昭和中期 ある年の秋の出来事であった。

田舎の一本道を一台のバスが走っていた。

右手には砂浜が広がり、左手には木々が生い茂る林がつづく。

見事に茂っていた木々たちが紅色に染まり、風に揺れながらその人を出迎えていた。

期待を胸に嫁いできた芳江。

工藤家、大野家。両家の同意のもと、彼女の嫁ぎ…

一言だけでいいのです。




よくやったって、ねぎらいの言葉を下さいよ。




それだけでいいのです。




それだけも馬鹿な私は、十分に幸せだったと思えるのですから。