森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 197

翔太が退院するとなったその日、朝から達哉はひかりと一緒に出社し悠太と合流。
TV局での番組のリハのために移動、控室で上村と中村を待っていた。
同行していた達哉のマネージャーと悠太のマネージャーと4人で話をしていた時先に中村がドアを開ける。

「おは!なんだか今日は忙しい?」
「賢ちゃんおはよう!」
「よぉ、何でそう思うんだ?」
「なんとなくさぁ、目覚めがよすぎちゃって(笑)」
「あと上村君ですね・・・・遅いなぁ。」
「ちょっと電話入れてみますか?」
「もうすぐ来るんじゃね?大丈夫さ(笑)」


そう話をしているとドアが開き`遅くなったごめん´と言いながら
息を切らして上村が駆け込んできた。

「ごめーん。寝坊しちゃった(笑)」
「どんだけってぐらいチャイム押しましたよ。なかなか出てこなくって」
「ちょっと遅くまで起きててさ、起きたらチャイムがガンガンなっててびっくり(笑)」
「まったく(笑)昨日の打ち合わせのようにして今日のリハはすぐに終わらせなきゃな。」
「なんで?なんでそういそぐんだ?」
「何となくさぁ、何となくなんだけどリハも一発でOKが出そうなご機嫌なんだ。」
「リーダーもか(笑)俺もさ、目覚めがよすぎてご機嫌で失敗なんかしなささそうな気がするんだ。」
「みんな同じだな。でもこの理は終わったら今日はもう何にもないんだろ?」
「そうだなぁ、悠太何にもないんだろ?」
「おれ?俺はなーんもないけど?」
「んじゃ、翔太のところにでも行くか?」
「みんなで行くか(笑)入江ちゃんも行く?」
「そんなに大勢だと迷惑でしょう?病院なんですから。それよりもスタジオに行かないと。
 早く終わらせて来たら次を考えましょう。携帯は私が預かりますね。」
「はいはい(笑)入江ちゃんお願いします!」

そう4人とも携帯などはマネージャーに預けてスタジオに入って行った。
そんなにぎやかな朝を迎えたのだった。

その入江が預かった達哉の携帯に着信。
入江もその着信には気が付いたが控室から移動した後でそれを見た。
すると橋本からの着信だった。
入江はあわてたが収録中はどうしようもないと思いとりあえずすぐに渡せるよう
バッグになおしたところを自分のポケットに入れた。
収録が終わったらすぐに渡そうと思って。

しかし着信ではなくメールの受信だった。
1時間半ほどたったころなかなかOKが出ずに休憩に入った。
入江はスタジオの出入り口でほかのマネージャーたちと談笑してたのだが
休憩の声が響き、達哉たちが駆け寄ってきた。

「入江ちゃんどうだった?俺らのはOKだよね?」
「よかったんじゃないですか?それだけ笑って話をするということは
 自分たちの分は自信があるということなんでしょうから。」
「もちろんさ、なぁ賢ちゃん。」
「そうだねー。ミスなかったし俺らの分はOKだよねぇ。」
「で、達哉君。」
「なに?」
「達哉君の携帯持ってきたんですがほら、チカチカしているでしょう?
 着信音が鳴っていましたけどメールかな?」
「誰だろう・・・・。」





「ん?」翔太じゃん。」
「なになに?なんて?」






「おいっ!やった!」






「どうしたんだ?」
「入江ちゃん!この収録の後何にもないよな!」
「えけ、確か何もなかったと思いますが。」
「悠太喜べ!翔太退院だ!やったぞっ!やったぁ!長かったなぁ。」
「本当に?リーダーほんと?」
「あぁ(笑)」
「メール見せて!今日から原田さん宅にいくんだ。」
「そうだな、入江ちゃん。今日は社長は?」
「社長は事務所でしたけどきっとこの退院の話で動かれるのではないかと。」
「なぁ、見せてよ。リーダーに来たメール。」
「ほら。」





達哉君。

 おはよう、リーダー。
 今は仕事中になるのかな?
 あとで入江ちゃんや社長から連絡が来ると思うけど
 今日退院決まって午前中には原田さんのお宅へ行くことになった。
 リーダー。そしてみんなに伝えて。
 退院したって。んで、またあとで、原田さん宅についたら連絡入れるよ。





「まじだ!マジに退院したんだ。」
「やった!今夜は何ももう仕事も何にも入ってないよな?」
「雄一郎君大丈夫です。今日は何にも入ってませんよ(笑)」
「んじゃ今日はみんなで原田さん宅に決定?」
「それはいきなりは無理じゃね?賢ちゃん(笑)でも俺も行きたい。」
「誰だってそう思うよな。残りきっちりと終らせて事務所に戻ろう。
 それからでも大丈夫だろ?入江ちゃん!」
「えぇ、大丈夫でしょう。退院祝いもありますしね。」
「何か考えなくちゃなぁ・・・・。」
「あとでいいじゃん。それよりもスタジオ戻ろう!」
「んだな。リーダーメールだけは返して来れば?」
「そうだな。先に行ってて、すぐ俺も来るから。」
「先に行ってるよ。」





そういうと達哉と入江をその場に残し、上村たちはスタジオに戻りながら楽しそうな後ろ姿を見せていた。
スタジオにもどり打ち合わせの様子を見ながら自分たちはどうするのかを話していた。
すると声がかかりスタジオに呼ばれていき1回でOKがでるように気合入れ入っていった。
退院した翔太のことを素直に喜び、仕事の後は退院祝いはないかいいかなと話をしながら
早く終わりたいと早く終わって翔太のもとへ駆けつけたいと思って。

呼ばれてスタジオに戻った4人の嬉しそうな背中を見送った後入江は他のマネージャーたちに連絡を取り
仕事終わった後翔太のところつまり原田家へ駆けつけることを話しなければと話ししている。
あの分だとみんな1時間もかからないうちに仕事は終わるだろう。
その足でうろうろするよりもきっとマスコミも話を嗅ぎ付けるだろうからいったん事務所に全員集合させ
社長の指示を仰ぎそれから移動してもいいのではないかとそう話をしていた。
達哉は退院するときが来たらといつもひかりと義母と義父と4人で話をしていた。
退院したらまっすぐに翔太は石橋と両親と弓弦と大泉に行くとわかっているから
お昼はきっと親族だけで、夜は原田家で招待した人を交えてのお祝いをとなるだろう。
そういう風に分かっているために終わってから詳しいことを話したらいいかと
本番を取ってるときにもそれに神経はいかず、なんだかうきうきとした態度でカメラに写りこんでいる。
達哉だけではない。4人みんななんだかご機嫌で。ミスすることもなく和やかにすんなり終わっていった。

自分たちの分を撮り終えた4人はすぐにスタジオを駈け出して控室に走って戻ってきた。
そして着替えをしながらも入江に声をかける。

「入江ちゃん!俺らもうこの後本当に何もないよね?」
「ありませんよ(笑)」
「俺らどうしたらいいんだ?」
「着替えたらここを出て事務所に向かいます。きっとここを出て車に乗り込むまでに
 翔太君の退院に気づいた人が取材とかいろいろ言って近づきますが無視してください(笑)」
「えぇ?俺しゃべっちまいそうだよ。」
「まだ駄目です(笑)仲の良いタレントさんたちにもNGです。」
「まじで?」
「えぇ(笑)」
「んじゃ入江ちゃんの先導で事務所に帰ろう。それからいろいろ考えようよ。」
「そうだな、雄ちゃんいいこと言う!」
「さぁ、事務所行こう。」

4人入江を囲むように控室を出た後、スタッフや関係者の人たちに声をかけられるも
ただひたすら「お疲れ様でした」と愛想よく挨拶しエレベーターに乗り込み
そそくさと駐車場まで行くと我先にと車を探し走り後から来る入江に無理に走らせ車に乗り込む。
入江を4人であわてさせ車を出させ事務所までの道を退院祝いはどうするとか
原田宅に行くときとかいろんな話をしている。
そんな4人を入江は嬉しそうに見ながら事務所を目指した。

一方事務所でもそわそわしている。
社長室からは社長の大きくご機嫌な頃が響き聞こえてきた。
その様子からするとうれしい事なのだろうと周りは今日の一日の始まりを楽しく感じた。
静かになった社長室からは社長がご機嫌な笑顔で秘書たちがいる秘書室まできて
今日の予定をと聞きだした。その予定を聞くや否や先ほどの電話の話をしだした社長。

「今日は誰も来ないのは間違いなんだな?」
「はい、社長の今日のスケジュールは午前中の会議だけですけど。」
「そうか、なら会議終了から先は何も入れないでくれ。」
「もしかしてさっきの電話は??」
「そうだよ(笑)翔太が退院した。原田さんのお宅に向かうそうだよ。」
「よかったですね、これでまた一歩進むんですね。またあの元気な声が響くと思うと(笑)」
「にぎやかな方がやっぱりいいなぁ。それももうすぐだ。」
「社長、原田様からお電話が入っておりますが。」
「あぁ、あっちでとるよ。でもまだ会社の外には内緒だ。よろしく頼むよ。」
「承知いたしました、社長。」



「あ、おはようございます原田さん。」
「おはよう、山本君。朝早い時間からすまないのぉ。」
「いえ、こちらこそです。私のほうにも連絡が入り翔太の退院が。」
「その件で電話をしたんじゃ。では山本君のところにも早々と連絡は入っておるわけじゃな?」
「はい。今の時間だと退院手続きしているところでしょうか。」
「退院したらまっすぐにうちに来るように伝えておる。なのでそろったところでお昼をと思うっておるが
 山本君はお昼ごろにはこちらに来れるかのぉ?」
「もちろんです、今日は会議だけなので時間を言っていただけたらそれに合わせて伺います。」
「そうかの?それではよいなぁ。またかけなおすがその時に時間をお伝えする。」
「会議に入ってしまってた場合は秘書に伝言をしていたけたら。」
「わかっておるよ。大丈夫じゃて。」
「原田さん、本当にご迷惑おかけします。翔太の両親とともになんといえばいいのか。」
「それはお互い様じゃよ。なんせ弓弦がお世話かけておるしの。」
「では後程、原田さんのお宅へとお邪魔させていただきます。」
「待っておる。気を付けて。」





「岩本君。」
「はい、社長。」
「会議は11時までだが本当に何もないんだよな?」
「えぇ、本日は何もまだ予定は入っておりませんけど。入れないほうがよろしいんですよね?(笑)」
「もちろん。入れないでくれるとうれしいが。緊急でなけれな入れないでほしい。」
「承知しました。緊急の場合は・・・・・。」
「緊急の場合は仕方がないがその時はどうしようか・・・・・。」
「どうにかしてくださいね?社長。」
「そうだな。とりあえず会議が終わったらまっすぐに原田さんのお宅へ行くこととする。
 で、緊急は緊急だからきちんと連絡だけは入れてくれ。」
「承知しました。」
「会食の後、少し話をするとは思うがそのまままっすぐこっちに帰ってくる。その予定で頼むよ。」
「記者会見のほうは明日でよろしいのですね?」
「そうだな。それも話をしてくるよ。さ、時間だ。」


そういいながら部屋を出て行った。
会議が終わるころには、4人とも事務所に戻ってくるだろうし今頃は連絡も行っているだろうしと
思いながら会議室に入っていった。
そして4人のほうも連絡を受けてのうきうきしたうれしい気持ち。
隠しきれていないその様子に入江も笑顔のまま。収録が終わり4人急いで事務所に帰ってきた。
まっすぐに自分たちのマネージャーのところに行き予定を確認し、社長のところへと足を向けた。
社長はまだ会議中ということで秘書室で止められたが
戻る途中で社長が帰ってきていたのだろう廊下で会うことができた。


「社長!お疲れ様です。」
「やはりかえってくるの早かったな。お疲れ、早かったのは連絡が来たんだろ?」
「俺の携帯にメールが来たのを入江ちゃんが気付いてくれて。」
「社長、これから行くんですよね?」
「もちろんだ。そろそろ翔太もご両親と一緒に原田さん宅に到着するころだろうから行かないと。」
「社長、俺らもいっしょに。」
「当たり前だろ(笑)お前たちもいなくてどうする。」
「んじゃ、社長俺ら身支度整えてきます。」
「下で待ってるぞ(笑)」



短い会話もそのご機嫌で弾んでいる。
そして社長と4人はマネージャーとともに2台に分かれて原田宅へと向かった。
車の中ではお祝いどうするか話を4人でしているが、
それをマネージャーたちは楽しそうに話をしている彼らを笑いながら見ていた。
社長の車は先尾は知っていたが信号で話されてしまい少し間が空いた。
途中花屋が見えたので達哉は車を停めてもらい、花を買うと言い出した。
せっかくの退院祝い何もないんでは翔太がかわいそうだと言い
花ぐらいは持っていこうとそう話車を停めた。
マネージャーたちが自分たちが買ってきますと言ったが
達哉が自分で選びたいらしく自ら車を降り花屋に入っていった。
しばらくすると花束が歩いてくるとみんなが車の中から笑った。
大きな大きな花束。そう、達哉は花屋に入るといきなり大きな花束がほしいと店員に頼んだ。
店員は達哉の顔を見て何かを察したらしく他のお客が入ってくる前に奥のほうに案内し
達哉の希望を聞きながらどういう風な花束にしたいかと聞き花を用意した。
達哉の希望ばかりを聞いて花束を作ると結構な金額になってしまったこと、
店員が気の毒そうに達哉に伝える。
金額なんて気にしない、みんなでのお祝いの花束なんだから気にしないよといい、
伝えたとおりの花束を作ってもらい出てきたのだった。
車のドアを開け達哉が乗り込むと車が出る間際に窓を`コンコン´とノックする人がいる。
先ほどの花屋の店員だ。どうも、翔太のファンだったらしい。
真白いカスミソウだけでつくられた大きな花束。
店員のその恥ずかしく赤らめた顔が隠れるほどの大きな花束。
それを自分の気持ちだといい渡してほしいと。一ファンとして退院おめでとうと伝えたいといい
その大きな青いバラと白いカスミソウの花束を達哉に託したのだった。
達哉はその店員の気持ちがうれしく、きちんと伝えてお渡ししますと
丁寧にありがとうの気持ちを伝え受け取り車を出した。
上村が丁寧にその青いバラと白いカスミソウの花言葉を検索していた。
カスミソウの花言葉は「切なる願い」。
青いバラは「神の祝福」とか「奇跡」「夢がかなう」とか言うらしい。
あの店員さんもきっと達哉の花束で翔太の退院に気が付き自分もうれしくてファンとして
元気に退院してくれたそんな願いがかなったのが嬉しかったんだろうなぁと話をしている。
そうこうしているうちにもう少しで原田宅に到着しようとしていた。

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