森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 70

まず、岩崎源一郎(58歳)ですがこいつは首謀者と思われます。
別の組との抗争があったこともあるのですが取引を横取りしたとか
しないとかという話が、うわさとしてありました。
その手下というか一番彼を慕っていた仲間で周りが固められていましたが
他の人間はその一部だと思われます。
大牟田雄一郎(42歳)と川本純一(42歳)は地元も同じで
かなりこの岩崎のことを慕っていたらしく、事件の共謀は進んで出たと思われています。
これはこの首謀者とみられる岩崎源一郎の属する組の組頭がそう話しました。
他の人間は事件当日呼び出されて、付き合わされたのだと。
金が欲しいやつは手伝えと言って集められたみたいですね。
広川順平(26歳)高橋和哉(26歳)本村慎吾(25歳)
この3人は飲み屋街で引き込みをやってたやつらでした。
事件前夜まできちんと真面目に店には出てたみたいです。
特に広川と高橋は引き込みとホストと掛け持ちをしていて、
結構仕事上では人気もあったらしいですね。
事件が起こり、彼らは逃走をしたわけですがその事件後もきちんと
仕事はしていたみたいです。
しかしこの三人は順番に店を辞めた。日曜に逃亡するときに合わせて
店を辞めたという話でしたよ。
車が爆発炎上し、原田さんが見つかり気が付くまでは
この6人が全然わからない状態だったのですが
原田さんが気が付き、わかっている覚えている範囲で話をしてくれたおかげで
高橋和哉から糸がほどけ、原田さんが勤める`mask´オーナーの小林さんのご協力で
陣内組の組員が事件発端とわかり、解決へ向けての糸口を見つけさせていただきました。
まだまだこれから深い部分を探ることとなりますが
原田さんや西村さん橋本さんを巻き込んだところまでは一時解決となる見込みです。

あたし、その広川順平と本村慎吾という人もわかるかも。
多分わかる。確か・・・・でも解決するんですよね。
怪我をした部分だけでも解決するんですよね。
だったら、もうそれでいい。
それで終わりにしましょう。あたしは解放されたい。

深い部分はこれから警察が進めていくところだろうし、
それに関しては我々は関係のないところだろうから。

ですね。オーナーが一部解決に結びつけたことと
それはすごいことだと思うけれどその先は警察に任せて。

わしも、それには賛成じゃ。
関与した部分が解決という形になれば、それでよいではないか。

ということで、我々警察が記者会見で皆さんを巻き込んだ事件の話は
こういう発表になるという予定で。
また、それに関して記者らに聞かれることは皆さんが困らない程度に
発言していただいたらそれでいいと思います。

わかりました。とりあえず、事件に関しては原田君たちと交えて今話したことにだけ
答えることとしよう。あまり余計なことを話すとこれから先の捜査に
影響しかねないからな。
小林さんの警察への話は私たちは知らないこととしよう。
警察の方でもそれは名前を出さずに話を進めるのでしょうから。
会見では原田・西村・橋本の怪我をした事件の部分のみの受け答えのみということで。

後は・・・・・・・・・・・・。

あたしのことを話しするのですか?

多分、この事件で君の顔は世間に出てしまった。
この間の、湘南での女子中学生の救助で名前が知れたというのに
この事件だ。完全に顔と名前が表に出ている。
とりあえず`mask’に勤めるバーテンダーということ。
今は西村が所属する川上社長の事務所とマネージメント契約をして
事務所所属のタレントだということ。
西村の音楽を支えているメンバーだということ。それを聞かれたら話をする。
一部の記者には原田弓弦君本人が吹奏楽連盟原田一郎さんのお孫さんだと
そういう情報も先に流れているのできっと聞かれるだろう。
それは、もういいでしょう。原田さん。
お呼びしたのは原田弓弦君のことを聞かれたときにいろいろと面倒な説明をするよりも
原田さんが弓弦君の生い立ちを話し、隠すわけではなかったのだがと
血縁関係を話されても良いと思います。
この間事務所に来られてそう話されましたが
一番ご自身でお話しされることが良いと思いますし。

そうじゃな。この間そう話したんだよな、川上君。
隠さなくとも別にいい事なのじゃから、そういうことは聞かれること
素直に話しても良いと思っておる。
弓弦。お前は少し有名な立場じゃから、あまり秘密めくとあとあと困るしな。
きちんと話できる部分は話そうと思っておる。
弓弦、大丈夫じゃよな。

えぇ。誠兄さんも一緒に居るのでしょう。あたしは全然かまいません。
むしろお爺ちゃんと誠兄さんがいてあたしの話をするのは全然大丈夫だと思います。

原田さん。俺の話は……。

していいじゃないか?川上君も承知なのじゃろう?

婚約の事ですか?

えぇ。社長、あのTVで流れたあの場面を見た人たちは
少なからず何か関係がある二人だと写っていますし、現に週刊誌や一部報道で
怪しまれているんですよね。
何ならいっそのことはっきりと、弓弦と俺の関係をしゃべりたいんです。
原田さんからも婚約の話を了承していただきました。弓弦の気持ちもきちんと。
だから社長。この記者会見で俺と弓弦の婚約を発表します。いや、させてください。

お前が決めたことだ。それで人気が落ちるとは思えない。
落ちないように自分できちんと話すんだ。君なら大丈夫だろう。

川上君、事務所はおめでた続きだな。
本当は弓弦君との契約は直接うちとしてほしかったんだが
西村君との結婚があるのならと、事務所同士の契約としたんだもんな。
これからも、弓弦君そして西村君。うちとの仕事もよろしく頼む。
みんな君らを知り合いの面々は君らと仕事がしたいといき巻いているよ。

みんな食い入るように見るんだろうなぁ。

そりゃなぁ。事件もだし、無事に帰ってきた原田さんが橋本に似てきれいだし
さらわれる瞬間、あんな顔で西村の名前呼べば話題になってしまうよなぁ。

お爺ちゃん。あたし・・・・・・。

弓弦、自分に正直に答えればいい。
お前は何年も西村君のそばにいたんじゃ、話して良い事悪い事わかるじゃろう。
素直にいいじゃないか。

弓弦。聞かれたら話せばいいじゃないか。素直に。
俺は何も恥ずかしいと思うことや離せないこととかはないと思うけど。
俺は聞かれたら、全部喋っても恥ずかしくないし。

それを横で聞くのかぁ・・・・。俺なんか複雑(笑)

そういえば山本社長、そして翔太君。

何でしょう?弓弦君。

久原護氏からはもうお話は?

映画の話か。話していいのかここで。

川上社長にも話は通ってんだろ?

あぁ、知っているよ。君の所の橋本君と大川君と原田と。
山本社長、詳しく聞いたか?

受付嬢の山本ひかり君との話だろう。どうしようか迷っている。

ひかりはうんとは言わないだろうなぁ。

なんでだ?とりあえず、本人に話をして反応を見ようかと。
そう思っているが・・・・・・。

まぁ、おって山本社長にはあたしからお話をしますから。






そう部屋で話をしていた記者会見に出る予定の10人。
それぞれの話をしながら、自分らが一人一人どんな立場での会見になるのかを
雑談をしながらも、打ち合わせをしていた。
その午後は時間が早く過ぎていくような感なくにとらわれて
いつの間にか部屋には夕日が差し込んできた。



記者会見の話は、それぞれがそれぞれ知っていることを話し
それにわかる範囲で素直に答えると隠さないことをお互いに約束し
西村と弓弦の婚約も、憶測飛び交うなかでの本当の気持ちを
会見でも話すこととなった。


原田氏の付き添い兼オーナーの付き添いで記者会見に出席するのだが
一番は弓弦のそばに自分もいるとそう弓弦に伝えたいだけだったのだ。
兄弟とはいえ、今まで弓弦がそばにいることが当たり前で過ごしてきた時間を
これからもそうだしと思いながら。
弓弦と仕事をしていた誠だから今回の会見での弓弦の気持ちが痛いほどわかる。
弓弦は何もかもが怖いと思っていると。そのあと自分の立場がどうなるのかが怖いと。
何もなかったかのように普通な態度でしゃべっている弓弦の目は
何か見えないものに助けを求めているような目なのだ。

それに気づかない西村に話すべきことなのかどうかわからないのだけれど
弓弦と二人になれたら話を切り出してみようと弓弦を見つめていた。

そんなその日の夕方、原田の夕飯の時間を知らせに来た看護師の声で
その場を離れて行った彼らだった。
西村も仕事だし、社長らもみんなそれぞれの場所へ。
残ったのは誠と小林とだった。
そして雑談をしている弓弦とオーナーに誠は話を切り出した。

「あの、オーナー。」
「なんだ?誠。どうかしたか?」
「今日は自分は仕事休みなんで、さっき貴志に連絡をして
 オーナーを迎えに来るように言ったのですが。」
「そうか、もう来るのか?」
「多分。もうそろそろ」
「じゃぁ、私は貴志を待つこととしよう。入口で待つからお前はここにいるんだろう?」
「えぇ。ちょっと話が。」
「なに?話って。」
「ん。ちょっとな。」
「そっか。んじゃ、私は早々に退散するか。」
「すみません、オーナー。」



「弓弦。」
「良かったな。」
「あぁ。良かったか悪かったかは記者会見が終わった後にはっきりするさ。」
「なぁ、弓弦。」
「誠さん。誠さんにはもしかして見透かされてる?」
「どうかな。」
「本当はさ、記者会見なんか出たくない。
 あたしは事件に関して大きな関係者だけど、でたくない。」
「なんでだ?」
「見世物じゃないんだから。あたしはあたしなんだから
 ほぉっておいてほしい。」
「なににおびえてるんだ?弓弦。」
「記者会見のあと、あたしがどうなってしまうのかが怖い。」
「何を怖がる。弓弦は弓弦じゃないか。今までどおり
 そのままの弓弦でいていいじゃないか。何がそんなに怖がることがある。」
「だって。」
「俺がいる。今まで通り、お前の隣には俺がいる。
 違うのはそれに西村さんが増えるだけじゃないか。」
「それはそうだけど。」
「今までも俺はお前のそばにいただろう。そりゃ俺は弓弦と兄弟とは知らなかった。
 だけど、お前が大切で仕方がなかったさ。
 恋愛感情というのがわからない俺でも、お前が大切に思えた。
 でもわからない自信と根拠は血のつながりがそう思わせていたんだろうな。」
「誠さんがそばにいるだけで本当に安心できた。
 父さんがそばにいるようなそんな感じがしたんだ。」
「弓弦。大丈夫だ。お前はお前だ。
 事件に関することも、自分で納得していることを話せばいい。
 話しているときに高橋君のことで聞かれても素直に離せばいい。
 それでなきたければ泣けばいいさ。
 お前のそばには、西村がいる。これから人生を共にする西村がいるだろう。」
「そうれはそうだけど。」
「俺もそばにいる。お前が必要としてくれるのであれば
 俺はそばにいることを約束する。」
「誠さん。そばにいて、ずっとずっと。怖い。すごく怖いんだ。
 たとえ西村さんがそばにいてくれるとしても兄さんがそばにいるという安心は
 何物にも変えられない。西村さんがそばにいて兄さんがそばにいてくれたら
 それで平常心を保ってられる。」
「そっか。でも大丈夫さ。おい、もうすぐ西村君も帰ってくる。
 見送りに行っただけだろ?きちんと向き合って話せることは話し合え。
 これからのお前のパートナーなんだからな。必要であれば、電話して来いよ。
 でさ、おじさんと伯母さんと話したんだが離れはお前たちが使え。
 ここにも近いし、当分は知らない所ではお前が動けない。
 いっそのことあの離れはお前たちがということだ。」
「誠さんは?」
「おれはあの家のお前が使っていた部屋2室が俺の部屋だそうだ。
 だから現実的にもそばにいられる。それでいいだろう?」
「お爺ちゃんがさみしがるな。」
「爺さんの家はあの家から30分ぐらいだろ?行くときはすぐに行ける距離だし
 あそこの方がどんなことが起きても大丈夫だと思うけどな。」
「そうだね。」
「て言うかさ弓弦。」
「なに?」
「男言葉と女言葉が混じって来たな(笑)」
「なんとなく、結婚を決めてからかな。自然にさ。
 自分でも違和感あるもんな。でもきっち元にもどると思う。」
「戻るとみんなの期待を裏切ることになるから、そのままでいいんじゃないか?」
「みんなの期待ってあたしが女に戻ること?」
「多分そう期待してるぞ?」
「戻るとなめられそうだから戻らない。オーナーにも伝えて。
 あたし制服と言ってもスカートは絶対着ないって。
 みんなと同じが一番いいって。そのほうが仕事しやすいんだし。」
「そうだな(笑)お前足広げるほうだし、ミニスカートで足広げられたら
 みんな仕事にならねぇぞ(笑)」
「そんなこと言う?そういう時は兄である誠さんが前に立ちはだかるべきでしょう?」
「いや、足を広げないように努力する方が先だ(笑)」
「そんなの無理無理。あたしの性格上そういうのは無理だって(笑)」
「とにかく、お前のことだ。早く復帰することだけ考えな。」
「うん。ありがとう。元気が出た。」
「んじゃ、俺は引っ越しの準備があるから帰るぞ。
 かっこいい年上の弟によろしくな。」
「わかった。」
「んじゃ、good night。」
「good night 誠さん。」

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