たまには日本を考える【レアアース編】
EUがロシア産原油の輸入禁止措置で合意したのに、各国の足並みが揃わず、中々うまくいかないみたいですね。
それを尻目に日本では、ロシア産原油の輸入量が0になったという報道がありました。
日本政府は現時点で事業者に対して、なんのアナウンスもしていないと経済産業相の萩生田光一氏が明言しておられるので、これは民間企業の独自判断による結果ということになります。
政治と経済は切り離せないので、水面下で何が起きているのかを知ることは難しいですが、EUの合意を横目で見ながら、日本政府がなんの手も打たないということがあるのでしょうか?謎です。
民間企業といえば、プラザ合意を起点に数々のトラウマがあり、『備えあれば憂いなし』ともいえる、様々なリスクヘッジをしています。
時折話題に上る、内部留保もその一環です。
資源のない国、日本のリスクヘッジは中々に厳しいものがあります。
今回のロシア産原油の輸入量0も制裁のようでいて、リスクヘッジでもあり、また、それとは違う側面もあると思います。中東や他の国のことも視野に入れなければなりません。
まぁ、でも今回は、政府主導ではないという話なので…深読みはしません。
大陸の <なければ、奪う> (戦争が起こる理由のひとつだと思います)という発想に対して、海に囲まれた島国の日本では <なければ、知恵を絞る> という発想なのだとしたら、考え方が大きく違ってくるのも当然なのかもしれません。
10年ほど前に、資源に関する最大のリスクともいえる、レアアース紛争がありました。
やはりプラザ合意からの流れは無視できないので、ざっと書いておきます。
――― 1985年のプラザ合意の約1年後、日米半導体協定が結ばれ、当時70%だった半導体のシェアが瓦解しました。
他にも日米経済摩擦による、日本経済のダメージはたくさんありました。(ジャパンバッシング、スーパー301条など)
バブル経済・バブル崩壊も、このプラザ合意と無関係ではありません。(あくまで個人の見解)
まさに激動の時代ともいえる経済戦争の荒波に耐え、日本企業は世界経済(当時は主にアメリカ)との軋轢を掻い潜り、企業努力を重ねていました。
そして、2010年のレアアース紛争。
― 2005年、中国が当時の総理大臣・小泉純一郎氏の靖国神社参拝に反発し、不買運動を起こしたことがありました。
それを契機に日本でも反中デモや、大使館がらみの事件などがあり、両国の関係が悪化しました。
その後におきたレアアース紛争は、尖閣諸島で中国人船長が日本の海上警察に逮捕されるという事件が発端でした。
船長逮捕後、中国のレアアースの輸出が、明確な理由もなしに遅れたことが紛争の始まりです。
中国人船長逮捕に対する報復ではないのかと、日本がWTO(世界貿易機関)に協定違反だと抗議し、揉めに揉めました。
レアアースは先端技術には欠かせない素材で、これを規制されてしまった日本は大ダメージどころではなかったのです。
この頃メディアでも『チャイナリスク』という言葉が飛び交いました。(チャイナリスクに関しては、書いたら膨大な量になるので割愛。)
そして、ここからが凄かった。
日本政府と民間企業が一体となって、レアアースを使用しない製品または、使用量を画期的に下げる製品づくりに邁進したのです。
各企業の技術開発担当者が、当時、どれだけ身を粉にして働いたのかと思うと、胸が熱くなります。
代替材料の開発なども進みました。
そしてなんと、わずか1〜2年という短期間で、中国のレアアースに対する依存度を劇的に下げることに成功したのです。(これは本当に凄いことなのです!)
WTOに抗議していた件も、アメリカやEUと一緒に提訴し、レアアース輸出規制はWTO協定違反だとの判決を引き出しました。
高騰を続けていたレアアースの供給をほぼ独占していた中国のダメージは大きく、その後、赤字に転落しました。(需要と供給のバランスにより、価格が急落したため)そして、レアアース輸出規制は全面撤廃されたのです。
中国は、この時の日本の技術力の凄まじい底力を忘れてはいません。(日本に喧嘩を売って、返り討ちにあったという屈辱と共に。)
そして日本の技術力の高さを素直に認め、またそれを怖れてもいます。
だからこそ、中国の対日外交はしたたかです。
(時々、アホなの?と思うこともしますが、それは日本もお互い様。その中でただ一人、故・安倍元首相の外交だけは群を抜いていました。)
日本は今でも、このレアアース紛争を忘れず、レアアース需要削減のための企業努力を継続しています。
現在日本は、素材産業に力を入れ世界をリードするまでになりました。この紛争が後押しの一つになったのではないかと考えてみたりします。(これもあくまで個人の妄想)
【備えあれば憂いなし】
*後記*
今回のロシア産原油の報道をうけて思い出したのが、2028年に採掘技術を確立させ商業化を目指している、日本の海底に眠る高濃度レアアース。後6年だけど、いけるのかなぁ?中国を遥かに凌ぐ埋蔵量なんだそう。
そしてメタンハイドレートのことも気になるなぁ。
けれども、地球がこうやって人間に壊されていくのかと思うと、複雑です。
自分を含め、現代人はそれを享受し生きているのだから、心は更に複雑です。
何かを考えると、最後には地球や宇宙に辿り着くのはなんでなの?
書かないけど。
うん。書くなよ、長いよ。(汗)
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