森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 81

「んじゃ行ってきます。」
「早目にね。体調が少しでも変わったと思ったら連絡を。
 まだまだ本調子ではないんですから。お気を付けて。」
「はぁい。」


病院を後にする3人。車の中ではいろんな話をしていた。

「弓弦さん。」
「社長が、弓弦さんのことをしっかりと教えてもらうように言ってました。」
「身申書をかけって言われたなぁ。
 明日、`mask´に顔を出すだけだから昼間にでも書こうかな。」
「早目がいいな早目が。でも、弓弦は何を持ってるんだ?」
「んと。調理師だろ、食衛の管理者だろ、フグ調理だろ。で、会計士だろ。」
「弓弦さんって頭いいんですね。まだ25なのにそんなにたくさんの資格もってるって。」
「あと、原付は限定解除したし。でないとあのバイク乗れないでしょ(笑)」
「で?」
「中学校の音楽教師の免状。お花の免状お茶も。お習字も師範免許もってる。」
「弓弦、お前すごいなぁ。そんな暇どこにあったんだ?」
「お花とお茶とお習字は高校の時にすでに。大学一年で会計士。
 調理師とかは伯父ぃが料亭だろ?専学行かなくても
 きちんと調理師の指導の下、同じ内容の勉強をして試験が受けれて受かればOK 。」
「弓弦さんはたとえ一人になっても生きていけますね。」
「あぁ。母さんが一人になっても逞しく強く生きなきゃいけないっていろいろとな。」
「でもそれでもバーテンダーになっちゃったんですよね。」
「あたしには母さんの喜んだ笑顔が一番だったから。」
「俺もそう思うな。親が喜んだ顔をするってすごく自分にとっても
 幸せに感じれるんだと思うよ。」
「今は、父さんも母さんも雲の上だけど、一生懸命ひかりと同じように
 自分の子供の様に育ててくれた伯父ぃと伯母ぁが一番。
 お爺ちゃんもあたしの一番。ひかりも、西村さんも一番だよ。
 だからそんな一番な人たちが喜んでくれるなら
 あたしはどんなことでも進んでやれるさ。」
「なら早く怪我を治さないとねぇ。まささん。」
「あぁ、そう思うよ。だから明日`mask’に行くだろう?
 で、M'scompanyさんにも顔を出して挨拶するだろう?
 そのあとは?そのあとはどうなってるんだ?」
「次の週から、弓弦さんと秋山さんたちのK'sbrotherのアルバムの参加の
 話し合いが始まります。それと同時に曲の打ち合わせも。」
「忙しくなるなぁ。」
「あたし大丈夫かしら。」
「大丈夫だと思いますよ?足を骨折していることとは全く関係ないですし。」
「どういう事?」
「ここで伝えてもいいんですか?」
「あぁ。」
「それぞれのソロ曲に弓弦さんが入るんでしょう?」
「あぁ。そう聞いた。」
「秋山さんの曲にピアノ。落合さんの曲にはギター。
 池下さんの曲にはピアノで。大石さんの曲にもピアノって書いてあったな。
 で、成島さんの曲で弓弦さん歌うらしいです。」
「一人だけなんだ一緒に。一緒に歌うの。」
「ですね。でもピアノ。大丈夫ですか?」
「ピアノねぇ・・・・・曲にもよるけど。」
「聞いた分では池下さんがバラードっぽいので、大石さんはジャズっぽいって書いてあったって。」
「無理なことでなければいいんだけど。」
「大丈夫さ、弓弦だし。」
「そういえば弓弦さん。」
「なんです?」
「お爺さんTVに出てられましたねぇ。」
「そうなの?見てないけど。」
「朝のニュースでは出てたなぁ。俺が見てたのでもコメントだけは流れたぞ。」
「そうなんだ。フランシス・レノのことお爺ちゃんは知っているんだ。
 葬儀には行かないのかなぁ。」
「明日の葬儀には無理だろう。日を改めていくのかもな。」
「奥さんは日本人って言ってただろう。その関係で知ってるのかもな。」
「さぁ、着きますよ。車は?」
「あっちの誠さんお車が停まってるんだけど、そこに横付けできるでしょう?」
「裏門から入ったところですね。」
「そこそこ。れ?他の車がいるのか。んじゃそっち側に停めて。」
「はい。」

そういうと言われたところに車をきちんと止め、弓弦の車いすを先におろし
西村と弓弦と渡辺は母屋の正面に回った。

「ただいまぁ!伯父ぃ!伯母ぁ!ただいまぁ!」
「弓弦、お帰りぃ!よく、まぁ西村さんも一緒に。」
「えぇお世話になります。今日は取材も兼ねている分ご迷惑かけますが。」
「そんなことはどうってことはないですよ。
 でもタイミングよかったわ。今ね山本社長様と元原さんが見えら手てるんですよ。」
「で、話?話しは?」
「お前、知ってたのかい?嫌だねぇ、でもこんなにうれしいことはないよ。」
「んじゃやっぱり?」
「おはようございます、社長。達哉君。」
「あぁ、おはよう。怪我の具合はどうかね。」
「えぇ大丈夫です。達哉君。きちんといえた?」
「えぇ。社長が背中を押してくれたおかげで今日きちんとご両親に挨拶ができました。」
「社長。おめでたい話ですね。」
「こんないい話を、お互いが真剣なのを私が邪魔するとでも思ったのかね?(笑)」
「達哉君、あと自分のご両親に・・・・。」
「俺両親いないんです。事故でいっぺんに。だから社長が親代わり。」
「そうだったんだ。あたしと一緒だったんだ。んじゃ、きちんと報告にはいかないとね。」
「もちろん今日中に行きますとも。」
「社長?」
「なんだ?」
「結婚式ダブルでやりますか(笑)」
「いいねぇ、それ。」
「弓弦の方はお爺ちゃんと誠さんが親代わりだし、ひかりちゃんのご両親と
 達也君の親代わりの社長と大々的にどうですか?」
「それはずかしいよ。て言うかひかりは?」
「達哉がな、嫁にくださいって切り出したら途端に泣きだしてな。
 顔を洗いに行ったよ、さっき。弓弦行ってみな。多分まだ泣いているぞ。」
「嬉しくて泣いてるんだもん早々泣き止まないさ。」
「帰ってきてから次の話をしようかな。渡辺さん、きちんと聞いてきた?」
「はい、久原氏の依頼分ですよね。山本社長、お聞きになられてますよね?」
「あぁ、聞いているよ。その話をここでしないと。」
「あたしも返事しないといけないし。」
「社長?なんに話ですか?」
「ただいま。弓弦来てたんだ。」
「泣きべそひかり(笑)」
「だって、うれしかったんだもん。でも弓弦も一緒に話って何?」
「社長、話してもいい?西村さんからは役どころの話は
 一生懸命にやってこいとOKもらっているのでこちら側はOKです。」
「そうか。弓弦君も大した度胸だな。でもよく西村君がやきもち焼かずにOKしたな。」
「みっともないと思われてしまうぐらいならやめてほしいですけど
 久原氏が弓弦を選んだんです。それだけの信用が弓弦にあるということでしょう?
 俺は絶対と言い切ってもいいぐらいにいいものだと信じていますから。」
「そっか。あとはうちの元原の気持ちとひかり君の気持ち次第だな。」
「ひかり。」
「なぁに?」
「今から話すことはひかりが嫌だったら断っていい話だからな。」
「何の話なの?」





 久原譲さんは知っているだろう?

 えぇ、弓弦のお客さんで弓弦を何度も小説の中に登場させている
 弓弦を大切にしている推理小説家の人でしょ?山村男爵と仲のいい。

 その久原護氏からの仕事の依頼なんだ。黙って聞いてね。
 これは山本社長も話をいただかれて正直迷ってられることなんだ。
 ただ、まだまだ先の話なんだ。2年になるか3年先になるかまだ分からない。
 しかし映画の配給の会社も決まったらしいし自分で監督をするとも決まっているらしい。
 だから、先の話だからゆっくり考える時間はあるんだけどね。

 なぁに?

 久原護氏の推理小説の内容のタイプは知ってるよな?
 その中の作品で、あたしを中心に描かれているのがあるんだけど
 書き下ろしたその小説を自分で監督も兼ねて映画化する話がある。
 その映画のオファーが来ているんだ。
 あたしが断ったらその映画化の話はもちろん内容も小説にはせずに
 お蔵入りさせてしまうとまでも言われた。
 だけど、あたしは断れない。あたしを中心に久原氏が作り上げた
 愛しい作品をお蔵入りさせるわけにはいかないし
 男爵もこれには一枚かんでいるらしいが。
 あたしはオファーにはOKするつもりだし、西村さんにも
 頑張れって恥ずかしい結果を残さないように思いっきりやってこいと言われた。
 だから、これが自分だって胸を張って言えるようにオファーを受ける。

 そのオファー。ひかりにも来ているんだ。

 あたしに?あたしにも?

 あぁ。ひかりとあたし。そして翔太君と圭一郎さんと4人。
 ひかり。断ってもいいんだよ。なんでそう言うか分かる?

 それって????

 ひかりは達哉君から結婚を申し込まれて幸せになろうとしている。
 あたしも西村さんとい幸せをつかもうとしている。
 でも久原氏の映画はラヴシーンを含むミステリーだ。
 もちろんその進行上、脱ぐところも出てくるだろう。
 だけあたしはタレント、ひかりは山本社長の所の一介の社員だ。
 タレントでないんだから、達哉君が嫌がるようであれば断ってもいいんだ。
 
 それってラヴシーンが含まれるということなの?
 達哉君とは違う人に肌を見せなければならないということなの?

 そういうこと。ひかりが映画に出演をOKし頑張ると言えば
 社長もタレントとして扱い協力はしてくれる。
 だけど達哉君は協力してくれるのかはわからない。
 普通は誰だって嫌がるだろう?だから二人で話し合って
 ひかりが答えを出せばいい。その話をしに来たんだ。
 伯父ぃだって伯母ぁだってそういうシーンが含まれるというのは
 快くは思わないだろう。
 でもVシネマやそういうたぐいのものではない推理小説のなかで
 進行上出てきてしまうシーンなんだ。
 決して久原氏の事だ。汚いシーンでいやらしいストーリーではないとあたしは保障する。
 西村さんはあたしのことを信用してくれて、1回でOKを出す意気込みで行くなら
 絶対大丈夫だって背中を押してくれた。あたしは体当たりで行く。
 肝心なところが映りこむようなことはしないと約束してくれたし。
 まだゆっくりと考えたらいいさ。
 達哉君と一緒に考えて答えが出たら、山本社長に伝えたらいい。
 その答えが出たら、きっと次に進む段取りに入るから。

 ねぇ、弓弦。そのストーリー、どんなものか読んだの?

 あぁ、読んだよ。久原氏がPCに送ってきたからね。

 弓弦はそれ、自分では大丈夫と思えたの?

 あぁ。あたしは絶対に失敗しないよう頑張れると思った。
 翔太君が相手役であっても圭一郎さんが相手役であっても。
 でもひかりはよく考えな。翔太君が相手役となっても
 圭一郎さんが相手役になっても達哉君の仲間だ。
 達哉君としても仲間に自分の大切な人の肌を見せたくはないだろうし。
 ただ、映画にチャレンジはしたいけど肌は見せたくないというのであれば
 手立ては講じてくれるそうだ。考えて話しあって決めればいいさ。

 あとでそのストーリー読ませて。それで、決めるわ。
 そして達哉さんとも話し合って返事をする。大丈夫よ。





「本当は私が話しをしなければいけないのだが、達哉とひかり君のことを思えば
 話しがしづらくて。ご両親にもどうお話してよいものかどうか
 それを弓弦君にメールを入れたら、自分が話すと言ってくれて。
 ひかり君。今回の話が来ればきっと君は女優としての仕事が
 舞い込むこととなるだろうと思う。
 それを達哉が受け入れれるかどうかそれが心配でな。
 こんなお祝いごとの話をしたあとに、仕事の話をするのがな。」
「社長さん。」
「なんでしょう。」
「うちの娘は弓弦と一緒で肝が据わってます。
 他の子たちと違って、弓弦と一緒。何でもこなせる娘です。
 娘の返事した通りにしてやってください。
 私たちはそれを支えていきますから大丈夫ですよ。
 娘の好きなようにさせてあげてください。」
「父さん。いいの?」
「お前の好きなようにするがいい。達哉君だってそういうよ。
 ちゃんと話し合って決めなさい。」
「ひかりはあたしとそっくりだから、達哉君きっと大変よ?(笑)」
「怖いなぁ。でも俺にもその久原さんのストーリー読ませてください。
 それから話し合ってみます。でも一番はひかりの気持ちですから。」
「出るとなるといろいろとあるがうちの会社の女優第一号にでもなってもらおうかの。」
「良いんですか?M'scompanyは男性ばかりの契約だと。」
「この間の弓弦君のことでいろんな物議をかまされて
 取締役会議でもいろいろと話をしているが、実力があるのであれば
 受け入れは考えても良いとそういう方針にと話し合いがもたれている。
 だから、ひかり君の気持ち次第だ。」
「社長、娘のことをよろしくお願いします。」
「こちらこそ、こちらこそですよ。」



「お話し中に申し訳ありません。」
「どうかしたの?渡辺さん。」
「出版社の方がお見えになられました。
 女将さん。料亭の方の取材を先にされるそうですからよろしくおねがいします。」
「あぁ、そうだったねぇ。んじゃ行ってくるかね。」
「伯母ぁ!がんばってね!」
「任せとかんね!あたしゃ女将ばい。ひかりがこれから頑張ろうってしとるとに
 女将のあたしががんばらんとどがんすっとか。(笑)」
「そのいきたいね!伯母ぁ!ファイト!」
「久しぶりに、弓弦以外の人から長崎弁聞いたぞ。(笑)」
「長崎弁は粋のいい感触があるね。」
「社長さん。あの調子でケンカ売られると怖いぞぉ。」
「そうですよ、誠さんが言ってたもんな。
 弓弦が仲間と大喧嘩した時すげぇ怖かったって。」
「そういうことここで言うかな(汗)」

「弓弦、あっちも使うだろうから掃除しないと。」
「そうだ!掃除しないと!」
「ひかり手伝おうか?」
「お願い、あたし動けないからさ。できるところは頑張って掃除するから。」
「西村さん俺も手伝います。」
「いや、山本社長は帰られるのだろう?一緒に帰らないと、
 記者たちに囲まれるぞ?(笑)」
「別に社長が付いてきてくれてて嬉しい話だと喜んでいるのに
 隠さなくてもいいでしょう?ねぇ、社長。」
「西村君と弓弦君がこうやっているんだ、お前だって近々記者会見だ。
 でもばれるのは記者会見前はまずいんじゃないか?」
「そっかぁ・・・・・。んじゃいっしょに帰ります。」
「まだなぁ、きちんと会見してからの方がいいな。なぁ、弓弦。」
「自分たちのためだもんね。」
「弓弦。誠さんは一緒じゃなかったの?」
「お兄ちゃん家にいないの?車はあったよ?」
「んじゃまだ寝てるんだ。起こしてくる。手伝ってもらわないと間に合わない。」
「んだね、ひかりお願い。先に家に行くから。」

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