森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 202

「月城さん。」
「・・・・・なぁに?」
「あのさ、これで俺があなたに真剣な事きちんと理解してくれました?」
「・・・・・えぇ。ちゃんと。」
「落合さんの事もあるだろうけど、俺も真剣なんです。年のことは考えないでください。
 落合さんは落合さんの世界で月城さんをきっと支えてくれると思います。
 でも俺も家族と一緒に俺の世界の中で月城さんを支えます。
 俺と落合さんじゃ比べることもできない雲泥の差があると思うんですが
 俺も月城さんの事幸せにします。だから、だから・・・・。」
「上村君。」
「・・・あの・・・・・・・。」
「上村君、ありがとう。あなたのその真剣な気持ちはすごくうれしいわ。
 きっとFrancisもJanisもそんな言葉を聞けばはなをよろしくというと思う。
 そんなことを思うと本当にうれしいよ。」
「月城さん・・・・・。」
「でもね、でも。」
「月城さん。返事は今じゃなくっていいんです。
 俺は断られるつもりで頑張って話をしているんです。
 それに断ることはいつでもできるじゃないですか。
 それよりも、こういう真剣な気持ちでいる俺と
 それをきちんと理解して俺の事を見てほしいんです。」
「なんだか、上村君はFrancisの生まれ変わりみたいね(笑)」
「似てるんですか?」
「えぇ、その真剣なところは(笑)」
「ねぇ、月城さん。俺本当に真剣に月城さんと共に人生を生きていきたい。
 きちんと考えてくれますか?」
「上村君が真剣に思ってくれている以上は、ちゃんと正直にお答えするわ。
 でもそれは今じゃない。これからたくさんの時間を超えてきちんと答えが出たとき。」
「それでもいいんです。きちんと答えが出てそれが俺ではなくてもそれは仕方がないです。
 でも俺は少なからず真剣に月城さんを愛しているんです。それだけはわかってほしいかな。」
「えぇ、上村君。ありがとうね。」
「さ。うちに帰りましょう。今日は俺の気持ちを聞いてくれてありがとうございます。」

二人笑顔で話をしながらまたエレベーターで降りて行こうとその前で待っている。
上がってきたエレベーターに乗り込むとまた二人っきり。
ふいに腕を組んでいた月城の手をほどくとそのまま抱きしめた。





外へ出ると雨が降っていた。
駐車場まで走ると息を切らせる月城。
濡れた髪を上村は車の中に置いてあったタオルで軽く拭き抱きしめる。
月城はそんな一生懸命で真剣な上村を拒むことはしなかった。
こんなに年下なのに素直に接する上村が少しだけ頼もしく見え始めたことが不思議な感じで
何となく何となくだけど一人の男性としてみることができている自分を不思議に思っていたのだった。
しかし、彼ではないと頭のどこかで誰かがささやく。彼ではないと。



「ねぇ、上村君。」
「なんでしょうか?月城さん。」
「はなでいいわよはなで(笑)」
「俺も下の名前を呼び捨てにしてもらっていいんですよ?」
「えっと・・・あはは(笑)ちょっと呼びにくい気がするわ。」
「呼び方が変わると落合さん態度変わりますか?」
「どうでしょう。」
「でもはなさん。」
「なぁに?」
「俺はまだこんなに人として未熟者です。全然落合さんにはかないません。
 でも、俺の心が本当にはなさんしか見ていないことわかってくれました?」
「その気持ちにこたえることができるかどうかはまだ全然わたくしの中ではわからないけど
 でも、落合さんにお話ししたようにきちんと自分の気持ちに整理がついて
 この人と共にという気持ちが素直に感じ分かったらちゃんとお話しするわ。
 時間はかかるかどうかもお約束はできないけれど、でもちゃんとお話ししますわ。
 こんなあたしでも愛されるということは幸せな事なんですもの。」
「でも、俺はきっとはなさんの中で一番必要な存在になれるようになります。
 なる自信があります。だからちゃんと答えてください、お願いします。」
「本当に上村君のまっすぐな気持ちは嬉しいわ。素直にうれしい、ありがとう。」
「門の前です。到着しましたよ。」
「今日は本当にありがとう。ご両親にもよろしくお伝えください。
 上村君、おやすみなさい。明日はよろしくね。」
「もちろん、翔太の事もあるので早くにこちらへお邪魔すると思います。」
「わかったわ。きちんと準備しておくわ。おやすみなさい、雄一郎君(笑)」
「なんだか一歩進んだ感じ?落合さんと並んだかな?(笑)」
「どうだろうね、ほんとお休み今日はありがとう。」

家の前に着くと門より奥へは入らずにそのままそこで月城を下した上村。
すっとそこから離れ自分の家に帰って行った。



`ただいまぁ´と家に入るとみんな休んでいるのかしんと静まり返って灯りも消えていた。
それもそのはずもうすでに0時を回っていたのだ。
しばらくすると誠が帰ってくる時間になるけどと思いながら、
ちょっと早くなっている鼓動を落ち着かせれることもなく
部屋に行くと着替えてベッドに入るけれどもなかなか寝付けずにいろんなことを考えていた。
抱きしめられそれを拒まなかった自分。その割にはそれを嫌だとは思わなかった自分がいた。
しかし、はなは明日Janisが来日しての晩さん会のとき落合が話をしたいと持ちかけられていて
はなはどうしていいかわからなかった。
寛司がはなを求める気持ちも上村がはなを思う気持ちも同じ心。
はなの心の中ではまだまだFrancisの事だけが大きく二人の事をきちんと考える余裕がないだけで
周りの時間はどんどん進んで行っていた。
自分だけがて取り残されいると感じるその時間の流れがありありとわかる夜ひとりの時間。
眠りには当てずにいつも誠が帰ってくる前に眠りに落ちているはなは、この日に限ってまだ起きている。
明日は朝早くからいろいろと忙しいとわかっているはずなのに眠れないのだ。
ベッドの中から窓の外を見ると月明かりで庭が明るく照らされている。




ベッドから外を見つつも考えることが多すぎて眠れずにいたはなの耳に
誠の車のドアが閉まる音が聞こえた。帰ってきたのだ。
誠の歩く`ザッザッ´という足音が玄関の前まで来るとはなはいてもたってもいられずに
お帰りなさいと出迎えに部屋を出ていった。




「お帰りなさい、誠さん。」
「あぁ、ただ今。まだ起きていたのか?明日きついぞ?」
「ん・・・・ちょっとね。」
「ちょっと?何かあったのか?吐き出してみたらどうだ?」
「誠さん聞いてくれる?」
「聞くのはいいが、共有するのはちょっとな(笑)」
「んふふwな意地悪な誠さん(笑)いいの、自分の事だから。」
「そっか。でもその顔だと落合がはなさんを困らせている原因か?」
「何でわかるの?どうして???」
「そうだったのか。やっぱり(笑)さっき店でも弓弦と話してたぞ、明日の晩餐会のときに
 きちんとJanisに紹介をしろと。でさ、何を言い始めたかと思ったら酔っ払いは恐ろしいな。
 落合はお兄さんの前ではなさんにプロポーズする!って叫んでたぞ(笑)」
「困った人だわ(笑)でもそれにちょっと待ったがかかると思うけどね(笑)」
「なんでだ?」
「だって皆さんいる前でそれはあたしも恥ずかしいわ。止めるに決まってるじゃない(笑)」
「止めるのか(笑)止めなくてもいいんじゃないのか?」
「止めます(笑)だってそれを受けるかどうか決めてませんし(笑)」
「それは落合かわいそうだろ(笑)気持ちは汲んであげないといけないんじゃないのか?」
「汲んであげれるまで、わたくしの気持ちが決まっていません。なのに中途半端には・・・・。」
「あれだけデートしててか?」
「あれだけって・・・・そんなに長い時間は一緒に居ないわよ?誠さん?やきもち?(笑)」
「やきもちか・・・・・なんだろうな。そこまでつっこんでくるはなさんだ、まだ眠くないんだろ?」
「そうかな?」
「んじゃキッチンで問答するか?リビングで問答するか?」
「わたくしの部屋でもいいんですが誠さんの部屋もおじい様おこしちゃいますものね。」
「キッチンは汚すと悪いからリビングにいくか。」


そういうと誠はキッチンに行きビールを拝借してくるといい足を向け、
はなは先にリビングへ行き、ソファに深く沈みこんで誠を待った。



「で?」
「で?って・・・・・・。」
「何か俺に言いたいことあったのか?」
「ん・・・・・。」
「なんだ?落合からはきちんとプロポーズされたんだろ?返事はしたのか?」
「返事・・・・・あたしの中ではきちんとした答えが出てない状態なのよね。
 まだまだFrancisが一番で・・・・・。」
「それから卒業するのははなさんがここだと思うところでいいんじゃないのか?
 無理に自分で決めつけずに流れにのせたらいいじゃん。」
「寛司さんはね、優しいの。優しいんだけど違うの。何となく違う気がするの。。。。。」
「何が違うんだ?」
「何がって言ったらこれって言えないんだけどいえないんだけど、何となく・・・・。」
「もうわかってるんじゃないのか?自分の中では。」
「そうかもしんない。たぶん寛司さんのプロポーズはお断りすることとなるともう。
 寛司さんはわたくしの中に入っては来れない人。Francisを超えてわたくしの中へ入ってこれない人。」
「落合はまじめだぞ?本当にはなさんを幸せにしようとまじめに面と向かってくれると思うぞ?」
「違うの。寛司さんは・・・・・前にも寛司さんがプロポーズしてくれた時わたくし断ったのよ。」
「おいおい、断れているのに何度もか・・・・まるで西村だな(笑)」
「ねぇ誠さん。」
「なんだ?」
「寛司さんどうしたらいいかしら・・・・・。明日が怖い。」
「素直に話をしたらどうだ?晩餐の前にきちんと話をするからJanisにはまだ話をしないでって。」
「ちゃんと話せばわかってもらえるわよね?」
「落合だって大人だ。断られてもめげないんだろうが、あいつ断られた意識ないんじゃないのか?」
「どうだろう・・・・・・でももう一度きちんとお話はしないといけないんだろうとは思っているの。」
「明日ははなさんも俺も爺さんについて迎えに行くんだろうが、晩餐の前には時間が取れるだろう。
 短いかもしれんが、きちんと話すことも大切なことだと思うがな。」
「そうね。」
「んじゃ、寝るか。これで落ち着いたか?」
「ん・・・・・だね。」
「何かるのか?まだ(笑)まだ何か隠してる?」
「ん・・・・・。今日の事でちょっと。」
「なんだ?もしかして上村こことか?」
「・・・・・なぜ?知ってるの????」
「少し前だが一人で来てさ、俺に言うんだぜ?

 月城さんって・・・・・押し倒しても大丈夫ですか?

 だとよ(笑)つかさずなげとばされっぞって笑ったがな。」
「上村君って口が軽いんだなぁ(笑)でも肝心な事っていうのはさ仲間であるみんなにまず相談でしょ?」
「仲間だから外にダダ流れになる可能性だってあるし、
 本当に真剣な話は関係のない人間に聞いてもらって反応見ることだってありじゃないのか?」
「あんなに仲が良くってなんにしてもお互いを大切にしているのに。
 相談するのが誠さんなんだ。ちょっと意外だよね(笑)」
「そうかもな。俺だってびっくりしたもんな。でもみんなうすうすとわかってるんじゃないのか?」
「誠さんはどう聞いたの?」
「俺?」
「そう、どんなふうに?」
「自分の中で決めてたのは少し前だったらしいが俺に話をしたのは翔太が退院する前だぞ?
 それにさどう言ったらいいんだ?いや、あいつはストレートだったぞ(笑)」
「そうなんだ。」
「一人で来たんだ、店に俺指名でさ。
 それもさ、俺指名で来てカウンターに誰も知り合いがいないことを確認してさ(笑)」
「誠さんには相談できたんだ。」
「そうだな、そういう事仲間内でってどうなんだろうな。」
「実はね、今日上村君からお誘いがあってお夕飯をね、一緒にって・・・・・でね・・・・・。
 行くとね、上村君以外にご両親がおられて・・・・・・。」
「あいつはなさんに。。。。。、」
「えぇ、ご両親に自分の気持ちはお話していたみたいで楽しく会話しながらの時間は嬉しかったけど
 それは上村君がわたくしにプロポーズするための複線を引いたって感じの時間だったわ。
 ご両親お二方が応援していると・・・。」
「真剣にプロポーズをしてきたのか、上村は。
 幸せだな、はなさんはもう一度幸せになるチャンスを神様が与えているんだ。
 自分の気持ちの思うままにいいんじゃないのか?」
「彼がね、寛司さんを忘れさせるぐらいに情熱的でそのまま流されてしまいそうだったんだけど。
 彼は紳士なのね。無理強いはしなかったの。だけど・・・・・わたくしの中には・・・・。」
「もういいんじゃないのか?
 Francisはきっと新しい時間の中で笑顔を取り戻し生き生きと暮しているはなさんを見ていると思うよ。
 俺も弓弦も西村もそれはわかっている。だから、一歩進んでもいいんじゃないのか?」
「一歩・・・・・・。」
「そうだ一歩だけでいい。きっとはなさんの事を笑顔で見守っているさ。大丈夫。たったの一歩だ。」
「・・・・・・わたくしの心は・・・・・・Francisと一緒に・・・・・わたくしの心には・・・・。」
「どうしたんだ?突然。」
「どうしたって・・・・・・どうしたって・・・・・なぜわたくしは・・・・・・・。」
「なぁ、はなさん。無理はしなくっていいんだ。何で泣く?」
「何ででしょう・・・・・・。誠さんと話をしていると安心して包みかくさずに話せるのに
 なぜ涙が出るのかわからない。」
「さぁ、もう遅い、落ち着いて休まないと。」
「えぇ、わかっているつもりなんだけどやっぱり寝つけれるかどうか・・・・。」
「はなさんは落合と上村と真剣なプロポーズを受けて・・・・・。」
「どちらも無理です。寛司さんはいい人よ?いい人だけど違うの。やっぱり違うの。」
「上村だって・・・・。」
「寛司さんだって上村君だってわたくしを幸せにしてくれるとそれはわかっているの。
 それだけすごく真剣なプロポーズだもの、わかっているのよ。だけど違うの。」
「何が違うのかどうかわからんが・・・・・。」
「私は・・・・・私は・・・・・・・。」
「おいおい(汗)とりあえず落ち着けよ。はなさ・・・・!!!」



落合のプロポーズの事を思い出し、少し前の上村のプロポーズを思いだしそれが自分の意志とは違うことで
時間が進もうとすることがなぜがすべて違うと心のどこかで自分が叫んでいて。
上村に送られて帰ってきて内心嬉しい気持ちでいた分、誠と話していたその間に何かが変わったのか
どういうふうに気持ちが揺らいで涙が落ちたのか。
まっすぐに誠を見つめながらぽろぽろと大粒の涙があふれてきたはな。
それを見てどうしようもなくおろおろしている誠。
ソファに向かい合って座っていたのだが、
誠はどうしていいかわからずにそばにあったウェットティッシュを手にもちそばに寄って行った。
はなの前でどうしていいかわからず、
手に持ったそれを差し出そうとすると次の瞬間がはな誠に抱きついた。




「お・・・おいっ・・・・なぁ・・・・・・どうした?」
「だって・・・・・わたくしわからない。どうこたえていいかわからない。
 あのころのFrancisの情熱が・・・・・。わたくしの心には・・・・・・・・。
 寛司さんの腕の中よりも上村君の横にいるよりも一番誠さんと一緒にいることが
 誠さんの腕が一番・・・・・・・。」
「おいおい、俺は・・・・・・俺はどうしたらいいんだ。」
「・・・・・わたくしは誰のそばよりも誠さんと一緒に居たい。はっきり分かったことなの。
 わたくしは誠さんの隣にいたいの・・・・・・。このまま・・・。」
「たぶんに今のはなさんの気持ちは気のせいだと思うぞ?」
「違わない・・・・・だって・・・・・・・だって・・・・・・・・。」
「さぁ、落ち着いて休むんだ。
 明日は早いし、きっと落ち着いて話をしてればきっと自分のことを考えれるさ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「はなさん、そんなに泣かななくても。」
「だって・・・・・・・・・。」
「今日はどうかしているのさ。落合の事もだが上村のプロポーズで気持ちが不安定になってしまって
 自身がどうしていいかわからないだけなんだろう。落ち着けばきっと自分が見えてくるさ。」
「・・・・・・いや・・・・・わたくしの・・・・・・・・・・・・・。」
「はなさん。俺は正直そう思われてうれしいさ。
 でもさ、まだはなさんとはそんなに多くの時間を過ごしたわけじゃない。
 俺の隣で安心していられた時間は少ない時間だがそれ以上にはなさんの知らない俺がいる。
 そんな俺をはなさんは大切に思ってくれるのは本当にうれしいよ。
 人生の中でそんなに思われたことはないからな。だから、はなさんのきもちは大切に受け取るよ。
 さ、しっかりと休むんだ。明日ははなさんの大切な家族であるJanisが来日する。
 今のはなさんの言葉はしっかりと覚えておくから落ち着いた頃ちゃんと話をしよう。」
「誠さん・・・・・・。」
「今のはなさんは、ちょっと緊張しているのと上村の事で気持ちがハイになってるんだ。
 少し落ち着けば、自分の気持ちも少しはわかる。さ、落ち着いて休もう。」
「・・・・・・部屋に・・・・・もどる・・・・の?」
「あぁ、ちゃんと自分のベッドで落ち着いて休まないと明日がきついぞ。
 Janisに疲れた顔は見せられないんだからな。しっかりとしてくれよ(笑)」
「ねぇ、誠さん。落ち着いて自分の気持ちがはっきりしたらまたお話を聞いてくれる?」
「あぁ、その時はきちんと。」
「ありがとう、おやすみなさい。」
「あぁ、お休み。」




部屋に戻ると自分で何を話したのかなんでだろうと考え込むはな。
しかし、一時的な気持ちではないと自分ではしっかりとわかり始めた自分がいることに
少しだけ気づいた嬉しい時間だったとそう思っていた。
寛司の情熱的なプロポーズも上村の心強いプロポーズもはなにとってはとっても嬉しい言葉。
Francisのように情熱的できっと二人とも幸せにしてくれると、そう思わせる言葉。
なのにはなの心のどこかで違うという言葉が響き始めてしまった。
帰ってきた優しい顔をした誠の顔を見た瞬間それがあふれかえってしまったのだ。
一時的な感情じゃないと思うその根拠、それはそういう事だったのかと・・・・・。
一方誠もそんなはなの気持ちは嬉しいと思ったがそれでいいのかと自分に聞いてみる。
違うのではないかと。はなが伝えた気持ちはきっと一時的な感情ではないのかと、落ち着いて考えないと
弓弦が自分を慕うようにはなも同じなんではないのかと。良く落ち着いて考えさせないと
自分も一緒に流され、やっぱり違うとなっては困ると思っていた。
月明かりが差し込む窓の外を見るとうっすらと明るくなって気がした誠は少しだけ目を閉じた。


朝起きた二人。別々の部屋にいるのに同じように同じ時間には目が覚めた。
落ち着かなかったのか眠れなかったのかはなはベッドの上で座り込み窓の外をぼんやり見ていた。
誠も眠れなかったのか、ベッドの上で煙草を吸いつつも外を見ていた。
隣の部屋では原田が置きだし着替え竹刀を手に取り庭へ出る準備をしている毎朝の稽古をするために。
それに耳が反応しているが動こうとはしなかった誠。
窓の外を見ながら自分が知ったはなの心が本心なのかどうか、
本心であった時自分はどうしたらいいのかを静かに考えていたのだった。
一方はなは原田が朝稽古するよと声をドア越しにかけられ
ぼぉっとした自分を起こそうと背伸びをしたりしていたが
やはり夜中自分が口走ってしまったことが気になるのかなかなかベッドから出ようとはしなかったのだが
原田が待ってると思い思い切って置きだし朝の日差しを浴びて元気になろうと部屋を出て庭へ向かった。


部屋を出ると翔太がまずおはようと声をかけてきた。そしてその後ろに誠の姿。
おはようと翔太に笑いかけた後、誠にもおはようとはにかみながら声をかける。
誠もまぶしく笑うはなの顔をまっすぐに見ることができずにいたが、
何事もなかったようにはなが話しかけるので翔太の前ではと
誠も夜の事はみじんも感じさせることなくいつも通りの態度をとった。

「おはよう。」
「今日は忙しくなるな、翔太頑張れよ?」
「えぇ?俺っすか?誠さんもでしょ(笑)」
「俺も一緒か(笑)」
「ところで誠さん?」
「なんだ?はなさん。」
「今日はずっと一緒だよね?」
「あぁ、そう思うが・・・・違うのか?(笑)」
「いえ、たぶん一緒よね。あたくしのそばにいてね?お願いだから。」
「なんだか誠さんに甘えてる?はなさん。」
「そう見えるか?翔太。お前もずっと一緒だぞ?」
「おはよう、そろってどうしたんじゃ?」
「ん、今日はJanisが来る日じゃない?だからね、だからみんな一緒なんだよねって。」
「そうじゃの。わしは先に事務所のほうに顔をだしそれからこっちに戻ってくるから
 それから一緒に行く。誠もはなさんも橋本君もここにおるがよい。」
「俺ですか?俺は熊ちゃんが来るので・・・・・。」
「そうなのかの?んじゃそれで動かねばいかんのぉ。」
「すみません。たぶん熊ちゃんが来ないとどうしていいかわからないので。」
「んじゃ、それまで3人一緒に居ましょうよ。」
「そうだな、一緒に居てちゃんと話ができるように復習しないとな(笑)」
「あ・・・・そうね、そうしましょう。最低限挨拶とちょっとしたことはね。」



そう話しながら3人リビングに戻る。
誠とはなのすぐ後ろにいた翔太はなんだか気まずそうな二人の間で部屋に入った時
どうすればいいのかをそれだけを考えていた。
ソファに座り込むと、隣に誠が座り込んだ。何となく機嫌が悪いのか眠たいのかわからない顔。
そんな誠に話しかけることもできずに黙ってはなのほうを向いている。
ご機嫌ってわけでもなく普通にしているはなも何となく不自然だなと、二人の間に何かあったのかもと
そう翔太は考え始めていた。


「あの・・・・どうかしたんですか?」
「ん?なぜ?」
「ん?なんでだ?」
「なんでって・・・・・・。何となく・・・・・。」
「まぁ、気にするな。翔太、それよりお前少しは大丈夫なのか?」
「挨拶ぐらいは・・・・。」

3人しゃべりながらもテキストを見て挨拶を練習している。
その様子を秋元も横目で見ながら時計を気にしている様子。
ふとはながテキストを横に置きおもむろに翔太に話しかけた。

「Bonjour, M. SYOUTA. La confiance est utilisée aujourd'hui.
(おはよう、翔太君。今日は頼りにしていますね。)」

すると翔太は

「OK! C'est OK!(大丈夫w大丈夫だよw)」

「bon.(good)」とはなは返すと誠の方を見た。
すると誠は「ん?俺???」という顔をして遠慮気味に笑うと

「sorry.Useless in English? (すまん。英語じゃだめか?)」
「It is great! Can't it talk fluently? In n it is OK?
 (す・すごい!なめらかに話せるんじゃないですか。んじゃ、大丈夫じゃない? )」

「誠さんもはなさんも英語ペラペラなんじゃん。Janisさんも英語は大丈夫なんでしょ?」
「ん。だけどやっぱりねぇ(笑)まぁいいっか、弓弦ちゃんが話しできるし秋元さんいるし。」
「んじゃここまでだな。」


3人で話しているとすぐに時間は過ぎていくわけで、その間に秋元が準備を終わり
原田氏と連絡を取り合っている。朝一番画呼び出しがあり事務所の方へ行ってたのだが
終わり一度戻ってくるかどうかを話しているのだ。
その様子を心配なはなは、ながめていたのだが電話が終わり声をかけた。

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