矢島隼人はもう一年以上学校に行けていない。
別にイジメにあっていた訳でも無いし学校が嫌いな訳じゃない・・・
何故か学校に行けなくなってしまったのだ。
家に閉じこもる息子を心配し、クラッシックコンサートに連れ出す母の礼子。
バイオリンを無理やり習わされている隼人にとってクラッシックコンサートなど苦痛でしか無かった。
会場から出て来た隼人の目に飛び込んで来たのは、大道芸の一団だった。
クラウン姿のバイオリニスト・・・決して上手くは無いが観客の爆笑をかっさらっている。
マリオネットを操る者、マリオネット相手にスタントをする者、ジャグリング・・・
隼人の耳はクラウンの奏でるバイオリンに引きつけられていた。
化粧を落としたクラウンはかなりの老人だったが、隼人は迷わず弟子入りを志願する。
しかし、老人は「学校で勉強しなさい!」と、学校に行くことが出来ず悩んでいる隼人にとって冷たい返事だった。
学校をさぼって大道芸を追いかける隼人。
遂に全ての事情を知ったクラウンは弟子入りを認めた。
今まで嫌で仕方なかったバイオリンが隼人にとっての糧となった・・・
しかし、父の徹にとって小学生の息子が、学校より芸人の道に進む事など許せる訳も無く、夫婦や親子の中で争いが続く。
無理やり学校へ連れて行くも、隼人の体に異変が・・・
ガタガタ震える身体、吹き出す汗、吐き気・・・
そんな姿を観て徹も諦めざるを得なかった。
大道芸に打ち込む隼人を応援する両親。
しかし・・・
小学校を卒業出来ない問題が浮上する。
教師を説得するために隼人の芸を見せる両親。
感動した担任の教師は絶対校長を説得し、卒業証書を出させると約束するが・・・生きる場所を見付けた隼人にとって「でも、彼にはもうそんなもの必用ないのかもしれませんね」
世界大道芸大会に出場するため、パスポートを取りに来た隼人。
そんな隼人に父の徹は自分のパスポートを見せる。
世界を飛び歩いて仕事をしている徹のパスポートには世界各国のスタンプが押されてある。
「これが父さんのパスポートだ。どっちが沢山集めるか勝負するか?」
「うん!」