母子家庭で育った佐藤めぐみは昨年、大手製薬メーカー、ファイスタ製薬の採用面接を受け、ある面接官、三ツ田と出会った。三ツ田は不思議な男で、気付けば志望理由のきっかけとなった、不思議な学生証について話していた。最終的に男の話から自身の優先順位に疑問を持ち、内定を辞退した。
そんなある日、後輩、鈴木よりファイスタ製薬の内定辞退者が急増していることを知った。
辞退者に話を聞くと、めぐみの面接官と同一人物、三ツ田との面接を機に自身の優先順位に気付き、辞退したと言う。
しかし、実際、三ツ田という面接官はその会社に存在せず、さらにめぐみとその会社で過労死した元社員、早瀬恵一という男が面接官に酷似している事実を知る。また、早瀬恵一とは例の学生証の持ち主だった。
そして、同時期、過労死者の多数発覚によるファイスタ製薬の営業停止処分が発表された。
つまり、例の面接官は早瀬恵一、亡きめぐみの父親であり、彼は学生に入社を留まらせ、自身の過去の境遇から守っていたのだった。
そのことに気付いためぐみは、早瀬恵一の最後の言葉、後悔しない道、つまり、助教を辞退し、自身の研究への道を選択するのだった。