あやかし金魚屋の葬儀帖~宮村夏生の夢現~

作者蒼衣ユイ

妹との心中で生き残った夏生の前に空飛ぶ金魚が現れる。
金魚に導かれ《金魚屋》と出会い、夏生の非日常が始まった。
ある日夏生は巨大な牙を持つ《出目金》に食われかける。出目金を操っているのは、死んだ妹だった。

「沙耶のいない現世を生きるなんて許しませんわよ、お兄様」

 「金魚って空飛ぶのか……」


 呆けている自分が発した言葉に首を傾げ、俺は勢いよく立ち上が上った。


 「飛ばねーよ!!」


 真っ赤な夕暮れに溶け込むように、金魚が宙を泳いでいる。

 肉厚なたい焼きくらいあるだろうか。


 「金魚?金魚、だよな……」


 よく見るとそこら中で金魚が宙を泳いでいた。

 だが金魚は人をするりと通り抜けていて、どうやら人は見る事も触れる事もできないようだ。