純は、引きこもり生活の中、運悪く死んでしまう。女神との面談を経て、異世界のとある国の王子・キリルになっていた。しかし、髪も髭も伸び放題な異様な姿であった。
幼馴染・エレがドアをノックし挨拶をする。
エレが部屋に入りキリルの着替えを手伝いながら、キリルは、「どのくらいこの部屋から出てきてなかったのか」とエレに尋ねると、エレは「ほぼ10年」と答えた。
身なりを整えたキリルは部屋を出て、父・ダレオ、母・マイル、エレと食卓を囲み朝食をする。今後、朝食だけは部屋から出る約束になった。朝食後、部屋に戻ると、女神の声が聞こえ、①女神の悪口NG。②転生者だと口外NG。③何かを成し遂げなければならない。
と、3つの約束を伝えてくる。
内容に不安を感じながらも、当面は部屋の本棚にあった魔法研究書を読み進めることを目標に定めた。
翌朝。昨日と同様エレがノックをする。食堂に行くと、兄・ロタルがいた。挨拶を終え、朝食をとる。会食中にキリルが「世界地図を見せてほしい」と口にする。すると、ロタルが急に怒り出し、謀反の心ありと判断し、剣を抜き猛烈な勢いでキリルに迫る。
しかし、ギリギリで止まり、謀反の意志の真偽についてキリルに問い詰める。すると横からエレが地図を見る必要がなくなるように、国の勢力図やその10年での変化を簡潔に語った。
無事に2回目の朝食が終わり、部屋に戻る。しばらくすると使用人がノックをし、エレからの手紙を持ってきた。部屋の扉を開け、きれいな金属の封筒にしまわれた手紙を受け取る。手紙には「話したいことがある。明日の朝はいつもより早く伺う。」と書かれていた。
夜、カチカチと音が聞こえ、机の上にある手紙の封筒が折り紙のように折られ、ナイフの形に変わり、心臓めがけて飛んできた。
ナイフは左手の甲を貫いた。右手でナイフを引き抜き投げ捨てる。少しして再びナイフがまっすぐ心臓めがけて飛んでくる。かわそうとしても、ナイフは何度も飛んでくる。
なんとか覚えた魔法を駆使してナイフを無力化することに成功する。
朝、昨日、一昨日と同じ時間にドアがノックされ、エレの声が聞こえる。
キリルは部屋に入ったエレの首にナイフを押し当て、自分の命を狙う理由を問いただす。しかし、エレはナイフも手紙も知らないという。エレは状況を推察し、キリルを制圧したのち、キリルの傷を魔法で治す。
キリルが「君は敵なのか味方なのか。教えてくれ」と吐露すると、エレは「あなたこそ、敵なの、味方なの?」と声を荒げるが、監視されていることを警戒し、すぐになにごともなかったようにふるまい直し、朝食へと向かうため、二人で部屋を出る。
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