『寂しいってなぁに?』
僅か13歳の少女は、刀を差した男へ問う。その瞳は何も知らない赤子のようで、けれど光を宿さない寂しい目をしていた。

時空を越えた先にあったもの。

それは“確かな愛情”と“残酷な別れ”。
そして、哀しい約束だった───。





『笑ってくれトシ。

…俺は鬼にはなりきれんよ』




少女を拾った男は、

そう言いながらも嬉しそうだった。




『俺からすりゃあ近藤さん。

あんたが一番の鬼だぜ』




あのガキをここに置く事を決めたのは

あんただ。



いつか離れるときが来る、

いつまでも一緒には居られない。



それでもあいつに愛情を教えてしまったのは近藤さんだ。




それを選んだのはあんただ。




───そんなの立派なだろう、

近藤さん。





浅葱色の約束。





彼等と交わした約束はいつだって

やさしくて、あたたかくて





『───…幸せになれ。』



行くな、ここにいろ。俺の傍にいろ

言葉を飲み込むのは俺の方だった───…





哀しいほどに、綺麗だった。





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※作品はいずれもフィクションです。

実在の人物、団体等とは一切関係ありません。

※歴史に忠実ではありません。

年月、方言等に差異があります。


予めご了承くださいませ。

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