「見つけた」
陽《ひなた》は恋人と訪れた占いで、自分を運命の人だという男、月夜《つきや》と出会う。
月夜は、人と人との縁を糸として見ることができ、その糸を切る能力を持つのだという。
初めは信じていなかった陽だったが、偶然よく会う月夜と関わるうちに彼の能力を信じるようになる。
ある日、月夜は陽の友人の頼みで、彼と彼を振った元恋人の縁を切る。しかしその後彼女は重い病気を患いその友人を振ったのだということが発覚する。何とか彼女との縁を戻してほしいと頼むが、
一度切った糸は二度とつながらない
陽は友人と彼女を会わせるために諦めなかったが、結局彼女が亡くなる数日前にほんの少し言葉が交わせただけだった。
しかしそのことに月夜は驚く。
縁を切った人同士が会うことはおろか言葉を交わすことなどできるはずはないのに。
事件に巻き込まれ会社を辞めた陽は、月夜のもとで働きながら、人と人とのつながりが深く運命に作用することを知る。
照らされる影と塗りつぶされる光
つながれる命と断ち切られる生
互いに影響される二人を運命はどちらへ導くのか