追いかけろ、青。

作者理人

都会生まれ、都会育ちの高校2年生、彗(すい)が親戚に引き取られてやって来た町は、ファミレスもカラオケもない田舎町。

窮屈な生活に憂鬱だったが、転校先のクラスでちょっとした顔見知りの男子生徒に出会う。


「野球部でピッチャー……ではなく、キャッチャーしてます」


かつて“天才二刀流中学生”と呼…






『だから。


甲子園行ったら、

その子を俺にくれないか───?』







追いかけろ、青。




泣け、泣いていい、泣くんだよ───。


ごめんね、ごめん、おねがい戻ってきて。

あいたい、お父さん、会いたい───。




抱きしめられた腕のなか。


意識が戻ったときにはもう、

子供のように泣いていた。