森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 184

地下鉄に久しぶりに乗ろうとすると貴志が先に目の前にいた。
いつ気が付くのかと弓弦は黙って少し離れた場所に立っている。
5分もしないうちに反対側のホームに車両が到着。そこにいた人たちがなだれ込む。
それをぼーっと見ていると自分のホームの方にも車両が流れ込んできた。
乗り込もうと貴志の方を見ると貴志が見当たらなくなってしまった。
きょろきょろしていると人の流れに押され弓弦もその人の波にのまれるように車両に乗り込む。
混雑したそこでバーにつかまり外側を向いてつかまり立ちしていた。
すると次の駅に流れ込んだのかブレーキがかかりその引力に耐えられずに体が持って行かれる。
するとその弓弦の体をしっかりと後ろで押さえる人がいた。


「すみません、ありがとう。」
「いえ、どういたしまして♪」
「・・・・??貴志じゃん。びっくり(笑)」
「弓弦さんこそ、珍しいじゃない?」
「ん、まだ車運転するには不安定だし、バイクも怖い。仕方ないからバスや地下鉄なのさ。」
「素直に言えば俺が送り迎えして足になってやるのに素直じゃないなぁ(笑)」
「気持ちだけでうれしいよ。貴志はどうしたんだ?」
「俺今日は休みだったからおふくろのところに行った帰りさ。たまには顔を見せないとさ。」
「いいなぁ、お母さんいるって。」
「あ、ごめん。」
「いいのよ、気にしないで。あたしにはたくさん家族がいるからさみしくないし。」
「そうだな、そうだよな。家族ができるしな。」
「そうね。でもみんな家族よ?それは今までとも変わらない。」
「弓弦さん今日はこれからどうするのさ。」
「今日はもう翔太君が待ってる病院に戻るところだけど、今`mask´に行ってきたんだ。」
「オーナーさみしがってるんだぞ?早く翔太退院するといいな。退院後は連れてくるんだろ?」
「うん、連れてくる。また一から勉強しなおしていかなきゃいけないけど大丈夫でしょ。
 今の翔太君肝が据わっているんだ、すごいんだよ?」
「そうなんだ(笑)」
「貴志、頼むね。みんなが頼りなんだ。そして貴志が一番頼りなんだ。
 あたし一人じゃダメなんだかんね?」
「おいおい、誠さんだっているじゃん(笑)峻だって。同期の葵生や藍子もいるじゃん。」
「でも、貴志もかわいがってたじゃん(笑)」
「だけどなぁ、覚えてないんだろ?何となくなぁ。」
「大丈夫さ、本人仕事がんばるつもりでいるし。前よりももっと食らいついてくると思うよ?」
「複雑だなぁ。」
「あたしもまささんのライブの打ち合わせとかあるし貴志たちの手がないと
 非常に困るんだよ?」
「わかってるって(笑)それよりさ、次で降りるけど?弓弦さんは?」
「ん・・・・池袋で降りてすぐだから。とりあえず池袋・・・・すぐ着いちゃうか(笑)」
「んじゃ俺も池袋で降りて買い物しようっかな。服買いにどっかって思ってたんだ。
 ここで降りずに一緒に行くわ。弓弦さん付き合ってくれるか?」
「服かぁ、あたしも何か欲しいなぁ。一緒に買いに行く?」
「サイズは俺わかっているから日頃世話になりっぱなしだということと退院祝いと誕生祝いかねて
 何か買ってやるよ。相棒に甘えな。」
「マジで?マジで買ってくれるの?明日台風じゃない?(笑)」
「そんなこというか?でも、
 皮パン新しいの欲しかったからそれに合わせたシャツでも買ってもらおうっかな。」
「びっくりした(汗)皮パンかってって言われるかと思った。」
「んじゃ皮パン?(笑)」
「あのさぁ、俺よりスリムな脚でさ俺より長くてさ俺が払うのにかっこわるいもん、
 それってずるくねぇ?」
「そぉ?だって貴志より痩せているのは本当だし、貴志より腰の位置が高いのはどうしようもないし?」
「なんだか俺弓弦さんより原始人みたいじゃん。」
「そんなことないよ、まささんや誠さんと同じいい男だよ(笑)」
「笑ってるし。なんだかなぁ、あ、池袋じゃん降りようよ。」
「だね、なんだかあたしたちプチデート?」
「ん?二人っきりでということはそっか・・・・デートになるの?」
「いいじゃん気にしないでさ、それよりいつもの店に行こうよ。」
「んだね、あたしシルクの真っ白い奴買ってもらおうっと。」
「なんだか高くつきそうだなぁ。
 まぁいいっか、きちんと似合うの選べよ?脱がせるのに楽しめないからさ(笑)」
「貴志は下心満載の言い方なんだもんな、でも脱がせないから。もらったもん勝ちね♪」
「ちぇっ。」

ふざけながらも地下鉄のホームから階段を駆け上がり地上に出る。
2人仲がいいその様子はきっとほかの誰かが見ても付き合っているように見えるかもと
言わんばかりのふざけ合い。
2人してホームから上がってきた階段をそのままそのビルの階段を使いあがっていく。
弓弦や誠や貴志がいつも贔屓にしているショップへ来た。
着くなりそれぞれ見て回り品定めしていく。
そして弓弦は自分の皮パンを特注。それがすむとシャツを見始めた。
するとシルクの棚に行くと着せてあるシルクのシャツに目が留まり
そこから離れれなくなってしまった弓弦。
自分の黒を2本決めて弓弦を探してた貴志がそれに気づいた。
普通の滑らかなシルクのシャツが飾ってあったのだがそれを見つめたまま弓弦が動かない。
弓弦のそばまで行った貴志はそんな弓弦を見てシャツを見てもう一度弓弦の顔を見て笑ってしまった。

「なぁ。」
「ん?」
「なぁ。」
「ん?」
「お前お子ちゃまだな(笑)」
「なんで?」
「それ欲しいんだろ?」
「わかる?」
「まさか一式と言わないだろうな?」
「そのまさかさ(照)」
「いくらするって思ってるんだ?みたのか?確認したか?」
「うん、見た見た(笑)」
「それねだるつもりか?」
「無理に決まってるっしょ、こんなんねだったら貴志の餌食になってしまう(笑)」
「なんだか複雑な言い方だな・・・・これ一式と弓弦と一晩とを天秤にかけれると思ったか?」
「かけたらたいへんっしょ。」
「でもさ、シャツが18,000円だろ?D&Gのチェーンとブレスと片耳ピアス合計で・・・・。」
「あーもー!そんなに貢いだら俺バカじゃん。シャツだけだぞ?シャツだけ!(笑)」
「貴志ぃ・・・・・。」
「あとのは誠さんのつけにすりゃいいじゃん。ていうかとっててもらって誠さん連れてこいよ。」
「いいこと教えてくれてありがとう、そうしようっと。貴志ナイスアイディアだ。」
「俺がいったっていうなよ?絞められっちまう。」
「あの、すみません。」

店員を呼び事訳を伝える。すると`承知しました´と笑顔で答えてくれた。
選んだのは弓弦だが、貴志が買ってくれたそのシャツ。もう一枚自分でも購入した。
そして色違いで黒も。そして薄いピンクのも。
薄いピンクのは包んでもらった後リボンをかけてもらった。


「貴志。」
「なに?」
「こっち見てよ(笑)そんな急がないでもいいじゃん、下でフルーツでも食べていこうよ。」
「ん?何?弓弦さん。」
「はいこれ。」

「俺買ってあげたのに俺に買ってくれたの?」
「もち。だって貴志に似合いそうなかわいいピンクだったんだもん。」
「そんなにはっきりしたピンクか?」
「いや、絶対似合うから。」
「似合うって言われても、俺が買ってあげたシャツの色違いだろ?」
「そうだけど?」
「背中に羽の模様が光が当たると出るやつ・・・・で、俺がピンクか?」
「貴志いい男だしこういうの来てもきっとさらっと切れるだろうからいいと思うよ?」
「なんだか複雑だけど、ありがとう。弓弦さんが仕事に来たときにおそろできるかな。」
「翔太君の退院も近いだろうし、久しぶりの出勤の時は貴志が買ってくれたこれを着て出勤するから
 その時はおそろにしよう。
 でさ、こっちはさ同じシリーズのブラックはさ羽は羽でも悪魔の背中についてる羽根。
 白とピンクが天使で黒が悪魔、なんかおしゃれくない?」
「ん・・・・俺がピンクだからいまいちピンとこないけどでも、面白いよなこのシャツ。
 シルクでキラキラしているのに背中はひかりの加減で羽が見えるんだろ?」
「うんうん、それおしゃれくない?あたし気にいっちゃった。」
「その白のシルクはどうするんだ?」
「2枚あれば着替え用にいいじゃん。黒も。」
「絶対誰かに真似されてそのシャツ店内に増えるぞ(笑)」
「いいじゃん、いっそのこと自腹でみんな揃えたら。」
「それもなんか変じゃん(笑)」
「貴志ちょっと待って、グレープフルーツ買っていきたい。ここでちょっと待ってて。」
「食っていくんじゃないのか?」
「貴志休みって言ってたよな?このまま一緒に病院に行こうよ、翔太君が喜ぶ。」
「面会いいのか?無理だろ、俺帰るよ。」
「あたしと一緒だもん大丈夫だって。一緒に行こう。」
「しゃぁないなぁ。」

右腕に絡まれ逃げられない貴志。弓弦は貴志が断れないようにわざと腕をからめたのだ。
仕方なく弓弦と病院の方へ歩き始めた。
池袋のショップから15分ほど歩くと病院の前まで来た。
二人手には荷物を持っていたが並んで病院の前で立ち止まる。

「本当に俺がほかのやつらよりも先にあってもいいのか?面会謝絶なんだろ?」
「Martinのみんなもマネージャーさんたちも出入りしているし、あたしと一緒なんだよ?
 まささんも今朝は一緒にいたし。大丈夫よ。行こう、貴志。」

貴志と二人話しながら病院の入り口を進み、建物の中へ入る入り口までの歩道を進む二人。
それを自分の部屋から出て入り口の見える場所まで出て弓弦の帰りを待っている翔太。
いくら厳重に立ち入りを制限している階だとはいえ看護師もひとりでいる翔太を見つけると心配だったのか
缶コーヒー片手に窓にs両手をついた姿勢で外をずっと見ている。
弓弦が帰ってくることをそんなに待ち遠しいのかと看護師は後ろにいて話しかけながらも
生返事しか返ってこない翔太のことを微笑ましく見つめていた。
翔太がそろそろ弓弦が帰ってくる頃だと思い窓から待ち遠しく待ち始めて
どれぐらいの時間がたったのだろう。
翔太の顔が変わった。それがわかった看護師も窓のそばによって行き翔太の隣に顔をのぞかせた。
翔太がのぞいていたその窓から病院に入り口にあたる場所が見え建物の入り口まではポプラが続き
その木々の隙間から弓弦の顔が見え始めた。
その弓弦の姿を見つけるなり翔太の顔も安心した笑顔が戻ってきた。
しかし次の瞬間あいつは誰だと怪訝な顔をする様子に看護師は気付き一緒に目を凝らして
歩いてくる弓弦とその人とを見つめている。
建物の入り口にはいった。そして翔太が帰りを待つ場所の近くのエレベーターが動き
翔太のいるその階まで数字が動きあがってくる。
しかし弓弦は誰と一緒だったのだろうと翔太は考えていた。
弓弦の帰りを待つ翔太の佇む階でエレベーターがとまりドアが開く。


「あ、翔太君。ここで待っててくれたんだ。ただいまぁ翔太君。」
「お帰りなさい、弓弦さん。」
「大丈夫かぁ?翔太。」
「えっと・・・・・(汗)」
「マジ覚えてないのか?なんだかショックだなぁ(笑)」
「ごめんなさい。でも僕・・・・・。」
「翔太君、無理しない。それよりも忘れること思追いだす無理な努力より
 教えてもらった方が気持ちも楽だと思って連れてきたのよ。」
「貴志だよ、弓弦さんと一緒に`mask´で一緒だったんだけど・・・・。」
「んじゃ、貴志さんからもいろいろと教えてもらっれたんですね僕。」
「ん、そりゃそうなんだけどさ。翔太さぁ・・・・やっぱり翔太は俺だよな。」
「俺・・・ほかの人からも言われたんです。僕じゃなくって俺って言ってたって。
 でもどうしても僕って言ってしまうんですよ。」
「まぁ、そんなことどうでもいいじゃない(笑)今の翔太君は僕と言ってた方が
 自分の中でしっくりしてるんだろうし。」
「なんだか違う僕になってしまったみたいで。でも、今は僕は橋本翔太なのでここまま(笑)
 貴志・・・・さん、僕は弓弦さんと貴志さんほかの人たちに囲まれてどんなところまで習って
 やってたんでしょう。僕、思い出せると思いますか?」
「翔太の場合は頭を使って予習復習してたんだもんな。俺は大丈夫だと思うぞ?
 翔太のロッカーもそのままにしてあるがこの間整理して制服をクリーニングに出してって
 みんなで掃除だけはやったんだが、お前すごいな。あんなに短期間で覚えたのはこれなんだって
 感心たんまりのノートの束が出てきたよ。中はぱらぱらってみたがお前字下手くそ(笑)」
「恥ずかしいなぁ。でもそんなに僕は残してるんだ。」
「そうね、カウンターに立っててもちょこちょこ走り書きのメモとって帰りにそれ整理してたもんね。
 こまめだなぁとあたしも思ってた。」
「僕また頑張ります。貴志さん弓弦さん、退院したら一緒に弓弦さんと出勤します。
 んで、もう一度初めからになるんだろうけど、頑張りますから。」
「おぉおぉ頼もしいね。そんな翔太は大好きだ(笑)
 お前の退院祝いに今日のシャツとおそろのシルクと本革の皮パン特注してやる。
 お前のサイズ今から図るぞ(笑)脱げ―――――!翔太!」
「弓弦さん助けて(汗)」
「いや、きちんと図ってもらわないと、皮パンははけないからな(笑)」

貴志は笑いながら翔太をベッドから引きずり出し着ているものを半分脱がしにかかった。
恥ずかしいのか翔太もかなり抵抗していたが貴志の力には勝つこともできず
弓弦は後ろで笑って兄弟じゃれ合っているようなその姿を見ていた。

「えっと、ウエストが65か。細いな翔、ケツは・・・・・80ちっちぇぇな。
 で?股関節から膝までは・・・・右が48.左は?左は・・・50.右と左で長さが違うんだな。」
「そこまでしっかり図ったことないからわかんないですよ。」
「ほれっ!とにかく右足出せ。」
「こうですか?」
「力まずに。面倒だなぁ(笑)膝上周り膝下回り。あ、弓弦さん。
 弓弦さんは左足はかって。」
「はいはい(笑)」

翔太がくすぐったく笑っている間貴志と二人でサイズを確認している弓弦も
こんなに元気に笑う翔太を見ていたら何もかもが前に向かって進んで何もかもがうまくいくとそう思えた。
貴志が翔太をかわいがっているのも弓弦は知っている。
弓弦も年上の翔太を弟みたいだとかわいがること貴志も知っている。
お互いに立場は違えど翔太を心から大切に思っていることは分かっているうえで
その病室内でからかい少し嫌味で少し笑えてほんの少しやさしく笑いながら
翔太を励ましていた。翔太もそれは分かったうえでの表情を見せる。
3人でいるその部屋にはかなり騒がしい笑い声が響いていた。
そんな中弓弦が椅子の上に置いた手荷物を開いて見せた。

「翔太、見てみて。」
「どうしたんですか?それ」
「`mask´から帰ってくる途中地下鉄で貴志と会ったんだけどさ。」
「池袋で降りてその上のショップで弓弦さんの退院&誕生日祝いでシルクのシャツ買ったんだ。
 で、そん時に色違いで弓弦さんとシャツを買ったんだけど
 弓弦さんそのまた色違いでシャツ買っちゃってさ。」
「見て、翔太君。白がさ貴志から買ってもらったやつで背中見て!
 天使の羽が光の加減で見えるんだ。」
「んでさ、俺も色違いで弓弦さんが進めたピンク買ってもらったんだけどさ
 それも天使の羽。俺にピンクで天使の羽だぞ?おかしいよな?そう思わないか?」
「貴志さん結構それにあってますよ。弓弦さんの目に狂いはないですよ(笑)」
「んじゃ翔太の退院祝い同じの買ってやるから翔太お前も同じの着るんだぞ?いいか?(笑)」
「僕もですか?僕もピンクを?」
「当たり前じゃん(笑)俺に似合ってるんなら翔太は俺よりもすげぇ似合うからもてるぞ。」
「退院かぁ・・・・・。明日でもと先生は言ってたけどどうなんだろう・・・・・。
 そんなに早くいいのかなぁ。」
「いいんじゃない?今だって元気だし怪我治ってるし。」
「だけど俺の頭の中・・・・・大丈夫かな。」
「大丈夫じゃないと意識がよぎった時は急いで病院に連絡したらいいじゃん。
 弓弦んちにお世話になるんだろ?弓弦の世話に。」
「大丈夫、翔太君の異変気づいたらすぐに病院ってことわかったるから。でも具合悪いときは
 きちんと伝えないといけないんだよ?少しでも無理はできないんだからね?」





貴志と話をしているときに弓弦の携帯がなり、すぐに電話に出た。原田からの電話だった。



     `tururururururu tururururururururu turururururururu´

「はい、お爺ちゃん何?」










そう話し始めて弓弦は二人から離れ窓際で話を始めた。
何気ない二人の笑い声が電話から原田の耳に聞こえている。
そんな様子を放しながらも、原田は順調に元気になっていく橋本の姿は手に取るようにわかった、
橋本の様子からして退院も早いだろうし面倒を見るのも楽しみだと。
そしてしばらくして電話を切ると貴志と翔太が話し込んでて
それが楽しそうに話をしているので自分だけが外れたみたいに感じた弓弦。
しかし原田が一番気にしている翔太の事を早めにスケジュール確認し動き出さないとと思った。
そして貴志にも知らせておかないとと話を始めた。

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