※この作品は『魔法のiらんど大賞2021 コミック原作大賞』応募作品を小説にしたものです。
α家系にΩとして生まれた叶は、幼い頃不慮の事故で両親を失う。後ろ盾を失くした叶は、Ωである事を理由に一族から疎まれ、酷い扱いを受けた挙句、家を追われることとなる。
そんな叶を迎え入れたのは代々Ωが当主を務めるという一風変わった西園家であった。
西園家にはある秘密がある。それは、子どもを望むα夫婦の代理出産を引き受けるというもの。その代理母(サロゲートマザー)には当主となるΩが選ばれていた。
発情期が訪れない義兄に代わり、恋すら知らぬまま当主そして代理母になる事を決意する叶。
叶はいつも自分の存在意義を問い、居場所を探していた。あまりに狭く閉ざされた叶の世界。叶の身体に己の生(精)をぶつけるクライアントのα達。叶に宿る命、そして別れ。
これは、『誰かのため』が唯一原動力であった叶が、数多な出会いと別れの中で『自分のため』に一歩を踏み出すまでの物語。