森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 57

それから数日が過ぎ、記者会見がその話の4日後だったのが延びた。
事件のことで進展があったらしく、そのことを含めての発表になるらしく
詰めているらしいのだ。
西村の退院も予定通りになり記者会見が終わるとともに午後からの退院の予定を
その日の午前中に繰り上げ退院していった。
お見舞いに来る人たちで毎日が楽しくバタバタしていたその日までが
とたん静まり返ってしまった病室で一人弓弦は、朝からきていたメールを読んでいた。

 ` 弓弦へ
   怪我は大丈夫?あれから一週間って言わないぐらいに
   時間が過ぎたけど、あたしもお見舞いに行けなくてごめんね。
   仕事もバタバタしてて、翔太君が怪我したでしょう?
   あれから、事務所ではバタバタと対応してたから
   受付までとばっちり受けちゃって(アハ
   でも。でもね、近々お見舞いに行くよ。
   少し話したいことあってさ。
   西村さんも退院したんでしょう?部屋には弓弦一人だよね。
   誰にも相談できなくてさ。
   んじゃ、行くときはまたメール入れるね。
   携帯の方に入れるから誰もその時には来させないでよ?(笑)´

 `弓弦君
   もう山村君から聞いたかね?
   昨日君がいる店`mask’に行き私の頭の中を整理してきたところだ。
   山村君に手伝ってもらい、少し現実的にどうなのかとか
   人物を実際に当てはめて行ったりとかしていろいろと考えたよ。
   まぁ、誰をどう想像して決めていくかはやはり山村君との方が
   詰めやすかったし少しもめたがある程度はやはり同じみたいでさ。
   弓弦君にとってはあまり表に出るのは好きじゃないから
   この話はうれしくはない話だろうが、私にとっては君と仕事がしたいの一心で
   話を書き上げた。わかってくれるだろうか。
   弓弦君と知り合って、君の精神と意識の中で人を引き込み
   君と会えない夜がどれだけさみしいものか
   そう思わせる君と、一緒に仕事ができたらどれだけ嬉しい事だろうか
   それだけを考えながら書き上げたこの作品。
   弓弦君が事件に巻き込まれ、どんなに私が落ち込んだことか。
   君が助かり意識が戻り、私も君に会いに行きたいが
   少しもう少し詰めた話をしたいので、もう少し待っていてくれよ。
   弓弦君。君しないないんだよ。そして、君のいとこのひかり君。
   私には君とひかり君としか頭の中にはないのだよ。
   だから断られるとこの話はつぶれることとなる。
   というか、あの映画化するものは弓弦君を愛するがゆえに
   書き上げたものだから、君がやらないと表には出ないこととなる。
   こんなことを言っては弓弦君を脅迫することとなってしまうが
   君のために書き下ろした作品で、君のために映画化することとなる作品だ。
   だが本格的に発表して始動するのは、まだ2年3年先だ。
   だから心の準備もゆっくりとでいいと思うよ。
   弓弦君、君が断ることは考えていない。いい返事を待っている。´

困った人たちだ。PC用アドレスを知っているがゆえに長い長いメールができるんだと。
一方、携帯のメールも来ているのだけれどそれを見るのが怖い。

 `弓弦。

   弓弦が気が付く前に行ったっきり、顔を合わせていないのが
   少し不思議な気分だ。それから元気にしているのか?
   事件のことをTVが騒いでいるがまだ正式な発表がないままだけど
   怪我はどう?弓弦が出れる状態でないと記者会見もできないだろうし
   骨折とかは治るのに時間かかるしな。´

 `弓弦。

   沖縄から長崎までそして弓弦の家につくまでのあの楽しい時間が
   俺の中での弓弦との一番の時間。それが今では懐かしい思い出。
   その怪我が治れば、ゆっくりでも治れば俺は弓弦と二人で出かけたかった。
   それも、多分無理かな。西村さんが言ったよ。´

  `弓弦、ごめん何度も。

   弓弦と西村さんが結婚する話を。記者会見で発表すると。
   弓弦。こんなことを言ってはみっともないんだろうが
   西村さんがそばにいなければ俺がそばにいるのにと。
   なぁ、弓弦。俺振られたんだよな。
   だから、こうやって気になるとかメール入れるのは
   本当は女々しくて俺的に嫌なんだけどさ。

   なぁ、弓弦。弓弦さえよければ退院したら俺と二人で出かけないか? 
   俺、西村さんの所に嫁がれる前に弓弦と出かけたい。
   て言うか、結婚しないんで欲しいんだけどね。
   返事はそのうち聞きに来るから。

   そうそう、来週なんだけどお見舞いに行くから。
   んじゃまた。   渉´

 `弓弦さん

   お久しぶりです。よくなってきていますか?
   この間誠さんが行ったんでしょう?僕も一緒に行きたかったけど
   誠さん2回も行くなんて聞いてなかったから。
   僕も明後日お休みなので、お見舞いに行きますね。
   貴志先輩も健先輩もみんなみんな弓弦さんを待っていますよ。
   早くけがが治りますように。´

 `弓弦さん。

   元気?気が付いたと連絡が来たときは
   店中で雄叫びあげちゃったよ。その後、具合はどぉ?
   弓弦さんがいつ帰ってきてもいいように
   弓弦さんのブースはきれいに磨かせているよ。
   西村さんから誠先輩に電話があった時の
   あの夜のみんなの喜んだ声を聞かせたかったさ。
   俊哉がお見舞いに行くとかメールしてこなかった?
   俺は明日が休みだから、明日行くね。
   久しぶりに弓弦さんの笑顔を一人占めしたいよ。´

 `先輩

   亜紀です。大丈夫ですか?ここが沖縄というのがもどかしい。
   先生もみんな心配していました。でも本当に良かった。
   TVで先輩が見つかったと流れてそして命に別状ないと知り
   本当に安心しました。これ以上心配させないでくださいね。
   また元気になったら、沖縄に来てくださいね。
   そしてあたし、推薦枠で決まりそうです。待っててね。先輩。´

 `弓弦

   ちぃっとは元気になった?
   渉からアドレス聞いて、メール入れています。
   圭一郎だよ、圭一郎。
   右足の負傷と右鎖骨?左肩甲骨?大丈夫?
   でも弓弦の事だから、絶対バーテンダー復活だよな。
   楽しみに待ってるからさ、早く良くなってくれな。
   でさ、真面目にさ渉や翔太たちとでなく
   俺とデートしよう。絶対退屈させないしさ。
   もちろん西村さんに内緒、見つかるときっとだめって言われる。
   来週、お見舞いに行くからその時返事ね。んじゃ。´

 `原田さん

   秋山です。大変でしたね、俺も気が気じゃありませんでしたけど
   西村さんも翔太もみんな命が助かってよかった。
   俺は素直に原田さんと仕事がしたい。
   退院する前にうちの社長と共に川上社長と原田さんと4人で
   仕事の話をしたい。俺さ、すげぇ原田さんと仕事がしたいって
   今一番そう思ってるんだ。西村さんと婚約するから
   きっと原田さんはバタバタなんだろうけれど、その気持ちは
   全然変わらないからさ。退院して動けるようになったら
   俺と一緒に仕事をしてください。
   いい返事を待っているので考えてくださいね。では。´

 
  `弓弦

   おれおれ、正弘です。
   事務所にいまいるんだが、秋山君から電話があって
   弓弦に正式に仕事の依頼が来たんだ。
   そのうち秋山君か山本社長がアポ取ってくると思うが
   うちの社長がそっちに一緒に行って詰めるらしいから
   仕事の話考えておいて。内容はその時はなすって秋山君が言ってた。
   で、久原氏から正式に弓弦の映画の話もいただいた。
   まぁ、かなり先の話だからということらしい。
   なんだか俺も不安だな。際どいものみたいだぞ?
   とりあえずその連絡と、俺来週から北海道なんだよな。
   今日の夜はそっちに行くから。その時話すよ。またあとで。´

 `原田さん

   せっかくお見舞いに来たのに、
   電話で弓弦さんと話が少ししかできなかったことが
   気にかかる達哉です。怪我もだいぶ良くなっていましたね。
   中村も上村もお見舞いに一緒に行けなかったから
   別口でそっちに行くって言ってたよ。僕も一緒に来るから。
   でね。で、二人っきりになれるときに別でそっちに行きたいんですが
   誰も来ないとわかっているときを教えてくれませんか?
   相談したいことがあるんです。お願いします。
   その事は他の人には知られたくないんで、誰にも言わないで。´

 `原田君

   業務連絡なんだがメールですまない。
   行くときはまた連絡を入れるが、君に正式に仕事の話を
   M'scompanyさんから頂いた。でだ。
   その話をしに山本社長と秋山君と私とでそちらに行く。
   その時は人払いを頼むよ。君が退院してからの初仕事だ。
   それと、君にはもう話をしてあると言って久原護氏から
   映画の話もいただいた。君のために書き下ろした作品だとも
   伝えてあるのでと。どうするかはじっくり考えるといい。
   どちらにしても、君が動けるようになってからの話だから。
   では、また後程スケジュールを確認してそちらに行く日時を連絡するよ。´

 `弓弦さん、翔太です。

   この間は、思わす泣いちゃってごめんなさい。
   て言うか、もっともっと僕は大人の男にならないとって思った。
   年上なのに、もっともっとしっかりしないから
   西村さんと同じ土俵に上がれなかったんだって。
   そっくりなだけじゃなくって、
   僕は弓弦さんのことを心も体もすべてを生れるときに
   半分こして生まれてきた命の片割れだとそう感じてるんだ。
   撃たれて顔を起こしたら弓弦さんが連れ去られて
   殴られたところを見た瞬間、僕も体が痛かった。
   撃たれらところじゃなくって、弓弦さんが殴られたところと同じ場所が。
   手術して麻酔が切れても体中が痛くて
   その反面、弓弦さんも同じところが痛いんだって。きついんだろうなって
   そんな風に自分の体の痛みを感じてたんだ。
   西村さんと結婚しても、きっと弓弦さんと僕は離れない。
   槙村先輩がどう邪魔をしても多分離れないかもって
   最近そう思うんだ。だから、西村さんの前で
   弓弦さんと長崎に行きたいって言ったのは僕のそういう思いから。
   早くけがが治るといいな。
   時間があるときはそっちに行きます。
   西村さんも忙しいだろうし、僕が看病しますね。
   槙村先輩よりも僕の方が西村さんに信用ありますし。
   きちんと西村さんにもそうお伝えしています。
   また仕事がひと段落ついたらメールを入れます。翔太。´

 `弓弦さんっ!

   退院まぁだぁ?あなたのかわいい健ちゃんですよぉ(w
   本当に、意識が戻ってよかったです。
   でも本当に大丈夫ですか?両肩を怪我していると聞いた時は
   すごく俺らも不安になっちゃいました。
   弓弦さん復活まではかなりかかるだろうけど
   お客さんも弓弦っさんはってうるさいんですよw
   だから一度顔をだしに来ませんか?
   誠さんが休みの日だと外出許可が下りればお店も来れるでしょう?
   お願いします、俺らの安心のためうるさいお客さんのためw
   みんなみんな待っていますのん。
   こんなこと言うとあれだけど、俊哉なんてカレンダーに
   印しつけてるんっすよ?
   真志なんて女々しい日記なんて書いちゃって。
   弓弦さんの愛しい健ちゃんは浮気もせずにお店で頑張っているというのにねw
   今日もあなたの健ちゃんは弓弦さんのブースをピカピカに磨いていますよw
   だから、早く元気な笑顔を見せてください。でゎでゎ。´

 `弓弦ちゃん

   明海だよ。大変な目に会っちゃったね。大丈夫?
   弓弦ちゃんに会いに行きたくてもガードが大変で行けなくて。
   主人もね気にしているのよ。あの時の弓弦ちゃんの笑顔を覚えているから
   いつもあたしの顔を見ると大丈夫かなぁって言うのよ。
   でも、命は助かったんだし怪我が治ればまた会えるね。
   弓弦ちゃんがあの店に復帰したら復帰一日目には会いに行きたいから
   絶対連絡をちょうだいね。
   主人と必ず行くから。弓弦ちゃん、無理はしないことだよ。
   それが一番の早く治る近道だからね。
   お見舞いに行ける時間が取れたらその時も連絡してね。
   早く弓弦ちゃんに会いたいよ。´

 `弓弦さん。

   きちんと弓弦さんのブースきれいに保ってますよ。
   いつ帰ってきても弓弦さんが気持ちよく使えるように。
   弓弦さん。僕は弓弦さんがいないとさみしくてたまりません。
   早く帰ってきてくださいよ、そしてまたいろいろ教えてください。
   もうみんなお見舞いに行ってるんだろうけど
   僕は弓弦さんの顔を見るとまだ泣きそうなので行けません。
   早く元気になりますように。峻。´

弓弦は携帯に入っているメールも見たくないなぁと思いつつも次々と読んでいく。
メールを読んでいくにつれて涙があふれてきた。
たくさんの人に心配をかけてしまったこと。
たくさんの人に気をもませてしまったこと。
そしてたくさんの人に自分は大切にされ愛されていたことに
今頃気づいた自分が恥ずかしいし、そんな自分にあきれてしまったこと。
そしてその愛されている現実がすごくうれしくて涙が流れてしまった。
でも弓弦にとっては大切なメール。
携帯に届いた一つ一つ大切な仲間からのメールに嬉しさのあまりに涙を落とす。
ここの所涙腺が弱くなったなぁと思う弓弦だが、
その反面西村と出会って6年、これがきっかけで女に戻るということがひしひしとわかる。
自分でも、女な自分が顔を出していることに気づく。
どんなに努力しても一つのきっかけでこんなに自分が元の姿に
戻ることなど思ってもみなかった。
なんとなく、自分がこのままんがされていくことに少し違うんだけどなぁと
そう考えながら涙を拭いた弓弦は携帯の画面を見つめている。
するとPCの方にもまだまだメールが。
忙しいなぁと思いつつも目を通そうとすると、先生の回診が始まりそうしないうちに来られますと
看護師が部屋に来て言った。
とりあえず携帯は充電器に置き、PCの電源は待機させた。
涙痕がわからないように、顔を拭いて。笑顔の練習をして。

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