか。」
「ありがとうございます。でも今日は?」
「誠君がな、面会できますよと教えてくれたんでな。
 週に一度は弓弦君の笑顔を見て元気をもらわないとね。」
「またまた男爵様は上手な褒め言葉で(笑)」
「でも、びっくりしたよ。西村君が血まみれでTVに映り
 若造は血まみれなのに泣いているし。」
「おまけに、弓弦が拉致られてでしょう?」
「そうなんだよそうなんだ。久原君も、それを見てて
 弓弦君が拉致られた場面でTVを壊しそうになったってさ。」
「久原様まで。(笑)」
「で、なんで西村君と同室なんだね?」
「同じ事件関係ということですよ。ね、西村さん。」
「お互い、怪我しているから動けないしな。」
「それだけか?」
「弓弦は動けないから、動ける俺が看病している部分もあるのですが
 俺は今度退院するので弓弦一人の部屋になりますよ?」
「ほほぉ。ならお見舞いに来るやつらが増えるな。
 西村君という邪魔者がいなくなるから。(笑)」
「男爵は今日はご機嫌におしゃべりだなぁ。」
「久しぶりに弓弦君の笑顔を見たからだな、きっと。
 でも弓弦君の怪我は?動けないということは????」
「右鎖骨の骨折と左肩甲骨の骨折。右足のなんだっけ?
 何か大きい筋肉の裂傷と右足首の骨折。」
「両腕にかかわるところをやられてるなぁ。シェイカーは振れるのか?」
「リハビリ次第でしょうが複雑骨折ではないので大丈夫かと。
 ただ問題は右足首。人工骨を入れる手術が待ってるんです。」
「歩けるようになるのか?また踊れるようになるのか?
 弓弦君はチャリティーでもがんばってただろう?」
「リハビリをうんと頑張れば問題ないということでしたけど。」
「どれぐらいかかるのかねぇ。それも弓弦君次第か?」
「男爵にはいつか話をしてたように西村さんの所の手伝いをしているから
 あまりひどいけがだと困るのですが西村さんの仕事は
 踊らなくていいのでいいかも。」
「でも弓弦君は山本社長が言ってたが、マネージメント契約をしたんだろ?
 ということはいっぱしのタレントだ。どんな仕事が入ったって
 動けないと活動はできないぞ?」
「男爵は何かしらどこかで情報を仕入れてきますね(笑)」
「昨日`mask´にも顔を出してきた。誠がな、誠や貴志君たちが
 いい顔をして仕事してたぞ。お前の意識が戻って仕事にも
 復帰をすると言い張ってたって。」
「もちろん、あたしの本業はバーテンダーです。
 リハビリのも目的は本業復帰が一番だから、頑張らないと。」
「でも、山村さんが`mask´に昨晩行った、山本社長ともお話をされていると
 何か確かめに来たのではないですか?」
「あはははは。何かわたしに隠していることでもあるのかね?」
「男爵。」
「男爵、あたし結婚するんです。」
「ほほぉ。」
「隠しててもしょうがないじゃないか、弓弦きちんと話さないとな。」
「男爵もきっと記者会見で驚かれると思うし、誠さんが何か話したんでしょう?」
「誠君が話したのは弓弦と誠が腹違いの兄弟だということ。」
「それだけ?」
「それだけではないでしょう?山村さん。」
「西村君が弓弦君を呼び捨てにしているということは
 やはり結婚するというのは本当みたいだな。」
「聞いたんですよね?誠さんから。」
「あぁ。でもやっぱり直接聞かないと私も疑い深い方でな。
 そうかぁ・・・・西村君の嫁になるのかぁ」
「大丈夫ですよ、山村さん。俺の嫁になっても
 弓弦はバーテンダーをやめはしませんから。やめさせると怖いし(笑)」
「男爵。どうせ記者会見があることだし、
 男爵には記者会見まではだまってていただくというお約束を。」
「なんだね?それはもう決めていることかね?」
「えぇ。」
「山村さん、原田氏にはもう伝えました。
 そして、退院して二人揃ってあいさつに行きます。
 弓弦さんを嫁にくださいと、緊張しましたが自分ではきちんといえたつもりです。」
「そうかそうか、西村君よくやったな。弓弦君、おめでとう。」
「ありがとう男爵。」
「弓弦君へのプロポーズは?」
「事件の前に。誘拐される前にはプロポーズして返事をもらってて。
 でも誘拐事件でしょう? 不安で不安でたまりませんでしたよ。
 弓弦が誘拐されたあの時間、心臓がつぶされそうでした。
 だけど生きて無事に見つかったあの日の朝、自分で俺にかけてきたんです。」
「弓弦君はそっかぁ・・・・・。西村君に助けを求めたのか。
 君らのかかわったこの事件、私と久原君には元気になってから
 きちんと聞かせてほしいな。ネタに使えそうだし(笑)」
「小説のネタですか?」
「そうだろう、いいネタだ。あの銀座で強盗して、弓弦君を連れ去った。
 連れ去ったはいいが、この都内では逃げれないと思われたのが
 影も姿も見当たらなくなってしまい行方が見事にわからなくなった。
 こんな事件はめったにないぞ?」
「あたしが覚えていることは警察にも話はしましたが
 きっと真相がどこかにあるはずで、あたしの覚えていることと
 事件がつながったら、きっと山村さんは筆を走らせるのでしょうね。」
「その話を、もっともっとミステリアスにして小説にしたいものだ。」
「それ、面白くなりますか?」
「あぁ、絶対。弓弦君がトラウマのように思い出すのではなく
 あの事件がこんなに別物に変わり頭を使わないと読めないような
 推理の殿堂入りしたくなるぐらいの物を書いてやるさ。」
「確かに、あの事件であたし一つ失ったものがあります。」
「なんだね?」
「過去の恋愛を。」
「何かあったのかね?」
「まだあたしが落ち着いていないのであたしの口から話すことは難しいのですが
 でも警察には話をしましたから、落ち着けば山村様にも。
 あたしの覚えていることを山村様にもお話します。
 きっといいネタにしてください。
 過去にとらわれていると、せっかく誠さんがお兄さんだとわかり
 原田のお爺ちゃんと家族になるのに。そして、その手で西村さんの所に
 嫁に出される。そうやって西村さんの所へ幸せをつかみに
 嫁ぐのですから過去にはとらわれたくないんです。
 そうしないと過去に幸せになれと言っていった人に対して失礼になるしね。」
「弓弦君もそういう風に前向きな考えを話すことができるようになったか。」
「前を向かないと後ろ向きが嫌いな西村さんに嫌われますから(笑)」
「そうだな、愛している人に嫌われることが一番つらいことだ。」
「でも5年越しに手に入れた弓弦ですから、そうそう手放しませんし。」
「西村君はそんなに頑張ったのかね?」
「あたし頑固者だったらしいですから(笑)」
「なかなか落ちてくれなくて、仕事に誘い込み手放さないように
 頑張ったんですがなかなか。その上にひかりちゃんの会社の
 アイドルたちに目をつけられるし、ひやひやものでしたけど。」
「そうだろうなぁ。でも弓弦は誰の手にも落ちなかったんだろ」
「だってあまりねぇ、自分からこの人って気になる人はいなかったしさ。」
「その割には翔太君はまんざらでもなかったんじゃない?」
「西村さん焼きもち?翔太君はかわいいじゃないですか(笑)」
「でも弓弦君。あのmartinの子たちは弓弦君よりも年上じゃないのかね?」
「そうそう、弓弦は弟扱いしているけどあいつらはみんな弓弦よりも年上だぞ?」
「そうなの?悠太君もさ、かわいいし翔太君だって
 あたしの小さいころみたいなんだもん。」
「あははははは。弓弦君には形無しなやつらだな。」
「ところで、誠君はまだかね?」
「今日は忙しいんだと思うのですが来るのであれば
 いつもこの時間までには顔を出すんですけど。」
「ということは、忙しいのかもな。」
「お姫様はどうしているんだ?」
「ひかりですか?」
「そうそう。弓弦君の所のお姫様。」
「きちんと仕事に行っていますよ。受付をきちんと守っているらしいです。(笑)」
「いや、今度な。今度久原氏がシナリオいているらしいぞ。
 やっぱり弓弦君が主人公らしい(笑)」
「またですか?」
「あのTVに映るお前の誘拐されるときのあの表情。あれを見たら、みんな虜になるぞ。」
「弓弦は美人というだけでなく、人を引き込んでしまう何か力がありますものね。
 まぁ、それにまんまとはまった俺ですが(笑)」
「あはは。でもその推理物だが少し見せてみらったよ。
 すごく面白い、そしてストーリー的にも引き込まれるような感触がある。」
「でもそれはTVドラマになるにしろ映画になるにしろ演技の上でのシーンでしょう?
 俳優ならできて当然。ラブシーンでも完璧にするのがプロですから、きちんと。」
「西村君はそういうことにはやきもち焼かないのか?
 もし弓弦君に濃厚なラブシーンがあっても?」
「そういうのの練習は俺でやってもらいますし、
 同じ事務所のタレントとして失敗と思われるような
 そういう演技は見せてほしくないですから
 真面目に体当たりでやっていただきますよ(笑)
 て言うか弓弦?何黙ってるの?」
「ねぇ、あたしのさ。あたしスクリーンデビューするの?」
「そうかもしれないが・・・・・・。」
「本業は?そういうのに出てしまったら、バーテンダーやっていけるの?」
「やればいいじゃない。お前はバーテンダーが本業だ。
 事務所で担当マネージャーがそろそろ決まるし
 お前の売り出す方向性も何もかもがお前の退院とともに決まる。
 その時にきちんと自分の意見を言えばいい。」
「そうだな。無理してそのオファーを受けなくてもいい。
 受けるにしても、条件を出せばいい。
 きっとどんな条件でも久原氏はのむとおもうぞ。」
「でも、あまり気が進まない。あたしいくらマネージメント契約をしても
 西村さんのそばでの仕事以外はしたくない。」
「そこまで西村君のそばに居たいのか?暑いなぁ、ここでのろけられても。」
「やだ、そんな意味じゃないですって。」
「俺もあまり俺から離れての仕事はさせたくないですし
 まず、大体俺のチームメンバーなんだしな。」
「でも契約をしたら稼いでもらわないといけないだろう。
 もし、そういうオファーがあればどんどん出たほうがいいと思うが。」
「弓弦しだいですね。
 俺は俺のチームの仕事をバーテンダーという本業の次にメインで仕事してほしいし
 俺から離れての仕事はさせたくないし(笑)
 でも、今回martinの新しいアルバムに参加してしまったからなぁ。
 次もそれに関してオファーが来るぞ(笑)」
「あたし自身どんな仕上がりになっているか聞いていないけど
 きちんと、守ることを守ってあって西村さんやお爺ちゃんにも
 恥ずかしくないようなできばえだったら、次のオファーは
 前向きに考えてもいいと思うけど。」
「あぁ、元原君が言ってたらしいぞ。次お見舞いに来るときに
 そのアルバム発売前だけれど試作が出来上がったから
 持ってきますって。」
「ということはその試作で発売日が決まるんじゃないの?」
「試作というよりも、多分発売前のを持ってくるんじゃ?」
「そっか・・・・あたしが拉致されてこれまでの間に、
 どんどん話は進んでたんだもんね。」
「だなぁ。弓弦君が見つかるまでには、恥ずかしくないものにするために。
 そして、君が見つかってみせれる状態になった時に
 恥ずかしいものとはならないようにみんなで頑張ったんだろう。」
「そうですね。弓弦、見せられてもダメ出しはできないぞ?
 みんなで一生懸命お前に見せるために恥ずかしくないようにと
 頑張って作り上げたものなんだからな。」
「わかってるって、わかってるよ。
 かなり心配かけてしまったみんなにどうしたらダメ出しなんかできるのさ。」
「いやいや、お前だとなぁ(笑)」
「そう言えば、その久原君の小説が映画になるとしたら
 きっと弓弦君たちに話が行くと思うのだけれど、
 弓弦君は川上社長伝えで回せばいいのだろうが、ひかり君は?」
「ひかりはM'scompanyの社員ですし、その会社の受付嬢でしょう?
 となると、やっぱり山本社長伝えで回さないと会社内では
 どうしているのかがわかりません。
 というよりも、久原氏はなんであたしとひかりとをって?」
「それがな、久原氏がシナリオを作り上げている中で出てくる
 主役たちがなイメージ的にひかり君と弓弦君と橋本君と大川君らしいよ。」
「どんなストーリーなんだろうなぁ。少し話が進むと
 きっと仕事として話が聞けるんだろうけど、今の段階ではなぁ。」
「弓弦君。万が一だが、久原氏の依頼があった場合どうする?」 
「どうするって・・・・・どうしよう。」
「弓弦。俺はお前が思っている通りでいいと思うが。
 断れないだろうし、断る理由もないだろう。
 久原氏だし。断ると久原氏が悲しむからな。」
「まぁ、今の今っていう話ではないしゆっくりと考えたらいい。
 どっちにしても、結婚式が先だろう。」
「なんだがなやむこと多くてまいってしまうなぁ。」
「あはははは。弓弦君は誰もが話したくない存在になってしまうのだろうな。
 西村君。しっかりと弓弦君を捕まえておかないと。」
「もちろんです。絶対にもう手ははなしませんから大丈夫ですよ(笑)」
「弓弦君、君は幸せ者だ。こんなに思われて。この手を放すんじゃないぞ?」
「弓弦の手を放したらつかさずかっさらわれてしまいますから(笑)」
「そうだったなぁ。西村君にはたくさんのライバルがいたものなぁ。」
「男爵。大丈夫です、多分ですが(笑)」
「多分なのか?」
「だって。」
「まぁいいじゃないか、弓弦君の気持ちはきちんと西村君の方を向いている。
 心配しなくとも大丈夫だろう。」
「今日はいいことが聞けた。いい感じで今日の筆を進めようかの。」
「男爵、まっすぐ家に?」
「締切が近いからねぇ。西村君、きちんと日取りが決まったら
 私にも教えてくれよ。」
「もちろんです、山村さん。」
「弓弦君。」
「なんですか?男爵。」
「きちんと私にも招待状を忘れずにな(笑)」
「結婚式の?」
「あぁ、そうだ。」
「弓弦、きちんと名簿も作らないとな。」
「面倒な・・・・・だから結婚式とか嫌いなんだよなぁ。」
「弓弦君、人生の中で一番綺麗な時に嫁ぐんだ。
 みんなにきちんときれいな君を見ていただかないとな。」
「男爵、よくそんなこっぱずかしいことを言えますねぇ(汗)」
「男だと自分の娘が嫁ぐときを思えば誰だってそう思うさ。」
「とりあえず、男爵。記者会見まで楽しみにね。」
「あぁ、じっと我慢するよ。西村君、弓弦君。
 おめでとう。そして、記者会見楽しみにしているよ。じゃぁ。」
「お見舞い着てくださってありがとうございます。
 また、きちんとご挨拶に行きますね。」

部屋を出ようとしている山村氏の後を西村は弓弦を車いすに座らせ
一緒に下までと見送りについてくる。
下の階まで行くと、西村と原田の姿を見た人たちが騒ぎ始めた。
山村氏は、大きく騒がれる前にと二人を病室に帰るよう言うと、
後ろ手に手を振り病院を後にした。

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