「リカちゃん、言ってみたい店があるんだけど・・・」
サツキが誘ってきた。
リカとサツキは同じ学校だった。そこで親友になった。
「サツキちゃん、何処行きたいの?」
「前に、リカちゃんがホストクラブに行った事あるって言ってたじゃない?歌舞伎町で行ってみたい店があったの。」
リカは32歳。一度、社会に出て、ジュエリーの専門学校に入った。
サツキは30歳。この学校で二人は知り合った。
「いいよ。いつ行く?」
「明日の夜とか空いてない?」
「うん。いいよ。何て店?」
「ロミオって店。知ってる?」
「ううん。行った事ないよ」
「じゃあ決まり!ネットでみつけたの!」
翌日、ホストクラブに行く事が決まった。
当日、リカはワンピースにコートを着てきた。メイクも髪もばっちり。
サツキはホストクラブにどんな服を着たらいいか、メイク、髪型もわからなかった。
新宿で服を買い、リカがサツキにメイクとヘアメイクをした。
夜9時。「だいたいこの辺りなんだけどなぁ・・・」サツキがネットで地図のコピーしたものを見ながら歩いた。
「あ!あった!」サツキがロミオを見つけた。
硝子の重いドアをあけた。
「いらっしゃいませ!」
「あの・・・二人共初めてなんですけど・・・」
サツキがたどたどしく言った。
「初回2時間焼酎飲み放題5000円ですよ!」
セットされた髪にグレーのスーツを着たホストが威勢良く言った。
中央のテーブルに通された。
「あたし、ジャスミンティー、ピッチャーで。」
「あたしは、カルアミルクお願いします。
二人は好きなものを頼み、席にホストたちがついた。
「マサルです!よろしくね!」
サツキの隣に座った男。
「ウキです!ジャスミンハイ作ろうか?」
ユウキがリカの隣に座った。
二人は名刺を渡してきた。
リカは煙草を吸うので、ユウキが火をつけた。
ホストは20分交代で入れ変わる。
「何の仕事してるの?」「彼氏いるの?」「ぶっちゃけいくつ?」
同じ様な質問ばかり、サツキを見た。交代してついたホスト。ユタカに指名うぃ入れていた。
「あ!あっちの席でドンペリいれた!」
ユタカは誘うかのように言った。それを聞いたサツキはユタカの思惑通り「じゃあ、こっちでもドンペリ入れる!」
今日の会計が結局、ドンペリを2本入れたので二人で30万円。
二人で15万円ずつ払った。
「どうだった?ホストクラブ。」
外は明るくなり始めてきていた。
「楽しかった!また来たい!」
「今日、学校休みでよかったねー。」
「うん!もう帰って寝るー。」
その日の夜、サツキは一人でロミオに行った。
「ユタカくん、来たよー」
サツキはすっかり嵌まってしまった。
それからというもの毎日の様にロミオに行った。
しかし、一日10万円は使うので、キャッシングローンで金を作った。
色々な会社でローンをつくり、借金まみれになった。総額500万円。
いましているバイトの給料では払いきれない。
夜の仕事をする事にした。
まだ30歳なので、年齢層の高いキャバクラで働き始めた。
昼は学校。夜はキャバクラ。毎日が忙しかった。
「サツキちゃん、最近無理してない?」
「うーん・・・キツイ・・・今日も仕事あるし・・・」
「まだホストクラブ通ってるの?」
「たまに行ってるよ。ユタカくんの彼女にしてもらったし。」
「色客にされてない?」
「色客・・・多分違うと思う・・・」
「無理しないでね?」
「うん、ありがとう。」
サツキは毎日のように出勤しているので、ある程度の借金の返済はできた。
ある日、ホストクラブに行った時・・・。
「ユタカくん、たまには私の店にも来てよ?」
「えぇー。俺、眠いし金ないもん。」
「彼氏なんだから来てよー!」
「どうしようかなー。わかったよ。明日、行くよ。」
「うん!ありがとう!」
ユタカはサツキの事を「色客じゃないと言いながら、色客にしようとしていた。
次の日、同伴で店に入った。
ユタカはピンドンを入れてくれたけれど、ワンセットで帰ってしまった。
キャバクラで借金を返済しようと思っても、なかなか金にならない。
ホストクラブに通っているからだ。
サツキはキャバクラをやめた。
サツキは彼氏に内緒でチャットレディの仕事をしていた。
仕事はいたって順調。月に20万円稼ぐようになっていた。
そんな矢先、恵介との子供を妊娠した。
同じ学生。チャットレディをしていて産むことはできなかった。
「どうする?私は産みたい。」
「俺らまだ学生だよ?しかも、俺まだ仕事できないし・・・」
「じゃあ、おろすの?」
「おろしてほしい・・・俺、中絶費用稼ぐから!」
恵介はまだ25歳。日払いのホストにうなった。1ヶ月間と期限を決めて。
妊娠3ヶ月。中絶費用をためてくれた。
そして恵介はホストをやめた。
手術は無事終わった。別れることになった。