今月の注目作家インタビュー/夢雨さん(2021年2月)

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こんにちは、魔法のiらんど編集部です。今回ご紹介する注目作家は、夢雨さんです。
2020年11月に開催した短編小説コンテスト『魔法の5分間』で、作品『問.伊差くんがわたしを好きであることを証明せよ 』が大賞を受賞した夢雨さん。本日は、作品『問.伊差くんがわたしを好きであることを証明せよ。』に焦点をあてつつ、夢雨さんご自身にも迫っていきたいと思います!



夢雨さん

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―魔法のiらんどをご利用されたきっかけを教えてください。

もともと、現在に至るまで別サイトにて執筆をしており、あまりにも拙く感じて非公開にしてしまったお話をひっそり生まれ変わらせてあげる場として、登録いたしました。ただ、なんといってもケータイ小説といっしょに育った“ケータイ小説世代”ですので、名前をもって登録させていただく10年以上前から魔法のiらんどはずっと大好きなサイトではありました。


―はじめて書いた作品はどんな作品ですか?当時を振り返ってどんな思い出がありますか?

はじめてインターネット上で公開したのは、幼なじみの男女がすれ違いながら不器用に恋を育てていくお話だったと記憶しています。いまでも手元に残っていますが、中学生の語彙力の乏しさと、不要な情報まで詰めこみたい放題の闇雲さ、文やページの整え方の乱雑さに、笑ってしまいます。当時の自分にいまのわたしから辛口レビューをぶん投げてあげたいです。



ーー代表作『問.伊差くんがわたしを好きであることを証明せよ。』についてお伺いします!



▽代表作『問.伊差くんがわたしを好きであることを証明せよ。』

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―作品を執筆された動機、ストーリーを思いついたきっかけなどを教えてください。

高校生が大好きなので、受験シーズンにむけて学生さんを応援できるようなお話を書きたいナ~!と思ったのが最初のきっかけです。はじめはもう少しラブコメ色の強い、秀才なクール男子の“伊差くん”と、彼の気持ちを掴めそうで掴めない、一途に恋する主人公のお話になる予定でした。ちょうどそこへ『魔法の5分間コンテスト』のお知らせがあり、ストーリーや設定を練り直した結果、いまの形になりました。


―完結までの執筆期間やその間の更新頻度を教えてください。

4,000字ですから、仕事が休みの日曜日の昼間、3時間ほどでいっきに書きあげた記憶があります。ワードにババッと放出したものをそのままサイトに移し、完結と同時に公開いたしました。


―執筆する上で、こだわっていた部分はありますか?それはどんなところですか?

全編を通して高校数学の証明問題の解答のような仕上がりにすることを、いちばんにこだわっていました。( )内の“回答所要時間”と“配点”という文言が、我ながらそれっぽくて、なかなか気に入っています。


―完結までに苦労されたこと、大変だったことはありましたか?

なんといってもわたしが学生時代ド文系だったせいで、理系チックな言い回しがものすごく苦手だった点です。高校時代に使っていた教科書やノートが奇跡的に残っていたので、引っぱりだしてきて、参考にしながら書きました。“不定数”“定数”という単語を使ったのはウン年ぶりです。



ーー普段の執筆活動や作品についてお伺いします!

―普段の執筆時、プロットやメモなどは作成しますか?作成する場合はどのように作成していますか?

物理的にはすべてノープロットです。書いたものがあるとどうにも縛られてしまうので、はじめに頭のなかで完結まで組み立てたものを、臨機応変に文章に変えていっています。ただ、書き終えた部分への記憶障害が本当に著しいので、登場人物の名前や、すでに書いたシーンのキーワードなんかは、メモに残したりしています。


―作品を完結させるまでの執筆期間やその間の更新頻度を教えてください。

スイッチが入れば20万字を二ヶ月程度で書きます。そういうときは毎日のように更新している気がしますが、基本的にスイッチはオフですので、そんな無双期間は年に一度あればいいかな、というくらいです。


―どういった時にストーリーを思いつきますか?

自分でも不思議なのですが、車の運転をしているときに思いつくことが圧倒的に多いです。免許を取る前はいつだったのでしょう。自転車を漕いでいるときだったかもしれません。


―キャラクターの設定は、どのように決めていますか?

キャラクターをものすごく愛してしまう傾向にあるので、名前から性格、好み等々まで、うっかり事細かに決めてしまいがちです。メインキャラであれば全員のプロフィール帳を書きあげられると思います。ただ、そうやってすべてを知り尽くしているはずのキャラクターたちが、時折わたしでさえ予測できないことをしたり、言ったりすることがあるので、驚きます。彼らは彼らなりに、わたしの手元を離れて、独自に生きているのかもしれません。


―ご自身の作品で特に思い入れのある作品をひとつ、教えてください。

グッバイ・メロディー』です。


―『グッバイ・メロディー』について、それに対する思い入れの度合いや、あるいは作品のアピールポイントを教えてください。

もうなにをきっかけにして書きはじめたのかも覚えていないほど、付き合いの長いお話です。『キャラクターを溺愛してしまいがち』と先述しましたが、その典型だと思います。幸せなことに、たくさんの愛をいただいてしまっているのですが、きっとわたしがいちばん彼らを愛しているはずです。
“あまいたまごやき”というふざけ倒した名前の若い4人組ロックバンドの青春時代のお話で、恋とか、夢とか、家族とか、彼らがそれぞれの壁にぶつかりながら成長していく過程を、“書いた”というよりは、もはや親のような気持ちで見守った感覚に近いです。
ちなみに、いまも見守り続けています。彼らのことはこれからもずっと見守っていくのだろうと思います。おかげで、ドラマーやベーシストがメインの、シリーズものがいくつかあります。

▽『グッバイ・メロディー 』はコチラ

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―ご自身の作品で特に思い入れあるキャラクターをひとり、教えてください。

フキゲン・ハートビート』の半田寛人です。


半田寛人について、そのキャラクターに対する思い入れの度合いや、ここを見て!といったポイントがあれば教えてください。

先述した『グッバイ・メロディー』に出てくる末っ子のドラマーです。グッメロを書いているときからわたしは寛人をひそかに推しており、なんとしても彼メインのお話を書きたい!と思ってしまうほどの男でした(そして、本当に書いたのが『フキゲン・ハートビート』です)。
口が悪い、無愛想、ゲームオタク、コミュ障で、完全無欠の兄へのコンプレックスと共に成長してしまった拗らせボーイです。モテるかと聞かれたらモテないけれど、かわいさならダントツだと思っています。そんな男が、フキゲンを書いたおかげで名実ともに人気ナンバーワンになってしまい、とってもありがたくて嬉しいのですが、モテないと思っていた溺愛する息子がいきなりバレンタインに大量のチョコを持って帰ってきた母親のような、複雑な気持ちです。(愛してくださりありがとうございます!)

▽『フキゲン・ハートビート 』はコチラ

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ーー夢雨 さんご自身についてお伺いします!

―読者のみなさんとのコミュニケーションはどのように活用していますか?または、これまでもらったレビューやお手紙で、一番うれしかったメッセージはどんなものですか?

いつまでたっても、どれだけ書いていても、嬉しくてたまらないので、コメントのお返事は必ず書くようにしています。SNSはTwitterをかなり活用しています。そして、匿名の方より「10年ほど前から追いかけていました、今も創作してくださっていて本当にありがとうございます」とメッセージをいただいたときは、比喩でなく本当に涙が出ました。中学生のころから続けていて、たまに離れたり、休んだりをくり返しながらも、このような奇跡と出会える創作という場にいて本当によかったと、強烈に思いました。


―今後の展望は?現在更新中の作品や今後書いてみたいストーリーがありましたら教えてください。

今後は、双子と兄弟の泥沼愛憎劇や、トラウマ持ち女装男子との同居モノといった、ずいぶん前に書いたお話たちをリメイクしつつ順番に置いていけたらな、と考えています。また、若者が大好きで、10代の子がメインのお話が圧倒的に多いのですが、ちょっとずつ大人ラブにも挑戦していきたいです。(なんといっても、もういい歳をした大人なので……)


―魔法のiらんど内で好きな作家さんや、憧れの作家さんへのメッセージ・ファンレターがありましたら、ご自由に思いの丈をどうぞ!

憧れのかた、大好きなかた、多数おりますが、魔法のiらんどに登録してはじめて出会った、朝比奈ヨウさんの大ファンです。拝読していると、いつも“かわいい”と“かっこいい”と“きゅん”と“じれ”の大渋滞を起こしてしまいます。キャラクターや設定はもちろんのこと、すっと胸に落ちてくるような、読みやすい文章にもとても憧れています。


―好きなものやハマっていることなどがあれば、教えてください。

幼いころからずっと高校野球が大好きで、全国大会だけでなく地方大会にも足を運んでしまうほどのマニアです。ここ数年はお隣の韓国にすっかり心奪われていまして、K-POPアイドルにかなりご執心なのと、暇さえあれば(いや、睡眠時間を削ってでも)韓国ドラマを見ています。


―読者のみなさんへのメッセージを!

出会ってくださったかた、読んでくださったかた、お言葉をくださったかた、そして、この場を覗いてくださったかた。本当に、ありがとうございます。いつもわたしのヘンテコな趣味にお付き合いくださっている皆さまを、できればひとり残らず抱きしめたいです。こんな場に呼んでいただけるほどの人材ではなく、たいへん恐縮なのですが、ほんの少しでも、なにかひとつでも楽しんでいただけますよう、これからも精進してまいります。


――インタビューにお答えいただき、ありがとうございました。






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