ビルの屋上から飛び降りようとした乃々(のの)。そこで出会った同じ歳の青年との出会いが、少女の世界を変えてゆく。まるで自分とは正反対を生きる海真(かいま)は、家族のひとりもいない───孤独な王子様だった。
『拐いにきたよ、オジョーサマ』
『オジョーサマってさ。
そんな寂しい目、してんだ』
『……寂しいって…、どんな目…?』
『…なんだろ。
守ってあげたくなる目、とか?』
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『なら、俺と一緒に逃げる?』