作品コメント
ログインすると作品コメントが投稿できます
- ゆず
芸術性の高い文学
ねこのナナ…
痴話喧嘩する恋人の間で
色々と思考をめぐらせ…
はしないナナ。
まさにまんなかのナナは、
そこに「いる」だけで存在を認められる唯一無ニの存在。
だけど、それを主張しない。
こうなってくると達観した生物のように思えてしまいました。
それに反して、俗物を漂わせる人間。
その象徴としての痴話喧嘩であり、携帯であるのだろうかと。
それでも、やっぱり人間くささは愛おしい。
ナナもきっとどこかでそう思っていて欲しいなと思いつつ…
そんな頭はないんだと苦笑してしまいます。
たまにナナになれたらどんなに楽なんだろう…
短い文章の中にあまりに深いメッセージ性があって…
だけど本当は何も考えずに読むのが一番なのかもしれないと思わされた作品でした。
自己世界の表現が芸術的で、あっというまに惹き込まれてしまいました。
お薦めです! - さとみなおき
そこに在るということ
ナナは猫です。
壬己という男に飼われています。
絵心は壬己の恋人です。
ナナは壬己と絵心の前に在ります。
人間たちは相手の関心を引こうとしたり、勤めをしていると思いこもうとしたり、自分を上位に置きたがったり下位に置きたがったりしています。
だけどそんな風にして自分の居場所を決めようとしても、それはいつも相対的で不確かに感じられて。
そんな人間たちの前で、何を思う頭もないナナは、ただ、そこに在ります。
希望も絶望もない世界で生きているナナ。
だからこそ、確かに存在しているナナ。
「神などいないといえよう」
だけど私には「もしも神様が存在するのなら、それってナナみたいなものなのかも知れないな」と思ったりもするのです。 - 佐野香
ぎゅぅうううっ
読ませていただきました。
表紙のナナちゃんがとても愛らしくて、猫好きの血が騒ぎました。胸がこう、きゅぅううっとですね……っ。
そして物語のほうには、理央さんの作品のファンであります私がこう、何と言いますかぎゅぅうううっと……ぎゅぅうううっと(くどい)引きずり込まれる感じでありまして。
絵心さんと壬己さんの、痴話喧嘩と言ってしまって良いのでしょうか、しかしあの会話に、揺ぎ無い信頼と愛を感じました。あんなにわ-って言い合って、でもラヴラヴなお二人がうらやましいです。
きっと携帯電話の捜索はお二人で仲良くするのでしょうね。そしてまんなかのナナは何を思うでもなくそれを見つめる(?)。シ- イズ ソ- ク-ル!
理央さんがおつくりになる世界が、本当に大好きだなぁと、改めて実感させてくれる作品でした。 - まぐろ
正統派純文学
まず、表紙のレイアウトにびびりました。
おお、これぞ携帯小説。
同時に不安。純文学って書いてあったけど、大丈夫か??
かわいいだけの猫小説じゃないか??でも、かわいいだけの猫小説書く人が、あんなセンスのあるタイトル思い付くか??とかおもちゃいました。
ハイ、すみませんでしたm(__)m
純文学も純文学。携帯小説ではめったに見られない純文学でした。
まぁるくある
思う頭がない
のナナ。
真剣だが滑稽な飼い主と恋人の痴話喧嘩とそれに無関心な(無関心と思うほどの思う頭がない)ナナの見事な対比。
久々に、携帯小説で文学を感じました。
ちなみに、ジョニ-ウォ-カ-に文学を感じてしまいました(自分が村上春樹好きだからか??) - うのたろう
物語にのみこまれます
良作に対し言葉がちゃちになってしまいますが。
「正統派の純文学」といえばわかりやすいでしょうか。
この作品には、しずかな起承転結だけが存在します。
しずかにはじまった物語がしずかに幕をとじていく。
ただそれだけ。
ですが、それがおもしろい。
作中では、ねこであるナナが、ねこらしい(もっともそれを定義するのは人間なのですが)行動をとります。
その姿が滑稽に描かれています。
ですが。
おおまじめに痴話げんかをする主人とその恋人も、ナナから見ればさぞ滑稽なことでしょう。
また物語のつくりがうまい。
この作品の一行目を読んだ瞬間。
すこし古びた洋室に迷いこんだような錯覚におちいります。
そこでくりひろげられる、人間の痴話げんかと、ねこの行動。
自分が誰の気持ちになるではなく、ただ一心に、そのなりゆきを見つめるしかできなくなります。
作者さまの意図により、傍観者としてこの物語に参加するわれわれ読者も、もしかしたらナナのような、ねこになっているのかもしれません。
すごい。
おすすめです。 - えぃな
不思議な世界観
良い意味で
携帯小説らしくない
独特の雰囲気を持った
作品でした。
まぁるくある
思う頭がない
二つの文が
何度も何度も繰り返され
延々と続くのかと思えば
ふと、流れるような
自然な形で
次の展開へと進み
また二つの文に
戻ってくる
印象深い表現でした
人間の行動などには
目もくれず
自分に都合のいい
興味引かれるものだけを
追いかけてしまう
そんなナナの姿は
どこか癒しを感じます
動物である猫は
人間ほど何も考えていない
当たり前のことを
改めてみてみると
気ままで自由で
心がほっと
するようでした
短編でテンポのよい展開は
一度ではなく二度
二度ではなく三度
読んでみたくなります
疲れ気味だ
恋愛小説には飽きた
癒されたい
そんな方に
是非読んで頂きたい
素敵なお話でした