森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 193

  `konkon konkon´

「はい。」
「どうかされましたか?」
「あの翔太君の頭の・・・・・。」
「もう少ししたらべつの看護師が回ってきますが・・・・・・出血ひどいですね。
 包帯にまで血がにじんで・・・・・・・・・・・・・・。交換を先にしましょう。」
「お願いします。本人も・・・・・・翔太君?」
「あ・・・・・ちょっと・・・・・すみま・・・・せ・・・ん。」
「大丈夫?」
「大丈夫です、ちょっと痛みどめが切れてきたのかな?少し・・・・。」
「呼びますね、早めがいいでしょう。」
「お願いします。」



「翔太君、やっぱり無理してたんじゃん。」
「へへへ。」
「とりあえず、包帯を変えてもらってゆっくり横になって。」
「そうだね、弓弦さんそばにいてくれる?」
「付添いだものね、それよりも来られたら薬を飲んで痛みどめの点滴を変えてもらったら
 横になって目をつぶるのよ?いい?」
「わかってるって、でないとリーダーたちが来たときみっともないでしょ?わかっていますって(笑)」
「余裕ぶっこいてるときついわよ?」




そう話をしていると先ほど来た看護師とは別のが看護師来て点滴を用意している。
ごそごそとしていると大久保先生ともう一人先生が来て翔太の様子を見始めた。
先ほどの看護師も戻ってきててきぱきと包帯の下のガーゼなどを交換してもらい、
そのあと翔太は横になるように少しきつく言われた。
翔太はおとなしく横になって話を注意事項を聞きながらうなづいていた。
点滴を再びつけられた腕は少し腫れているようにも見えるといわれ
逆の腕にされたのが少し感触が悪いのかもぞもぞとベッドの上で動く。
それを見ながらもおとなしく寝ててねと言われしぶしぶと返事をした翔太。
笑いながらもそう言い放った弓弦は携帯のメールを確認。
看護師たちが処置をして出て行った後はTVをつけたまま二人の時間が過ぎて行った。
点滴と薬のせいか翔太は少しうとうととし始めたので弓弦は掛布団をきちんとかけて
目をつぶり寝ることを進めた。
達哉たちが来たら起こしてあげるからと言って。
すると、翔太も看護疲れで顔色が悪い弓弦を気遣ってか

「おとなしく寝るから手をつないで」

そうお願いした。笑って仕方がないなと言いながらベッドの横で本を読もうとしていた弓弦は
本を荷物に戻し再び翔太の横に椅子を持ってきて座りなおすと、
掛布団から出ている左手にそっと右手を置いた。
するとしっかりと弓弦の手を握り締めうれしそうな顔をした翔太は目をつぶり眠りに落ちて行った。
弓弦もそんな翔太の優しい表情をしたまま目をつぶってしまったのを見届けると
握られている手を外して本を読もうとしていたのだが
なかなか翔太が握ったその手は弓弦の手を放してはくれずかといって起こすこともできない。
仕方がないと諦めそのままベッドの横で眠った顔を見つめていた。
いろいろとこれまでのことを考えて見つめる翔太の顔は弓弦にとっても
助かったんだなぁと安心した安らぎを感じる表情だった。
そうゆっくりとした時間の中で弓弦も15分ほど過ぎたころだろうか、あくびが出て眠気に誘われ
すっと眠りの中に落ちて行った。
窓からさす日差しが心地よく差し込んだ午後の時間、周りも静かでお昼寝にはもってこいの時間。
二人仲良く眠りに落ちている。
誰もドアをノックしなかったためにそのまま手をつないだままの時間が過ぎていく。
翔太は夢を見ているのか大きく寝返りしたりとか動きはしないのだけれど
にやにやと顔は笑ってたりした。
弓弦もいつの間にかつないだ手の上に自分の顔を乗せ幸せそうに笑っている。
二人同じ顔をして心地よく寝ていた。
1時間を少し回ったころだろうか、痛みどめは聞いているはずなのにと翔太が左手に違和感を感じ起きた。
目を覚ますとその違和感が何か分かったためににっこりと笑いそのまま動かないまままた目をつぶった。
そう、弓弦の手を握った翔太の手。その上に弓弦の右ほほが乗っていたのだ。
弓弦の暖かでやわらかいほほの感触を翔太は嬉しそうに身をつぶったまま感じまた眠りに落ちて行った。
そしてまたしばらくすると今度は弓弦が起きた。そのころには部屋の時計が17時前を指している。
18時になると夕食の時間になり配膳が始まるとわかっていたので
早めに起こして手を放してもらわないとと弓弦は翔太を起こす。
しかしやっぱり弓弦に似ている翔太、不思議な感覚に襲われながらも
その眠る横顔がかわいらしく弓弦の目には映っていた。
握られている手と反対の手で翔太のほほをつつく。
目を覚ましてくれないかなぁと思いながらもつつく。
なかなか起きない翔太だったが心なしか顔が笑っているような感じがした。
「ん?」と何かを感じたのか弓弦は思いっきりほほをつねった。


「ん・・・・・・???!っいたたたたたた!」
「あはは、起きた?」
「起きたじゃないですよ、痛いなぁ・・・・。どうせならkissしてくれたらよかったのに。」
「そんなことするはずがないでしょ。それよりももう17時回るよ?」
「もうそんな時間なんだ、よく寝てたなぁ。」
「痛みはどぉ?」
「少しね、そりゃまだね。でも、大丈夫なんじゃない?普通に怪我しちゃった感じ?」
「普通にって(笑)でも見せて、血がにじんでたりしてない?」
「止血止めしてあるし薬塗ってあるし(笑)きっちり巻いてあるから大丈夫っしょ?」
「ん・・・・でも、みんな来る前に一度まえてもらってきれいに包帯巻き直してもらおうよ。
 寝ている間にずれちゃってるんじゃない?」
「そうなの?見えないからわかんねぇけどさ、弓弦さん巻き直してよ。」
「あたしぶきっちょだから無理かな、ちょっと呼んでくるよ。」
「面倒だなぁ。呼ぶと面倒じゃない?」
「呼ばないほうが面倒だよ(笑)ちょっと待ってて。」

そういうと弓弦はドアから顔を出しあたりを見回す。
看護師が見当たらないと見回しながら確認すると、ナースステーションまで呼びに行った。
わざわざ行かないでもいいのに、と思いつつもすぐに人を呼びに行った弓弦を
引き留めることもできずにいる。
すぐに弓弦は戻ってきた。いつもの看護師と一緒に。

「ただいまぁ、さぁ包帯変えよう。」
「あら。にじんでますねぇ。かなりにじんでるように感じるけど先生に診てもらったほうがよくない?」
「そうなんですか?ちょっと違和感があったけどそうなのかな。」
「また横になるんだから枕にあたるでしょ?きちんと見てもらって止血してもらおうよ。
 そら、枕にも血がついてる。」
「ほんとだ。俺そんなに寝相悪かったかなぁ(笑)」

そう雑談をしながらも看護師はてきぱきと包帯を取りガーゼを取りと動いている。
しかし、出血がひどいと思い傷口を確認するとやっぱりといった顔をして大久保を呼びに行った。
すぐに大久保が部屋に来て傷口を確認、
治療室に行ってきれいにしましょうと言いながら翔太を連れて行った。
弓弦は一緒に行かずに部屋で待ってるからといい、連れて行かれる翔太の後姿を見送る。



   `konkon konkon´


「はぁい。どうぞ。」
「お疲れ様です、達哉です(笑)」
「あ、お疲れ様。みんなで来たの?」
「こんちわっ。れ?弓弦さん一人?」
「あ、お疲れ様中村君も来たんだ(笑)」
「もちろんです(笑)ていうか、俺もいるんだけど?」
「悠太君(笑)上村君は?」
「車停めに行ったよ。すぐに上がってくるんじゃない?」
「そっか(笑)みんなお仕事疲れ様、今日の仕事は?」
「あぁ。今日は午後だけだったから・・・・でも雄ちゃんは夜TV入ってるんだよね?」
「あいつは俺らと違って忙しいもんな。でも、翔太は?どこいったんだ?」
「あ、今ね処置室まで先生と一緒に。」
「またなんかあったの?」
「なんもないよ。達也君たちが来る前に手術跡のガーゼを取り換えようとしたんだけど
 寝相が悪くって(笑)ガーゼずれるし包帯ぐちゃぐちゃだし。
 し直そうとしたらさ傷口開いて出血してたし。で、処置室ね(笑)」
「翔太・・・・あいつ寝相悪いもんなぁ、俺何度もけられたことあるしさ。」
「そうなの?あたしが横にいてもそんなに悪いとは思わなかったけど?」
「弓弦さんはほんとにすげぇところ見たことないんだ。翔太は一時も
 おとなしく動かないって寝相はないんだよ?
 おとなしくして寝ていると思われるときは寝たふりしてるんだって。」
「そうなの?それほんと?」
「翔太にきちんと聞けばいいのに。なぁ、悠太。」
「俺翔太に寝てるとき蹴り上げられたことあるよ、痛かったなぁ(笑)」
「そこまで(笑)」
「で、翔太まだ戻ってこないのかなぁ。」


5人話をしながら翔太のいない病室では笑い声が響いている。
にぎやかな病室の前を、通り過ぎる他の患者や看護師たちは
どうしたのかと不思議に見ながら通り過ぎて行った。
それからそんなに時間がたたないうちに病室のドアが開き元気に翔太の声が響いた。

「ただいま、弓弦さん!」
「お帰り(笑)待ってたわよ?」
「あっ!リーダーも、みんな・・・・・みんなごめんなぁ。」
「お帰り翔太!大丈夫なのか?怪我は。まさか病院での事故だろ?みんなできちゃったよ。」
「ごめん、本当に心配かけてごめん。でも俺この頭の傷だけなんだ。
 怪我はないんだ。もう大丈夫、大丈夫だから。」
「ん?なんか翔太お前・・・・・・。」
「なに?」
「なんか・・・・・・・。」
「俺は俺だよ、何言ってんだよ。雄ちゃんも何でそんなほぉけてるんだ?」
「だって翔太お前・・・・・。」
「翔太君、きちんとベッドに入ってそれから話をしたらどぉ?
 みんなびっくりよ(笑)あたしもだったけど(笑)」
「そうだね(笑)」
「でもまず、みんなに。

 本当に心配かけてごめん。俺、きちんと記憶はあるから心配はしないで。
 一つ一つ話をするけど、復帰までは早いよ。早く復活する。約束できるよ。」
「お疲れっ!おぉ翔太起きてたんだ。」
「雄ちゃんお帰り。」
「上村君、今日も一日お疲れ様。」
「弓弦さん、月城さんはいないんだ。」
「姉さんとしょっちゅう一緒とは限らないのよ(笑)」
「で、翔太。」
「ん?何?」
「お前なんとなく・・・・・。」
「だから、とりあえず。

 心配かけてごめん。俺もう大丈夫。
 記者会見で言ったことは自分をきちんと取り戻すために時間として
 時間頂戴。けがは何ともないから。
 ただね、ただけさ早くに手術してその傷があるけど手術は大丈夫だったし


 療養するだけ、ちょっとだけしっかりと傷を治して復活するから待っててよ。」
「記者会見って・・・・・翔太お前`僕´ってしゃべってたこと覚えてるのか?」
「もちろんさ、だって俺の話だもん(笑)」
「もしかしなくともよ?もしかしなくとも翔太さ全然大丈夫なんじゃね?」
「翔太君、みんないるんだしもうなんでも話ができるわよね?
 隠してることきちんと話すことできない?」
「そうだよ、今の翔太の事を知りたい。なぁ、翔太ぁ。」



「ごめん。俺さ、まだ大丈夫だって言えるぐらいまでじゃないけど何とかさ
 何とか思い出せそう。みんなの事も。」
「だってさ、翔太君ね、ちょっとしゃべってたんだけどさ覚えてる?」
「覚えてるって・・・・・・・。」
「あたしと達哉君たち5人と山本社長を挟んでひかりと一緒に食事したじゃん。
 あの時のあたしを覚えてたのよ?しっかりと。」
「ん?それって・・・・・。」
「ほら、俺ら仕事終わって帰ろうとしてた時社長から電話があって篝屋に行ったじゃん。
 社長が飯おごるからって言って呼び出されて。そんときにさ、弓弦さんと初めて会っただろ?」
「あ、俺も覚えてるよ。ひかりちゃんっていうんだって言いながらも
 リーダーニコニコしててさ、その顔見ている弓弦さんすげぇ機嫌悪そうな目つきで(笑)」
「そんなこと覚えてなくてもいいのに。
 話しているとね、あたしがその時`胡坐´書いて座ってたって覚えてたのよ。
 確かに、あたし和室のときはそうやって座るから。
 よく覚えてたと思った。でも、覚えてたのはそれだけ。」
「でも思い出すことできたんだ。だとするときっと細かいこと思い出し始めるんだろうな、翔太はさ。」
「なぁ正直にさ翔太今覚えていること口に出してみろよ。
 俺らの目にはスタジオの事故の起きる前の翔太そのままなんだけどさ。
 でも、いまいち・・・・なんて言ったらいいんだろう。少し不安なところもあるんだよな。」
「ん・・・・確かに弓弦さんと初めて会った時のことは思い出しているよ。
 それとかさかのぼって話したほうがいいのか。」
「ここ2,3日の事は?」
「しっかり覚えているさ(笑)`俺´じゃなくって`僕´って自分の事を言ってたことも
 記者会見で社長が電話をしてくれてその場に生で声だけでたことも。
 自分の発言したことはしっかり覚えているんだから当たり前だろ?」
「そっか、んじゃ療養の事も?」
「弓弦さんのお爺ちゃん家にしばらく居候するし、その間ジャニス・レノも来日するんだろ?
 で、弓弦さんも西村さんのライブに出るからバタバタでって話してて
 だからお世話になるんだよな。」
「しっかり覚えてるんじゃん。大丈夫になったんだなぁ、翔太。」
「あたしも話しててなんだかね。驚かされっぱなしなんだよね。」
「でも翔太頭の包帯・・・・・・。」
「昨日の事故で意識なくしてて、怪我してたんだって。
 で、弓弦さんの力でまたこの病院に戻ってきて緊急手術したんだよね。」
「そうそう、先生に連絡取ったらすぐにここに来れてすぐに手術。
 翔太君頭を強く打ちつけてたから脳内出血してて。」
「俺大変だったんだ(笑)」
「そうよ?朝から出血したところなのか頭の中のほうがかわからないけど痛くて起きtんだよね。
 でも処置してもらったけどたいしたことなくって。」
「翔太は心配ばっかりかけてるなぁ(笑)」
「でも、先生が大丈夫って。お墨付きもらった(笑)
 もう大丈夫。少し休ませてもらうけどみんなの手を煩わせることなく療養できるよ。
 だって体をけがして動けないんじゃないからさ。」
「翔太・・・・本当にちゃんと元の翔太に戻りつつあるんだ。
 俺ら完全復帰する翔太を待ってればいいんだな。本当に・・・・。」
「大丈夫だって(笑)スケジュールは弓弦さんとまささんと
 来日するジャニス・レノさんと月城さん・弓弦さんのお爺ちゃんと
 みんなで話し合って決めたんでしょ?それに合わせたらいいじゃん。」
「今更どうって変更も大変だしな。くまさんもマネージャーたちで調整したらしいし
 それで行こうよ。変に翔太が気が付いてって変更したら大変でしょうがない。」
「あたしのもうちの渡辺が詰めて決まったんでしょ?あとで聞いてみるわ。」
「あ、弓弦さん。一つ追加した予定があるんだけど。」
「ん?」
「翔太が抜けてちょっと埋められない番組があって・・・・・・。」
「自分たちの番組の?」
「まささんと一緒なんだけど・・・・・・。」
「もしかして・・・・・・。」
「まぁ、後でまささんから聞いてよ。出演はまささんとも同じ日だから。」
「まさか・・・・・あたし歌わせられるの?」
「そうともいうかな(笑)この間のアルバムからカットされてシングルで発売した
 スローなバラードだからすぐ覚えられるよ。」
「決定事項なのね?」
「そうともいうかな(笑)」
「俺の代わりに弓弦さんがリーダーたちとうたうんだ。あ、わかった。あれだっけ?」
「翔太思いだし始めたなぁ(笑)具合悪くなったらちゃんといえよ?」
「わかってるって(笑)何歌うのさ。」

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