森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 192

するとにやりと笑った翔太。
なんだか不思議な感覚でのニヤッとした笑い顔に弓弦は戸惑ってしまった。
そんな中ドアをノックする人がいる。

  `konkon konkon´

「はぁい。どうぞ。」
「ご機嫌いかがかね?翔太。」
「熊ちゃんだ(笑)それに社長。すみません、怪我が長引きいてしまって。」
「いや、いいんだ。昨日の事故で手術したんだろう?大丈夫なのか?」
「手術しただけの痛みはありますが大丈夫です。」
「あの・・・・私のことを‘熊ちゃん´って・・・・翔太君記憶・・・・。」
「そうだな、翔太。お前話す雰囲気が昨日と少し違う気がするが・・・・。」
「みんなそういうんですが俺的には何も変わっていない気がするんですけど、やっぱり変ですか?」
「変だろう(笑)`俺´と自分のことを言うだけで変だと思うさ。だろ?弓弦君。」
「そうなんですが・・・・今さっきもちょっとどこまで思い出しているのか話ししてたんですが
 いまいちわかんなくって。」
「だから弓弦さん変な顔してたんですね(笑)」
「でも社長、翔太君・・・・俺って。」
「そうだな、私たちの前では隠し事なしで話をしてほしいがどうだね?」
「どうだって、社長。俺は俺ですよ。今までと変わりない俺です。
 退院したら少しの間療養しますが復帰は近いと思っててください。」
「お前・・・・療養の話は覚えているのか?」
「覚えているも何も自分の決めたことです。俺がしっかり覚えていないとおかしいでしょう?
 とりあえず、昨日の事故があってもなくても退院は近かったし。」
「翔太。その記者会見は覚えているのか?その・・・・自分が・・・・」
「俺自身が社長からの電話をとって話をしたことでしょう?」
「お前・・・・・。本当に・・・・。」
「翔太君、社長の前では何も遠慮しないで話できるのね(笑)」
「社長に隠し事してもどうしようもないでしょ(笑)社長、俺大丈夫です。
 昨日の事その前の記者会見の事、弓弦さんと西村さんの家で療養とリハビリすること。
 きちんと覚えています。だけど弓弦さんも4月に入ると忙しいんだよね。」
「そう、社長。社長にもきちんと言わないと。」
「ご連絡吐いていますよね?社長。」
「あぁ、一応耳には入っているよ。」
「石橋マネージャーさんとほかのMartinの4人、
 西村とあたしサイドの方で調整はしているのですが
 うちのおじいちゃんの予定で動こうかと。」
「それは?」
「たぶん社長にも夕食会のご連絡が行くと思うのですが4月入るとすぐに月城はなさんのお兄さん。
 ジャニス・レノがフランシス音楽基金の設立とバカンスのために来日されます。
 しばらくおじいちゃんちにいることとなるのですが
 あたしもきっとその間はおじいちゃんちに通うこととなるだろうし、
 まささんのライブもあります。」
「そうだな、原田君もバタバタだろうが・・・・。
 もしかして原田氏は本当に翔太の療養先を自分の家にと言ってくれているのか?」
「えぇ、翔太君の面倒を自分の家で見させてほしいと。
 きっとみんなで翔太君の面倒を見たいだろうし
 あたしもまささんも大泉の方に出入りするのが多いだろうし。
 そうなると翔太君を連れて回るよりも24時間誰かがいる大泉の方がきっといい環境なのかもと。
 お爺ちゃんが進んでそうしたいと願っているのでその方が・・・。」
「翔太、お前はいいのか?」
「俺にとってそれが一番だと言ってくれるのですから俺は素直に甘えたいです。
 社長、療養は原田さんの家でということでもう話が進んでいますのでその方向でお願いします。」
「本当にいいのかね?原田さん。」
「お爺ちゃんの考えは間違っていないと思います。預けて大丈夫だと思いますよ?
 それに翔太君の事みんな大切に思っているのですから一番いい環境で療養できるのであれば
 それが一番だと。そうあたしも思います。」
「しかし原田氏のお宅にはジャニス・レノが滞在されるのだろう?ただでさえ大変なのに
 翔太まで甘えてもいいんだろうか・・・ちょっと心配なのだが。」
「社長の方から原田さんに連絡をしてみたらどうですか?俺は素直に甘えます。」
「いいのかね?原田さん。」
「社長から直接聞くといいですよ(笑)今日はもうしばらくしたら事務所にと言ってました。
 石橋マネージャーさん、きっと一緒に泊まり込んでも大丈夫よ。」
「ほんとですか?でも自分はフランス語話せません。」
「大丈夫、お手伝いさんの中に一人話せる人がいますしジャニスは英語で話しても大丈夫。
 はな姉さんもいるし、あたしもいるわ。」
「翔太。」
「はい、社長。」
「この療養の間怠けるんじゃないぞ?しっかりと学ぶべきところはしっかりと吸収して来い。」
「社長、ありがとうございます。いただけるものすべてどうにか。と言いたいところですが
 今このままも翔太です。できるところまでしっかりと。
 頑張って自分を取り戻して今より成長して帰ってきます。」
「頑張ってくれよ、これだけしっかりと意識がある翔太を見たら安心した。
 好きなようにと言ったらおかしいが自分の思うように動いて回って大丈夫だ。私がフォローする。
 だからきちんと連絡だけは入れるように。わかったな?翔太。」
「ありがとうございます。俺頑張ります。そして一回りも二回りも大きくなって帰ってきます。
 復帰の第一弾お任せしますから準備をお願いします(笑)」
「わかっているよ。熊、頼んだからな?」
「わかりました、社長私は残りますが大丈夫でしょうか?」
「あぁ、大丈夫だ。楽しみにしているよ。んじゃな。翔太。本気を出してみんなに追いつくんだ。」

そういうと颯爽とした後姿を残し後ろ手に手を振るその背中は
翔太の尊敬する社長のかっこいい背中だった。
そして3人で話をはじめ正直翔太の意識を記憶が気になっている二人は次々といろんな話を切り出し
達哉たちも来ると言ってまだ来ないみんなを待っていた。




「しゃべりすぎてのどが渇いちゃったね。」
「あ、私が何か買ってきますよ。何がいいですか?弓弦さんは・・・・???」
「あたし・・・カフェオレがいいな。1階の奥の自販機だとあるんですって。前はなかったのに。」
「んじゃ俺は・・・。」
「ブラックでいいんでしょ?」
「よく御存じで(笑)」
「そりゃ橋本翔太のマネージャーですから何でも(笑)」
「でも本当に思いだしはじめているよね。どこまで思い出してるのかなぁ・・・・。」
「きっとみんな来て話し始めたらボロボロ自分を取りもどでぃていきそうな気がする。
 そんな気がするんだけど・・・・いまはどぉ?気分悪くはない?」
「気分は上々(笑)手術した傷跡はなんだか微妙に痛い気もするけど
 でも手術したばかりだもん仕方ねぇだろ?
 そろそろ痛み止めを飲まなきゃいけないからブラックは遠慮する。
 熊ちゃん、俺炭酸水がいいや。売店にあるからさ。」
「わかりました(笑)んじゃ弓弦さんがカフェオレで翔太君が炭酸水ですね。
ちょっと行ってきますよ。」


そういうとマネージャーは携帯と財布を持ち部屋を出て行った。
その間、二人また話を始めると外は雨が降り出してきた。窓の外を二人見ていると翔太の携帯が鳴る。

 `turururururu  turururururu´

「すみませーん。翔太君、事務所から連絡があって私戻らなければいけません。」
「そうなの?でもこっちは大丈夫だから行ってきなよ。」
「あまり暴れないでくださいよ?」
「わかってるって(笑)いってらっさい。」
「行ってきます。」

「なに?」
「熊ちゃん呼び出されたみたい。事務所に行ってくるって。社長と一緒に帰ったらよかったのにね。」
「んじゃ、あたしが飲み物買ってくるよ。」
「一緒に行こうよ、歩けないわけじゃないんだし(笑)」
「だったらエレベーター横の自販機で。あそこにはblackはあると思うけど?」
「弓弦さんのカフェオレはないでしょ?いいの?」
「ん、別にそれじゃなきゃダメってわけじゃないから。気にしないでいいよ(笑)」
「それよりさぁ、弓弦さん。」
「何?」
「今何時?」
「今・・・・・んと、14時回ったぐらい。」
「だと、もうそろそろ西村さん来るんじゃない?」
「そうかなぁ。でも達哉君たちが先かもよ?」
「ん・・・・まぁとりあえずは翔太君とちょっとだけ二人かぁ。」
「なんだかうれしい俺がいるんですが(笑)」
「ねぇ、ほんとどこまで思い出しているの?正直に言わないと話するのどうしたらいいかわかんないよ。」
「とりあえず・・・・どうしようかな。階に行って部屋で話していようよ。」
「ん・・・仕方ない(笑)その代りちゃんとね。」

ふざけながらもきちんとまっすぐに歩けている翔太だけれど腕にはまだ痛み止めの点滴が付いている。
それを引きながらも弓弦と一緒に部屋を出てエレベーター横の少し広いスペースまで行き
自分の炭酸水を購入。弓弦と一緒にゆっくりと部屋を往復した。
部屋に戻りベッドに戻り入り込むそして半分ベッドを起こして弓弦の方を向いて体を立てた。
弓弦は翔太がベッドを出るときに窓際に押しやったふんわりとしたクッションの付いた方の椅子を
ベッドのそばに寄せそしてテーブルも寄せて座った。
座った瞬間だった。翔太は椅子に弓弦が深く座り込んだ瞬間左手で力いっぱい引き寄せ
弓弦をびっくりさせる。
座った椅子は、キャスターがついていたために怪我人の翔太でも簡単に引き寄せることができた。
慌てて椅子の端をつかみ落ちないようにバランスをとる。びっくりした顔のまま翔太の方を向いて
弓弦は言葉も出ないまま顔を見つめた。

「びっくりした?」
「びっくりしたも何も、落ちたら痛いじゃない。もぅ。」
「あはは、弓弦さんのそのびっくりしたかお久しぶりに見た(笑)」
「人をおちょくってない?悪いいたずらだよ?」
「ごめんなさい(笑)だって弓弦さんって本当に表情がコロコロ変わって面白い。
 出会ったときは無愛想な顔で胡坐かいてたのにさ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・翔太君?ねぇ、今なんて言った?」
「なんて言ったって?」
「そう、今!」
「今?んと弓弦さんの表情がコロコロ変わって面白いって・・・。」
「そのあと!」
「で・・・・・であったときは無愛想な顔で胡坐かいてたのにさって・・・・・あっ。」
「思い出してるじゃない。あたしと出会ったころの事。
 ちょっとどこまで思い出したのか話してみない?」






一方、山本はドアが閉まると同時に事務所へ電話を入れた。
翔太の様子と先に部屋を出た石橋に連絡を取りたいと伝え、その足で移動していく。
原田氏が弓弦を通して提案している翔太の療養の件をしっかりと把握したいため
とにかく石橋と連絡を取りどうすると決めたのか何をどうするのかを
確かめなければ自分の動きも決まらないだろうと 模索し始めたのだった。
一方病室に残された翔太と弓弦は社長と翔太野とのやり取りで
弓弦は翔太がどれだけのことを思い出したのかが気になってしょうがなく
どうしても本当はどれぐらい思い出したのか聞き出したかった。
ベッドに横になる翔太はTVを見ながら携帯を手に持ちメールを確認している。
弓弦もそのそばで何気に話す翔太の言葉に返事をしながらいつ切り出そうか迷っていた。
迷うこともないのだろうが、もし話を始めた途端に痛みが走ったりとか無理はさせられないと思いながら
翔太のほうを見て話しする翔太に返事をしていたもだった。
しかしであった頃のことを覚えているということはかなり思い出したのだろうか。
それとも部分的なものでそれ以上は思い出せてないのかどうなのか気にはなっていた。
ワイドショーのような番組の中では必ずMartinのことが話題に上がる。
そして翔太の記者会見後の病院の事故で今どこに翔太が移送されどの病院で治療を受けているのか
今後の予定はどうなってしまうのかと四角い箱の中で
みんなが騒いでいる様子を翔太はにやにやしながら見ている。

「ねぇ、弓弦さん。」
「ん?」
「あのさ、俺の事・・・・・・。」
「翔太君の事?」
「そう。社長に話しててさ翔太君は現実どんなふうに自分のことを思い出したのかなって思って。
 でも、朝早い時間の処置とかでまだ手術した傷後も出血とまってないんだろうし
 まだ・・・・・・痛いでしょ?ズキズキと・・・・・・。」
「そりゃね。でも思い出してしまったものは思い出してしまったこと。
 俺が思い出したこと話してほしい?」
「もちろん、そうでないとこれから達也君やあの人が来るでしょう?
 あたし間に立って話し合わせなきゃいけないし。
 一人で説明するのも大変だろうから。まず、お爺ちゃんにも
 翔太君の療養のことで話しないといけないから、現実・・・・・・。」
「そっかぁ・・・・・。」
「あたしの携帯にもあの人からのメールが来てて夕方こっちにくるって。
 仕事終わってから来るだろうからそんなに早くはないだろうけど
 達哉君たちも仕事終わってまっすぐこっちにくるでしょう?」




話をしているとふいに翔太がベッドから起き上がり、端に座り込んだ。
そして椅子に座っている弓弦を横に座ってよとそばに呼び座らせる。



「弓弦さん。まずね俺はきちんとではないけどところどころだけど
 たぶん思い出せると思う。たぶんね。」
「本当に?」
「ん…たぶんだよ(笑) でもさ手術した後の傷がすきすき痛むでしょ。
 あ、でも思い出すために痛いんじゃないんだ。それだけはわかって。」
「そう、もうそろそろ15時だから看護師さんがお薬持ってくるね。
 点滴も残りが少ないから一緒に持ってきてもらう?」
「そうだなぁ・・・・この点滴は何のためのだろう・・・・・。」
「聞いてみたらどぉ?で、達哉君たちが来る前に思い出したこと。
 思い出したことあたしに話せる?そんな余裕はある?」
「あるよ、あるけど・・・・・なんだか笑っちゃうな。」
「何でよ。」
「何でって・・・・・だって俺フラれたこと思い出しちゃったし。
 フラれてんのにこんな付添い頼んじゃったりしてさ。女々しいじゃん、俺。」
「仕方ないでしょ?記憶が飛んでた時の翔太君が頼んだんだもん。
 記憶が少しづつ戻ってきた翔太君だと・・・・・やっぱり恥ずかしいもん?」
「そりゃね。」
「んじゃ、詳しくは聞かないから簡潔に思い出したことを口にしてみてよ(笑)」







すると翔太は目をつぶって一つづつ思い出したことを口にした。



「えっとね。
 弓弦さんと初めて会ったこと。その日の夜に西村さんを紹介してくれたんだ。
 んで、そのあとは何度か悠太に誘われてお店にい邪魔したなぁ。」
「うんうん、で?」
「で、なんだっけ沖縄に行ったんだよね。一緒にダンスレッスンして
 あ、秋山さんとかが一緒にいたなぁ。日がたつにつれてどんどん上達しちゃってさ。
 双子みたいだって。俺もそう感じちゃったんだよね。」
「そうそう(笑)」
「でさ・・・・あ、思い出した!弓弦さん貧血で倒れて俺一晩看病したんだ。」
「あたり(笑)」
「んで、こっちに帰ってきてからチャリティーのイベントがあって・・・・・。
 ・・・・・・っつ。えっと・・・・・・・。」
「無理に思い出さなくていいじゃない。」
「なんだっけ?」
「ごめんね、あたしのせいで事件に巻き込まれてその時翔太君怪我したの。
 で、この病院で治療したからここの病院のことがわかるのよ。」
「そっか、でもいまいちそこの所が思い出せない。あと思い出したのは・・・・・・・・。」
「何を思い出した?」
「仲間の事は・・・・・それなりに。たぶん来るとばっと思い出すのかな。」
「それ以外では?」
「家族の事は当たり前だろ?もう大丈夫(笑)」
「あとは・・・・・。」
「あと・・・・・思い出せることがあればすぐにでもなんでも思い出したい。
 ねぇ、弓弦さん。退院した後俺弓弦さんのご実家にお世話になるけど
 俺はこのままでいいのかなぁ。」
「そのままでいいんじゃない?そして思い出した分だけ自分に戻っていければなおさらじゃん。」
「そうだね、まぁ気長にいいか。弓弦さんの事少し思い出したし。
 俺これ以上思い出すと弓弦さんに甘えられなくなるしさ。」
「そんなこと考えて(笑)」


二人笑いながらも何を思い出し始めたのかわからない弓弦がいて
自分のまだ弓弦を好きな気持ちまで思い出した翔太がいて、
お互いに探り合いをしながらも話が盛り上がっていった。

しばらくくだけた話をしていると翔太が頭をかかえた。痛みどめが切れずきずきと痛み始めたのだ。
翔太自身はもうすぐ看護師さんが来るからと我慢していたのだが
心配でしょうがない弓弦は頭の包帯を取り様子を見る。
するとやっぱり動き回って血圧が上がったこともあるだろうし
笑ってご機嫌な分やっぱり結了は活発になっただろうと思われた。
うっすらと少し血がにじんでいるのがわかり弓弦も起きてないで横になろうといい
翔太を横にならせてナースコールで看護師を呼んだ。

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