波乱の始まり

作者黒田胡桃

普通の主婦の優子の夫、拓也が行方をくらました。
優子のやり場のない気持ち、拓也の真実。
優子の波乱の幕開けの一部始終。

ある主婦の波乱の人生が始まった。

優子は専業主婦。夫、拓也。息子の優也に拓実

優也は高校3年生。大学受験を控えている。

拓実は中学2年生。反抗期真っ只中だ。

この4人で平和に暮らしていた。


ある日、拓也の行方が突然わからなくなった。

「優也、お父さんから連絡来てない?」

「え?父さん、何かあったの?帰ってないのは知ってるけど」

「ここ数日、連絡がないし・・・どうしたのかした・・・」

リビングの棚にある引き出しを何かないかと開いた。



あった。拓也の遺書だった。拓也は自殺したのだった。

樹海に行くと書いてあった。

優子は警察にすぐに連絡をした。

「主人が樹海に行くと遺書がありました。すぐに調べてもらえませんか?」

優子の連絡で警察はすぐに動いてくれた。

しかし、樹海は一歩入ったらそう簡単には出られない。

方向感覚がなくなるのだ。

拓也は亡くなった事になった。

優子は拓也の死亡届を出し、葬儀をあげた。


たくわえはあったが、急にシングルマザーになった優子はスナックで働き始めた。

優也はそんな母を見て、大学受験をせず、就職をする事にした。

母に苦労をかけたくないと思った。

そんな中、優子は男を作った。スナックで知り合ったのだった。

男は、高校教師。妻子持ちだった。でも、そのことは優子は知らなかった。

男は優子の家に入り浸るようになった。

子供たちに「新しい父親」と言った。

拓実は男を受け入れなかった。

拓実は知っていたのだった。妻子もちで、母親とは不倫だという事を。

夜中、こっそり男の携帯を見た。

拓実は週刊誌に手紙を送った。

自分の母親がスナックで知り合った高校教師と付き合っているといいうことを。

次の週にこのことを報道するため、優子のところに記者が来た。


優子はうろたえながらも、真実を知った。

そして、週刊誌に手紙を送った拓実を責めた。

優子は男を愛していたからだ。

拓実は家を出た。

優子が仕事に行っている間に、「あんな男、父親じゃない。母さんの目が覚めるまで、俺は帰らない」と手紙を残して。


マスコミは大々的に特集を組んだ。

テレビのニュースでも報道された。


1人の浮浪者が家に来た。

拓也だった。

拓也は死んでいなかった。

優子は拓也を見るなり泣き出した。

「なんだ、この汚い男は!!とっとと追い出せ!!」

男が言った。

その一言が優子の内にあった「別れたい」という気持ちが爆発した。

「もう、出て行って!!私はこの人とまた一からやり直したいの!!」

優子の愛はやはり拓也の元にあった。

優子は拓実に電話をした。

しかし、拓実は電話に出ないので、優子は拓実にメールをした。

「お父さん、帰ってきたよ、拓実も家に帰っておいで」

数時間後、拓実は家に帰ってきた。


拓也は樹海に行く前に不倫をしていた。

女と二人で暮らしていた。

しかし、女がまたも不倫をし、家を出て行った。

拓也は樹海で死を決意した。

家族に手紙を残してー


樹海には死にたいと思う人の集落があり、そこで暮らしていた。

ある日、ふと町へ行かなければ行けないと思った。

樹海を歩くだけ歩いて、ようやく外に出れた。

もっていたラジオでニュースを聞いた。

それで家に戻ったのだった。


子供達はそんな父親を受け入れ、風呂に入れた。

拓実は実の父親の前では素直だった。

次の日、市役所に行き、いきさつを話し、死亡届を免除してもらった。

普通ならそんな事できないのだが、弁護士を雇い、特例で免除してもらえた。


問題は男だ。

男は優子と別れようとしない。

しかし、優子は拓也が帰ってきたのでまた4人で暮らしたいと強く思っていた。

子供たちも同じ思いだ。


そんな時、事件がおきた。

男が拓也を殺した。

拓実が警察に通報した。

男は逃げた。

拓也のいた樹海に行った。

男は集落を見つけ、そこで暮らす事にした。

集落の人々はみな、死人のようだった。

そんな中に男はなじめず、また逃げ出した。

ある時、外に出れた。

時は3年経っていた。

殺していた事は持効になっていると思っていた。

男は家に帰った。

待っていたのは離婚届を書いた紙一枚だけだった。

男は離婚するしかなかった。

届けを出しに行った時の帰り、以前、拓実が通報した警察に職務質問された。

男の持効はまだったのだ。

街のいたるところに指名手配の紙が張ってあった。

それで、警察が声をかけたのだった。

男はその場で逮捕された。

このことが、優子の元へ伝わった。

今度こそ、拓也の三回忌の葬儀が終わり、優子たちに平和が訪れた。