病気の母親のためにお金を借りてまで治療費を工面していた里中あんず。高卒で社会人になって4年間、必死で働いたがお金を返済する日が来ても支払えなかった。お金を支払うために選んだ手段は、闇金が用意する場所だった。わずかな幸せの思い出を胸に、あんずは闇の中へ浸かっていく。

「僕、大人になったら、あんずお姉ちゃんと結婚する!!」



「大きくなって、それでも私を思い出してくれるなら、探し出してくれるなら、いいよ」



そう約束した小さな、泣き虫の男の子。



私は、彼にそう言ったけど、探してほしくない。



それに、思い出してほしくもない。



私は、誰にも知られずにいなくなってしまいたい。