結果発表
「魔法のiらんど大賞2021」は、
下記のとおり受賞作を決定しました。
なお、選考についてのお問い合わせには
一切応じられませんので、ご了承ください。
＜小説大賞＞
角川文庫、メディアワークス文庫、ビーズログ文庫、角川ビーンズ文庫、カドカワBOOKS、富士見L文庫、ホビー書籍、富士見ファンタジア文庫、ファミ通文庫、ドラゴンノベルス、ダ・ヴィンチ／キトラ
＜コミックシナリオ大賞＞
FLOS COMIC（ヤングエース協力）、コミックビーズログ、ジーン、ＣＯＭＩＣ ＢＲＩＤＧＥ、コミックエッセイ編集部、シルフ、COMIC it、Pomme
Comics、CIEL、COMICフルール、BL☆美少年ブック、ボーンデジタル編集部、戦略書籍編集部、ライフスタイル編集部、魔法のiらんどCOMICS
小説大賞
応募総数：1,258作品
大賞
賞状・トロフィー
賞金100万円
KADOKAWAより書籍化予定
青春恋愛部門賞
賞状・トロフィー
賞金5万円
KADOKAWAより書籍化検討
馴れ馴れしい態度の「謎のメガネ男子」の登場に、冒頭から興味をひかれました。隣に座る乗客たちがみんな涙を流してしまうという展開に驚きましたが、登場人物たちから感じられる優しさと主人公いろはへの愛情により、ドラマチックに感じられます。
また真実が明らかになりいろはが感情を爆発させるシーンは、作品の雰囲気を一変させるようなインパクトがありました。
物語は列車の中でのみ進んでいくにもかかわらず、舞台となる栃木県、特に観光地として人気の高い日光の、穏やかで美しい情景描写や、回想シーンでの恋心を見え隠れさせるようなキラキラと輝く心理描写が、作品の世界をしっかり広げてくれています。読後は前向きで爽やかな気持ちになれる素敵な作品です。
ホビー書籍キャラクター文芸部門賞
賞状・トロフィー
賞金5万円
KADOKAWAより書籍化検討
「神」と「食」をテーマにした本作は、神さまが作る美味しい料理がポイントです。羽釜で炊いたつやつやごはんや優しい出汁のきいた出汁巻き玉子、食べるのが止まらない京風鶏飯など、思わずお腹が空いてしまうようなごはん描写は素晴らしかったです。また、神さまと主人公・凛のやりとりを通して食事への向き合い方や自分を大切にするといったじんわりと心を温めてくれるメッセージが読者の心にまで響く作品になっていると感じました。
さらに、「ハシリ」や「ダイドコ」といった京町家の昔ながらの炊事場や準棟纂冪を取り入れた建築描写、食文化や本などの知識で読者を飽きさせない点も良かったと思います。こんな素敵なごはん屋さんがあったら通うのに、そう思ってしまう作品です。
カドカワBOOKS恋愛ファンタジー部門賞
賞状・トロフィー
賞金5万円
KADOKAWAより書籍化検討
婚約者と結ばれなかったショックで崖から身を投じてしまうヒロイン・アリーシャ。しかし目が覚めると、時が遡り婚約破棄前の《婚約者の身体》に蘇ってしまっていて!?――まずこの設定に心を掴まれました。ひとつの身体にヒーロー（婚約者）とヒロインの魂が混在しているという複雑な内容ですが、それぞれのキャラクターの書き分けがしっかりしており、文中のやりとりもコミカルに描かれていて最後まで楽しく拝読することができました。
恋愛面ではヒーローが受け身でいることが多く、ヒロインをこの状況から救うために自ら行動するシーンがもっとほしいところですが、ファンタジー作品としての読み応えは十分だと感じます。
ビーズログ文庫異世界ファンタジー部門賞
賞状・トロフィー
賞金5万円
KADOKAWAより書籍化検討
使い手が女性ばかりの魔法社会で、男性ながらも名門の生まれで才能にあふれた少年アレクシス。しかし女性恐怖症のため、師匠選びに苦心してるとこに紹介されたのが天才・ダニエル。同性の魔法使いということで弟子入りにいくも、現れたのは黒髪の美少女で――!?
設定もキャッチーで、アレクシス＆ダニエルのキャラ造形と関係性もしっかり構築されています。二人のやりとりを楽しく追いかけているうちに、魔法社会と国家間の争いという重めな陰謀劇を一気に読んでしまう筆力があります。物語の謎がダニエル側に偏っていますが、主人公のアレクシス目線での語りのおかげで、読み手側にもわかりやすく展開させていました。世界観、キャラともにしっかり考えられた本格ファンタジーとして大変読み応えのある作品です。
ファミ通文庫※大人恋愛部門、現代ファンタジー部門は部門賞の該当作品なし
特別賞
賞金1万円
KADOKAWAより書籍化検討
キャラクター文芸部門
恋愛ファンタジー部門
異世界ファンタジー部門
コミック原作大賞
応募総数：1,169作品
大賞
該当作品なし
恋愛部門賞
賞状・トロフィー
賞金5万円
KADOKAWAよりコミカライズ検討
性的なコンプレックスを抱える男女の恋愛を描く作品は割とあると思います。ただ出だしで「私には女の武器が一つもない」といきなりマイナス面の感情を吐露し、女性用風俗を利用するという描写になる展開が、読者に「何が始まるの？」と興味を持たせるところは良かったと思います。
作品を通して、主人公の杏奈を優しく受け入れる風馬の姿勢、その姿勢から彼女自身が心を開放して、今度は風馬を受け入れていく、互いを癒しあい、愛を深めていくという過程が描かれ、実は「ピュアな物語」なんだという事が伝わる作品です。綺麗に終わるので、読者に「読んでよかった」という印象を残す感じは好感が持てます。
課題としては2人だけの世界観で閉じているので、作品を盛り上げるための施策は必要かと思います。
魔法のiらんどCOMICS恋愛ファンタジー部門賞
賞状・トロフィー
賞金5万円
KADOKAWAよりコミカライズ検討
訳あって保育士を辞めた主人公がお参りに行った神社で美しい男性を助け、その縁から妖の世界で保育士として半妖の子どもたちを育てることになるお話。
「半妖の子どもたちを育てる」という設定もですが、「半妖の子供たちは人間の何倍も成長が早い」という設定が特に面白くて良いと感じました。小さな子どもとのほのぼのした場面から、あっという間に大人びた子どもとのハッとさせられる場面まで、物語として展開の幅が広そうだと想像が広がりました。
作者様が実際に保育士経験もおありとのことで、実体験に基づいたエピソードなども盛り込めると物語に深みが増しそうです。漫画として展開していく上では、家族愛と恋愛の間を揺れ動く主人公や半妖の子どもたちの心情描写、読者がどきどきとする魅力的なシーンが作れることを期待いたします。
FLOS（ヤングエース協力）実話・エッセイ部門賞
賞状・トロフィー
賞金5万円
KADOKAWAよりコミカライズ検討
本作は執筆者ご本人の実体験との事で、『ガチ恋ファンと推しアイドルの結婚が存在する』という驚きがまずありました。しかし、『元ファンと元アイドルの結婚』という、一見夢のような展開が現実にはそんなに甘いものではなく、"元ファン"と"元アイドル"だからこその周りからの反応や苦い体験や、当事者でないと知り得ない現実、ハラハラするような状況や切ない気持ちなどが、リアルに感じることができました。
第一話のシナリオでは、まだ主人公・のばら視点のほんの僅かな部分しか描かれていないので、動画を見て一目惚れをしてしまった時の気持ちや"ガチ恋ファン"から"妻"の視点へと変わってく様子など、もう少し本題に踏み込んだシナリオ構成を期待しております。
ボーンデジタル編集部現代ファンタジー部門賞
賞状・トロフィー
賞金5万円
KADOKAWAよりコミカライズ検討
ワケあり男女の同居ものは定番ジャンルですが、異世界から現代日本にやってきた元賢者と、毎日に疲れているOLの莉麻が出会い、同居に至るまでの展開をコミカルかつシンプルに、腑に落ちる展開で書けている点が良かったです。ご都合主義ではなく、自然なセリフと行動の描写でキャラクターの魅力が引き出され、コミックになった時のイメージがしやすいと評価が高いシナリオでした。
元賢者というファンタジー要素に対して、2人の掛け合いでは地に足のついた生活感を演出できており、「現実ではありえないけど、あったらいいな」という期待を持たせてくれました。恋愛とは異なる、気楽な男女の友情という題材をテーマに据えている点も、現代社会に寄り添った物語としてとても好感が持てます。
今後漫画化にあたっては、元賢者という設定がどう効いてくるのか、莉麻の生活がどう変化していくのかなどの展開は練っていく必要がありそうです。
シルフ/COMIC it※BL・ブロマンス部門、エンタメ・ドラマ部門、異世界ファンタジー部門は部門賞の該当作品なし
特別賞
賞金1万円
KADOKAWAよりコミカライズ検討
主人公が他者を巻き込み世界に影響を及ぼしていくというストーリーは、一つ間違えると壮大なお話すぎて取っつきにくくなるところです。
しかし本作はキャラクターの性格と出生を上手く活用し、読者に親しみを持たせつつ大きなことを成し遂げるという気持ちよさを与えていて、読者に寄り添った世界設定・展開作りが素晴らしく感じました。
蔑まれる身分でありつつ、秘密のある主人公。彼女が男装して正体を隠したまま危険区域に飛び込むというシチュエーションのスリリングさ。本人の知識とキャラ性で、皇帝や上級身分の人間たちに認められていくという達成感。それらの要素を違和感なくつなぎ合わせる構成力に感嘆いたしました。
また、アロマテラピーという我々がよく知るものを題材にしつつ、説明クサくならずに「へぇ！」と思える新しい知識を入れ込んでいる点も、好奇心がくすぐられて良かったです。
カドカワBOOKSオリジナリティ、世界設定、キャラクター、ストーリー展開、筆力すべてにおいて、大賞にふさわしいと感じました。